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「児童手当には手を付けない」が鉄則
子どもが高校や大学に通う時期は、親にとっても老後の人生設計を考え始める時期と重なります。そんな時期に教育費の負担が重くなってしまうと、自分たちの老後資金づくりがままならなくなり、老後の生活が苦しくなる可能性があります。やはり、教育費の負担が大きくなりがちなのは大学進学時。とくに、受験費用と初年度納付金が発生する高校3年生の後半以降です。教育費負担のピークを乗り切る決め手は「児童手当」です。
児童手当は国の制度で、0歳から中学校卒業までの児童を養育している場合に支給されます。児童1人あたりの支給額は以下のとおりです。
年齢 | 月額 | |
---|---|---|
3歳未満 | 一律 | 15,000円 |
3歳から小学生 | 第1子・第2子 | 10,000円 |
第3子以降 | 15,000円 | |
中学生 | 一律 | 10,000円 |
所得制限額以上の場合(特例給付) | 一律 | 5,000円 |
子どもの数は、満18歳到達後の最初の3月31日までの高校生以下の子どもで数える
この児童手当を生活費や娯楽に使ってしまうケースを耳にしますが、1円も使わずに取っておくと、中学卒業時には約200万円もの金額を貯めることができます(受け取れる児童手当の総額は、子どもの誕生月によって異なります)。
この金額のほかに、仮に毎月1万円を教育費として18年間貯め続けると216万円になり、児童手当と合わせると、合計額は約416万円となります。私立大学4年間にかかる平均費用は、約457万円(※)なので、これで大学(昼間部)4年間の費用のほとんどをまかなうことが可能となります。
※「平成29年度私立大学に係る初年度学生納付金平均額の調査」の入学料および4年間の、授業料、設備施設費の合計で算出
教育費の準備に学資保険も検討しよう
教育費のなかでも一番負担の大きい大学4年間の費用ですが、児童手当のほかに約250万円の蓄えを用意しておけば、毎年の収入から捻出する必要がないため、やりくりがしやすくなります。
この分を毎月貯蓄し続けられる人は問題ありませんが、「今月は旅行に行くから貯蓄はなし」、「うっかり生活費に使ってしまい今月は貯蓄できない」といったように、毎月確実に貯められない人も多いのではないでしょうか。やはり、長期間にわたってお金を蓄えるためには自動的に貯まる「しくみ」を作ってしまうことが大事です。しくみづくりの際は、①確実に貯められ②自動で積み立てられ③簡単に解約することができない方法を選ぶことが大切です。その選択肢のひとつとして、学資保険が考えられます。
学資保険のメリット
学資保険のメリットは、教育資金の確保を目的として商品が設計されていることです。プランに基づいて保険料を支払っていけば、貯蓄が苦手な人でもお金を貯められ、必要な時期に教育費の準備ができます。また、学資保険は保険であることから、保障性もあり、契約者である親に死亡などの万一のことがあっても、その後の保険料は免除になり、満期保険金は予定どおりに給付されます。
学資保険のデメリット
一方、デメリットとしては、万一途中で保険料の支払いができなくなってしまい、中途解約をすると、元本割れ(解約返戻金が保険料支払総額を下回ること)する可能性が高くなります。また、利率の低下により、2017年4月頃から学資保険など貯蓄性のある保険の値上げが相次ぎ、保険料が割高傾向にあることも挙げられます。中には、満期に受け取る保険金が払込保険料総額よりも少なくなってしまうプランもあるので、返戻率(保険料払込累計額に対する受取額の割合)が100%を割らないプランを選ぶようにしましょう。返戻率を重視する場合には、保険料の払込期間を変更する方法があります。たとえば保険料の払込期間を10年などの短期にすることで、払込期間が18年の場合よりも返戻率が高まります。
学資保険を選ぶ際には、必ず見積もりをとり、商品をきちんと比較することが大切です。保険金額を決める際には、毎月の保険料の支払いに無理が生じないよう、確実に払い続けられる金額に設定し、払込期間や、保険金を受け取れる時期についても確認しておきましょう。
家族が増えるとわかったら早めに教育費の準備を
教育費の貯蓄プランで重要なのは、「必要な時期に必要な金額を確保できること」です。老後資金とは異なり、「必要な時期」は子どもの年齢から事前に把握することができます。教育費は、確実に準備できなければならない費用なので、その点からも学資保険は教育費の貯蓄に向いています。
子どもの誕生で家族が増えるとわかった時点で一刻も早く資金準備を始め、時間を味方に付ければ、家族の生活を圧迫することなく、教育費をまかなうことができるでしょう。