単元未満株式投資の基礎知識|6つの魅力と取り扱い証券会社

  • 公開日:2020年06月18日
    最終更新日:2022年04月06日
  • 貯蓄・投資

2022-04-06

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新型コロナウイルス感染拡大がグローバルな規模になり、経済に与える影響がどの程度深刻になるのか見通せないため、世界の株式市場は短期間で大幅な下落をしました。過去、株式市場はこのような暴落を何度も経験してきました。そして時間の長短はあるにせよすべて克服して成長を繰り返してきたのです。

新型コロナウイルスの感染拡大の範囲や程度、あるいはそれがおよぼす経済的なマイナス効果はまだしばらく不明な時期が続くと思われますが、長期投資における時間分散さえ気を付ければ絶好の投資機会の到来であったと感じています。

しかし、思い切って株式に投資に踏み切れない人が多いのも事実です。

これまでいろいろな理由から株式投資を見送ってきた人にとって、その課題を乗り越えられるのが単元未満株式投資ではないかと思っています。この記事では、単元未満株式投資についてご紹介します。

1. 単元未満株式とは

単元未満株式とは、金融商品取引所で決めれれている最低売買単位(株式数)に満たない数の株式のことです。

株式取引が行われる金融商品取引所では、100株単位の単元株式で取引が行われます。したがって、株式取引に必要な資金は、東証一部の単純平均株価が2,000円程度ですから、2,000円×100株=20万円程度ということになります。

ところが、単元未満株式は1株から99株までの整数倍の株数で取引が行われるので、2,000円程度あれば取引することができます。取引株数の違いによる取引金額に特徴があるのです。

また、通常、株主の権利は株主総会に出席して議決権を行使するといった権利と配当を受け取ったり、株式分割を受けたりといった権利に分かれます。単元株式はその両方の権利があるのですが、単元未満株式には議決権はないものの、経済的な権利は配当を受ける権利をはじめとしてすべてあります。

単元未満株式の特徴をまとめると、普通の株式と比べると会社の経営に参加する権利はないものの、経済的な利益は株数に応じて普通の株のようにもらえ、少し制約はあるが売買も自由にできる1株単位の株式ということになります(ただし、株主優待制度は、原則単元株式になって初めて受け取れるので、単元未満株式のままでは受け取ることができません。単元株式を買い続け、100株を超えて単元株式になれば権利が発生します)。

2.単元未満株式投資の6つの魅力

単元未満株式も株式ですから、元本は保証されず、自己責任で投資しなければなりませんが、単元株にない魅力もたくさんあります。主なものとしては以下の6つが考えられます。

2-1. まとまったお金がなくても投資ができる

1株単位から買付けできるため、日ごろ欲しかったけれどまとまった資金がないとあきらめていた株式が買付けできます。例えば年初、トヨタ自動車を買う場合8,000円近い株価だったので、100株で80万円弱の資金が必要でした。現在(6月上旬)でも7,000円前後なので、約70万円の資金が必要ですが、単元未満株式投資では1株を1万円以下で買付けることができます。

2-2. 節約の目的が明確になる

毎日の買い物などで工夫して節約したお金で(少額から)株式投資ができるので、節約の成果が目に見える形になり、節約しようという意欲につながります。さらに、株式の値上がりなどにより、節約したお金が増えると努力が報われることを体感できます。

2-3. 1株から気軽に買える

お買い物に行って売れ筋商品を発見した時など、その会社の株式を買ってみたいなと思ったとしても数十万円の資金が必要だと思うと躊躇してしまいます。しかし、単元未満株投資なら「とりあえず1株買ってみよう」と気軽に始めることができます。身のまわりの物事への関心が高まることで、経済的なセンスも磨かれるようになるでしょう。

2-4. 配当金がもらえる

元本が変動するとはいえ、銀行の利子と比べると100倍以上にもなる株式の配当金を受け取ることができます。

2-5. 追加購入ができる

株価は毎日変動しますが、少額ずつ投資ができるので、下がれば追加で買うということが簡単にできます。

2-6. 高値買いのリスクを軽減できる

株主優待狙いで株式を買う場合でも、投資時期の分散をしようと思えば、半年から1年がかりで少しずつ買うことができます。その結果、高値で買ってしまうリスクをある程度避けられるようになります。

3. 取扱い証券会社によるサービスの違い

単元株式が金融商品取引所で取引されるのに対し、単元未満株式は取り扱う証券会社と取引をします。単元未満株式を提供しているのは一部の証券会社であり、取引も定形的な取引ではないため、サービス内容はバラバラです。

3-1. メリットが大きいのはSBIネオモバイル証券とLINE証券

取り扱っているのは楽天証券以外のネット証券大手(SBI証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券)と対面証券では野村證券などで、単元未満株式を主力商品として取り扱っているのが、SBIネオモバイル証券とLINE証券です。この2社はさすがに主力商品として取り扱っているので、取引手数料なども対面証券などと比較すると格段に競争力があります。

以下、SBIネオモバイル証券とLINE証券の手数料について簡単に紹介します。

3-1-1. SBIネオモバイル証券

SBIネオモバイル証券のは、取引ごとの手数料は発生せず、月額のサービス利用料がかかるというしくみです。

利用料は月間の売買金額により決まっていて、月間の売買金額合計が50万円までの場合のサービス利用料は220円(税込)です。月50万円ということは年間で600万円ですから、売却を考えずに買付だけしていくならば十分な買付枠ではないでしょうか。しかも、サービス利用料220円に対して、期間限定のTポイントながら200ポイントついて、これが翌月の株式の買付代金に充当できることから、毎月売買をすれば実質的に月間50万円までは20円の費用で利用できる計算です。

比較でいえば、野村證券(オンライン取引の場合)の手数料は買付代金の1.1%で最低手数料が550円(税込)です。例えば、株価が5万円の株式1株を買うと550円ですから、ほとんどの銘柄は1株買えば株価によらず550円支払うことになります。

また、SBIネオモバイル証券では上場しているほとんどの銘柄を扱っていることも魅力です。

3-1-2. LINE証券

LINE証券の単元未満株投資は手数料はないのですが、取引所が開いている時間帯で売るときは0.05%が差し引かれ、買うときは0.05%を加えるので、これが実質的な手数料(*)と言えます。例えば、取引金額が3万円の場合、コストは15円となります。
(*)夜間の取引は0.5%

また、東京証券取引所で取引が行われているときはいつでも取引ができるという点で、一日に3回しか取引のチャンス(取引価格が決まるタイミング)がないSBIネオモバイル証券よりも優れています。

ちなみに、LINE証券で取り扱っている銘柄数は約300銘柄です。

■SBIネオモバイル証券とLINE証券の比較

 SBIネオモバイル証券LINE証券
取引コスト220円
(月間の売買金額合計が50万円までの月額利用料)
取引金額の0.05%
(日中取引の場合)
取扱銘柄数上場しているほとんどの銘柄300銘柄
一日の取引時間3回 
(前場始値、後場始値、後場終値)
※一部銘柄は2回
9:00~14:50
(日中取引の場合)

※詳しくは、SBIネオモバイル証券LINE証券のホームページを参照してください。取引時間や注文の方法、保護預かり証券の移管などでそれぞれ大きな違いがあります。

3-2. 上記2社は、ポイントで株を買えることも魅力!

単元未満株式投資を行うにあたっては、お買い物でつくポイントとの関係も無視できません。TポイントはSBIネオモバイル証券で、LINEポイントはLINE証券で、株式買付代金に充当できるようなしくみを持っていますので、この活用も重要です。

4. なぜいま単元未満株投資なのか

単元未満株投資をおすすめする理由は、積立型の投資方法と現在の相場に適しているからです。

4-1. 積立投資のメリット

少額投資で株式投資を行う方法として毎月一定額を買い付ける積立投資があります。上場企業が行う従業員持株会も基本的には同じです。このような積立投資は以下のような特徴がメリットとなります。

一定金額を買い付けるため株価が安い時には相対的に多くの株式を買い付けることができ、逆に高い時には相対的に少ししか買い付けることができません。このため、買付コストが平準化され、長期間投資した場合、含み益が発生しやすくなるという特徴があります。(ドルコスト平均法)

また、一定日に買い付けることにより、「短期的な株価の動きにとらわれない」、「拠出を自動化できる」、「天引きすれば家計に対する打撃を心理的に緩和できる」というメリットもあり、むしろこちらの方こそ効果が大きいのかもしれません。

4-2. いつから始める?単元未満株投資

大きな市場の下落があったときは、積立投資よりもっと自由に銘柄を選択して少額投資をすることにより、株式投資の基礎を学び、実践することができます。

株式投資には、前節のように短期的な値動きを気にしない積立投資のようなタイプもありますが、10年程度に一度起こる市場の大幅な下落時には、株価が低迷している間に資金を投入するほうが、得られるスキルは大きいと思います。すなわち、投資の大原則である「安く買って高く売る」の実践です。

とはいえ、下がったときは下がったときで、もっと下がるのではないかという不安もつきまといます。投資を始めるタイミングを判断するのは難しいですが、株式投資は下落から上昇に向かうタイミングで行う必要はありません。金融資産の大半をまとめて投資に回すのでなければ、むしろ継続して買い続ける間、株価が下値で安定し、数量としてまとまった時期に上昇してくれる方がよいのです。その意味でまさに株式投資をはじめるタイミングに来ていると考えます。

5. まとめ:単元未満株を利用して資産形成を!

年初には誰も予想しなかった新型コロナウイルスによる感染拡大で、世界的な経済が停滞しています。この影響がどの程度になるのか、今のところ不明ですが、株式市場はその負の影響を先に取り込みリーマンショック並みの暴落をし、その後いち早く回復の兆しをみせています。株式市場はこのような暴落を何度も経験し、やがて乗り越えてきました。

いっぽう、株式の取引は単元未満株式取引をはじめとする種々の制度やサービスが開発され、リスクをコントロールしながらの資産形成が容易になってきました。ぜひ、この機会に株式投資デビューを果たしませんか?

※本記事は、特定の金融機関や金融商品の売買を勧誘、推奨するものではありません。
※本記事は、2020年6月時点の情報をもとに作成しています。

平野 信介執筆:平野 信介(ライター)
1951年生まれ。野村證券でリテール営業部門、企画部門、IPO部門、投資情報部門などを担当。元産業能率大学教授、元ジョインベスト証券代表取締役など。セミナーや金融経済教育を通じて株式による資産形成をわかりやすく伝えてきている。

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