ローンの返済や、子どもの教育費などの出費により、将来に向けてお金が大きく動き出す子育て世代。
子どもが小さいうちから計画的に蓄えておきたいものですが、なかなか思い通りにいかない家庭も多いのではないでしょうか?
だからこそ、同世代の貯蓄額が、つい気になってしまいますよね。
平均、どれくらい貯蓄しておけば、安心なのでしょうか?
そこで本記事では、子育て世代の現状を探りながら、各家庭で実施している貯蓄術例もご紹介します。
目次
1. ファミリー世帯の平均貯蓄額は1,729万円ってホント?
金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](2017年)」によると、2人以上の金融資産を保有しているファミリー世帯の平均貯蓄額は、なんと1,729万円という結果に……!
ちなみにここでいう「貯蓄」とは、「金融資産」全体のことをさし、預貯金だけでなく、株や投資信託、保険などの金融資産も含みます。
想像以上の高い貯蓄額に思わず焦りを感じた方も多いのではないでしょうか?
しかし、この数字は貯蓄がある世帯の平均額のため、実際貯蓄のない人を含めれば、平均貯蓄額は1,151万円まで下がります。かなり金額は小さくなりますが、それでも多い印象ですよね。
そこで、今回は、貯蓄のない世帯も含めた平均貯蓄額について解説していきます。
■(表1)金融資産の保有額
年代 | 金融資産がある世帯 | 金融資産がない世帯も含む | ||
---|---|---|---|---|
平均値 | 中央値 | 平均値 | 中央値 | |
全年齢 | 1,729万円 | 1,000万円 | 1,151万円 | 380万円 |
20歳代 | 524万円 | 300万円 | 321万円 | 77万円 |
30歳代 | 735万円 | 420万円 | 470万円 | 200万円 |
40歳代 | 1,014万円 | 650万円 | 643万円 | 220万円 |
50歳代 | 1,689万円 | 1,100万円 | 1,113万円 | 400万円 |
60歳代 | 2,062万円 | 1,400万円 | 1,411万円 | 601万円 |
70歳以上 | 2,512万円 | 1,500万円 | 1,768万円 | 600万円 |
※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](2017年)」より作成
世代別に並べてみると、60歳代以上の金融資産が大きく、平均値を押し上げているのがわかりますね。そして、まさに子育て世代にあたる20〜40歳代の平均値は、20代で321万円、30代で470万円、40代で643万円となっています。
ちなみに、表にある「中央値」とは、金融資産額を大きさの順に並べたときに、ちょうど真ん中にくる金額のことをさします。一部の貯蓄額の多い世帯が、平均値を大幅に引き上げてしまうため、中央値を比較の参考にすることで、より現実に近い金額に落とし込みことができます。
そこで、中央値で見てみると、20歳代で77万円、30歳代で200万円、40歳代で400万円と、さきほどの平均値を下回る数字になっています。
冒頭であまりの平均額の高さにびっくりした方も、より実感に近い金額に、少しはホッとしたのではないでしょうか。
次章では、金融資産の内訳や収入からの貯蓄割合など、より具体的なデータを元に、あなたの貯蓄状況と見比べていきましょう。
2. どうやって貯蓄してるの?みんなのリアルな貯蓄術を一挙公開
世代ごとの平均貯蓄額がわかったところで、次に気になるのが、手取り収入からの貯蓄率や具体的な貯蓄方法について。
「このやりくりでいいのかしら?」と少し自信のないママたちも多いため、他の世帯の貯蓄術を参考にしたいものですよね。
そこで本章では、毎月の貯蓄事情はもちろん、預貯金額などリアルな実態にもせまってみたいと思います。
2-1. 手取り収入からの平均貯蓄率は9%!
みなさんは、給料の何割を貯蓄に回していますか?
引き続き、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](2017年)」の調査データによると、貯蓄がある世帯の場合、全年齢における年間手取り収入からの貯蓄率の平均は、9%。
年収が手取り400万円の家庭なら、年間36万円、月平均3万円を貯蓄しているということになります。
2-1-1. 20代ファミリーがダントツ!世代別にみる収入からの貯蓄割合
それでは、世代別に手取り収入からの貯蓄割合をみていきましょう。
■(表2)手取り収入からの貯蓄割合[年代別]
年代 | 貯蓄割合 |
---|---|
20歳代 | 16% |
30歳代 | 12% |
40歳代 | 10% |
50歳代 | 10% |
60歳代 | 8% |
70歳以上 | 6% |
※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](2017年)」より作成
さらに、60代になると貯蓄率は20代の半分にまで落ち込みます。年功序列で収入が上がったことで、貯蓄の割合が低くなっているとも言えます。こちらは貯蓄額と反比例する形で、世代が上がれば上がるほど、貯蓄割合は低下していきます。
20代はやはり将来を見据えて、貯蓄を行う世帯が多く、子供が小さい時期でもあるため、ためどきでもあります。
2-1-2. 年収1,000万円世帯で15%!年収別の貯蓄事情
次に、年収別に見てみると、結果は以下のようになりました。
■(表3)手取り収入からの貯蓄割合[年間収入別]
年間収入 | 貯蓄割合 |
---|---|
300万円未満 | 5% |
300~500万円未満 | 7% |
500~750万円未満 | 11% |
750~1,000万円未満 | 13% |
1,000~1,200万円未満 | 15% |
1,200万円以上 | 19% |
※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](2017年)」より作成
やはり収入が上がれば、上がるほど貯蓄割合もアップしていきます。
1,000~1,200万円未満の世帯になると、300~500万円未満世帯と比べて貯蓄割合は約2倍になります。収入額も2〜3倍であるため、さらに貯蓄額にいたっては、4倍にも5倍にもなってきます。収入が多い人ほど、どんどん貯蓄額が大きくなることが調査結果からも読み取れます。
ちなみに専業主婦世帯と共働き世帯で比較した場合、専業主婦世帯が10%、共働き世帯は11%と、特に大きな差は見られませんでした。
2-2. 預貯金が半数以上!貯蓄方法の実態を調査
人によっては貯蓄=預貯金というイメージが強いかもしれませんが、実は貯蓄にもさまざまな種類や方法があるのです。
では実際のところ、どのような貯蓄方法で、どれくらいの金額を貯蓄に回せているのか、それぞれの世帯の状況を詳しく見ていきましょう。今回は貯蓄のある世帯のみを対象としたデータとなっています。
■(表4)金融商品の保有額 (単位:万円)
資産の種類 | 全年齢 | 20歳代 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 | 70歳以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
預貯金 | 937 | 392 | 408 | 525 | 780 | 1,124 | 1,461 |
金銭信託 貸付信託 | 10 | 0 | 6 | 3 | 2 | 13 | 22 |
生命保険 | 289 | 68 | 164 | 227 | 357 | 349 | 294 |
損害保険 | 34 | 8 | 11 | 13 | 28 | 47 | 55 |
個人年金保険 | 102 | 24 | 33 | 67 | 171 | 144 | 68 |
債券 | 52 | 1 | 8 | 20 | 45 | 84 | 74 |
株式 | 154 | 19 | 37 | 64 | 159 | 143 | 296 |
投資信託 | 105 | 1 | 35 | 35 | 72 | 120 | 211 |
財形貯蓄 | 33 | 8 | 21 | 53 | 73 | 22 | 7 |
その他 | 13 | 3 | 12 | 7 | 2 | 16 | 24 |
※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](2017年)」より作成
調査結果を見ると、貯蓄金額のおよそ半分を「預貯金」が占めているのがわかります。
世代別に見ても、それぞれの資産の額は全く異なり、30代以降は、投資信託や株式、債権などの有価証券に投資を行う世帯が増えていることがわかります。
2-2-1. 預貯金額の平均は937万円!30代は400万円台
表4からわかるように、全年齢の平均預貯金額は937万円、子育て世代の金額は、20歳代が392万円、30歳代が408万円、40歳代が525万円となっています。
貯蓄のない世帯を含めた場合の平均預貯金額は、全年齢の平均額が623万円、20歳代が239万円、30歳代が262万円、40歳代が331万円と大幅に金額が下回ります。
あなたの家庭の預貯金金額とくらべて、いかがですか?
毎月コツコツと貯めることの大切さを、ひしひしと感じますね。
2-2-2. ファミリー世帯の常識!2番目に多い保険を活用した貯蓄術
預貯金の次に多かったのが、「生命保険」。さらに3番目の「株式」に次いで「個人年金保険」が高い水準にあることから判断すると、保険を利用して、いざという時のために備えている世帯が多いようです。
「保険は貯蓄なの?」と疑問に感じた人もいるかもしれませんが、実は保険には貯蓄性のある種類もあり、保険を利用して資産形成をすることができるのです。
世代別に見ると、30歳代の世帯以降からは、投資信託や債券などの比率が高まり、この世代から賢くお金を運用する方法を考える世帯が増えてくるのでしょう。
3. 30代の目標貯蓄額は1,000万円以上!みんなの貯蓄の目的は?
毎月の生活費を切り詰めるなど、我慢をともなう貯蓄は、決して楽なものではありません。モチベーションがなければ、「頑張ったご褒美!」なんて、ついつい甘い誘惑にのってしまいそうになりますね。
みんなが頑張って貯蓄を行う理由とは一体何なのか?
実は、世代別で異なる結果が出ています。さらに、目標貯蓄金額を世代別に探ってみたいと思います!
3-1. 貯蓄のモチベーションは?世代別の貯蓄目的
表4で貯蓄がある世帯の金融資産を保有する目的を世代ごとに見てみると、全体的に多かったのが「病気や不時の災害への備え」という理由。
■(グラフ1)貯蓄の目的
※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](2017年)」より作成
子育て世代にあたる20〜40歳代にフォーカスすると、ダントツで多かったのが、「こどもの教育資金」でした。
50歳代以降は、「老後の生活資金」が大半を占めるようになり、「子供」から「自分」へと貯蓄の使い道がシフトしていくのがわかります。
3-2. 30〜40代より20代は多め!世代別の目標貯蓄額
それでは、みんなが掲げる目標金額とは?
表6で、世代別に見ていきたいと思います。
■(表6)貯蓄の目標金額
年代 | 金融資産の目標残高 | |
---|---|---|
平均値 | 中央値 | |
全年齢 | 2,232万円 | 1,000万円 |
20歳代 | 2,193万円 | 1,000万円 |
30歳代 | 1,836万円 | 1,000万円 |
40歳代 | 1,875万円 | 1,000万円 |
50歳代 | 2,437万円 | 1,000万円 |
60歳代 | 2,344万円 | 1,500万円 |
70歳以上 | 2,544万円 | 1,700万円 |
※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](2017年)」より作成
ここで着目したいのが、20歳代が30〜40歳代よりも高い目標金額を掲げていること。保有している貯蓄額が少ない分、将来に向けて貯めようという志が高い時期でもありますが、30〜40代は子供が成長し、教育費などの出費がかさむタイミング。20代の頃のような目標金額は、目標達成が厳しい面もあるのでしょう。
50歳代以降は、再び目標金額が上がり、平均値は2,000万円代を維持しています。老後の生活を考えて、再び貯蓄意欲が高まっているのが、読み取れますね。各世代の中央値は、60代以上を除いて、1,000万円というキリのいい数字を目標にする人が多いように思われます。
4. 賢い人はこうやって貯めている…節約主婦の貯蓄テクニック
みんなはどうやって、うまくお金を貯めているの?
そんな疑問を解消すべく、20〜40歳代の主婦を対象に『くらしのお金ニアエル』が独自アンケートを実施し、実際に行っている貯蓄術について聞いてみました。
- 外出時には水筒を持参しています(30代前半主婦 子ども2人)
- なるべく自炊を心がけています(30代前半主婦 子ども1人)
- スーパーで安売りしているときにまとめ買い(20代前半主婦 子ども1人)
まずは貯蓄に回せる金額を増やすことが、先決!普段の生活で切り詰められる部分を見直し、日々の買い物などもお得な情報をチェックして、賢く節約するという主婦の方がやはり多いようですね。
- 貯蓄型の保険商品や、自社株を購入し、自動的に貯蓄されるような仕組みにしている(20代前半主婦 子ども1人)
- 学資保険と生命保険に加入して、貯蓄型の保険の金額を見直した(20代前半主婦 子ども1人)
- ドル建て終身保険など、貯蓄代わりに加入しました(30代前半主婦 子ども1人)
結婚や出産を機に、保険の見直しなどあらためて金融商品を保有する世帯も多いようです。「先駆け貯蓄」で、将来を見据えた賢い貯蓄術は、ぜひ参考にしたいものです。
5. まとめ:知らないと損をする!預貯金だけじゃないトクする貯蓄術を学ぼう
「貯蓄」というと、実際に預貯金だけを想像してしまいがちですが、本記事でも紹介した通り、多岐に渡る金融商品も貯蓄の1つとして考えられています。
株、投資信託、保険などを毎月積み立てていく仕組みが、負担をかけずに続けるコツです。毎月決まった額を上記の貯蓄に回す方法は、生計の予測も立てやすくなり、節約して浮いたお金を貯蓄に回す方法と比べて、確実性のある貯蓄方法といえるでしょう。
株や投資信託といった毎月定額を預け入れる積立商品や、貯蓄性の保険を組み合わせてコツコツと貯蓄方法もぜひ、考えてみてはいかがでしょうか。

大学卒業後、IT企業や翻訳会社を経て、出産を機にライターとしての活動を開始。子育てや女性の生き方の分野を中心に、ママがよりよく子育てを楽しむための情報をわかりやすくお伝えしています。
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