第3回『お金を使い方で分けてみる「消・浪・投」』|横山FPに聞く老後の備え方

  • 公開日:2020年05月29日
    最終更新日:2022年04月15日
  • 貯蓄・投資

2022-04-15

https://www.kurashino-okane.com/investment/yokoyama-fp-3/

老後2000万円問題とその対策について、家計再生コンサルタントの横山光昭氏(株式会社 マイエフピー代表取締役)からのアドバイスをお届けする記事の第3回目です。

前回までは、老後2000年問題の解説や老後資金が足りる家庭と足りない家庭の事例紹介をしていただきました。今回はその対策の第一歩として、支出をおさえて貯蓄や投資ができる家計に変えるための方法を教えていただきました。

節約が苦手、なかなか貯蓄ができないという方は、ぜひ参考にして家計改善にお役立てください。

1. 家計の中で、最初に見直すのは「固定費」!

実は、私自身も過去に借金で苦労した経験があります。
その経験をもとに編み出したのが、「ヨコヤマ式90日貯金プログラム」というものです。
 
このプログラムの肝は「貯金体質」になれる、というところです。ちょっとした習慣が身につけば、それは難しいことではありません。

その方法をお話しするにあたって、まずは効果的な節約のポイントをご紹介しましょう。

最初に節約を考えるとき、「たとえば何から削ればいいですか?」という質問を必ず受けます。
食費なのか、通信費なのか、教育費なのか……、個別に考えると間違いなく混乱します。答えから言うと、最初に見直すのは、「固定費」です。

まず、家計を考える場合、支出には2種類あり、それが、「固定費」と「変動費」です。

「固定費」……家賃、生命保険、新聞代など
「変動費」……食費、交際費、光熱費、通信費、レジャー費など

節約を考えたとき、通常「変動費」から手をつけようとする人がほとんどです。なぜなら「固定費」を抑えるには、手間がかかるからです。けれど、「固定費」は一度削ってしまえば、その後もずっと抑えられます。そこに大きな効果が生まれるのです。

支出を抑えるには、「固定費」からが鉄則。まずこれを頭に入れておいてください。

2. お金の使い方で分ける「消・浪・投」

次に、私がこれまでお伝えしてきた「貯金体質」になる考え方として、家計の支出を消費、浪費、投資の3つに分ける「消・浪・投」という節約方法をお話しします。

まずは月々の支出項目を「消費」「浪費」「投資」の3つに分けてみてください。

「消費」……生活に必要な支出。食費・家賃・交通費など
「浪費」……なくても困らない支出。タバコやお酒などの嗜好品。高価なファッションなど
「投資」……将来につながる支出。書籍、英会話教室の授業料など

真っ先に削るべきは「浪費」ですが、実はゼロにする必要はありません。ここで重要なのは、次に掲げる支出の割合です。

「消費」……70%
「浪費」……5%
「投資」……25%  

これをひとつの目安にしてみてください。
もし毎月の支出を30万円とするなら、上記割合にそって

「消費」……21万円
「浪費」……1.5万円
「投資」……7.5万円

と、割り振ってみてください。

そして、この金額に合うように各項目の支出額を削っていきます。
ここで重要なのは「投資」を削らないことです。将来、自分にリターンされるであろう支出は、節約してはいけません。一方、ほとんど通えていないスポーツジムや英会話教室は明らかに浪費です。思い切って削ることで、大きな節約になります。
また、そのような線引きをするのは、あなた自身だということも忘れないでください。

■家計の支出の仕組みと見直し法

家計の支出の仕組みと見直し法

3. 投資の割合を増やしていくと人生が変わる!

さて、前章の「消」「浪」「投」に分ける節約術に関しては、ご理解いただけたでしょうか?
実は、ここからが大切で、いろいろな相談を受けるものの、なかなか家計の成果が表れないことが少なくないのです。

それは、なぜか?
「みなさん、頭では理解できるものの、実際に行動に移すとなると躊躇する。要は面倒くさい(笑)」

そこで実際の行動に移すために、まずは、ノートの1ページに支出を書き出してみましょう。「消」「浪」「投」に分類する前に、自分の支出を見える化する作業が必要なのです。

家計簿をつける習慣が身につくと、グッと貯金生活に近づくのですが、あまり慣れていないという人はいきなりハードルを上げずに、このように簡単なノートづけから始めても大丈夫です。

最初に支出の洗い出しから始めて、次に支出として書き出した項目を「消」「浪」「投」に色分けしてみてください。

ここで大事なのは、自分なりに色分けするということです。

たとえばフィットネスジムに通うことは、自分に対する投資と捉えられます。しかし、ほとんど通えていないというなら、それは浪費というしかありません。このように同じフィットネスジムの利用料金でも、人によってどの項目になるかが変わってきます。人それぞれの観点で、3つに分けていって良いのです。

大切なのは、自分自身のお金の使い方。その全体の流れをつかむことです。「消」「浪」「投」の3つのバランスをつかむことが一番大事なことなので、いくら使ったかよりも、何に使ったかを把握してください。

次に「消費」「浪費」「投資」のそれぞれの合計を算出して、割合を出してみましょう。

理想は、

「消費」……70%
「浪費」……5%
「投資」……25%  

でした。
あなたの実際の支出バランスとどれくらい離れているでしょうか?

■理想的な支出のバランス

支出は金額より割合で考えよう!

実は、私がこれまで見てきた家計のほとんどは、

  1. 消費のみ
  2. 消費と浪費のみ

という傾向になります。
そうです。投資にはほとんどお金が回っていない家計が多いのです。

実はここがポイントです。
貯金体質に変わるプログラムは、いくら使ったかではなく、何に使ったかに分類することで、その人の価値観に対するアプローチをしていこうというものなのです。これが明確になると、どう変えていきたいかも明確になります。

人それぞれ変えていきたいゴールも違うでしょうから、それはそれでいいのです。
浪費をゼロにしようとがむしゃらに頑張っても長続きしません。ムダとわかっていても5%はそれに割り当てて(浪費して)いいのです。

そのかわり25%を投資に回すことを考えましょう。それを考えるだけで、間違いなくあなたのお金の使い方は大きく変わっていきます。

これは私がこれまで見てきた多くの家計の変化で実証済みですから、ぜひ実行してほしいと思います。

4. 最後に

今回は家計改善の基本として、支出を「消費」「浪費」「投資」に分けてバランスを整える「消・浪・投」について説明してきました。

節約節約ときゅうきゅうとした生活を送るのはつらいことです。生活に必要な支出まで過度に削ることはありませんし、たまには浪費だって必要です。ただし、支出に占めるそれらの割合を守ることに注意し、必ず投資のためのお金を確保することが大切なのです。

この点をよく理解して、無理なく節約・貯蓄していきましょう。

さて次回はいよいよ、私がお勧めする投資の方法についてお話ししたいと思います。
投資は、以前のようにリスクを負うものという考え方から大きく変わってきています。その方法さえ間違えなければ、これほど有利に働くツールは他にありません。特に老後資金の準備には必須です。

できるだけ早く始めることで、その威力は倍増しますので、ぜひ頭に入れておいてほしいテーマです。

【横山FPに聞く老後の備え方】
 ・第1回『「老後2000万円不足」のウソ、ホント』|横山FPに聞く老後の備え方
 ・第2回『老後資金2000万円で足りる人足りない人』|横山FPに聞く老後の備え方
 ・第4回『iDecoを活用して老後に備える!』|横山FPに聞く老後の備え方

※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。

※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。