学資保険の返戻率の罠!本当の貯蓄性は数字だけでは計れない

  • 公開日:2017年01月12日
    最終更新日:2022年04月15日
  • 生命保険

2022-04-15

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少しでも貯蓄性の高い学資保険に入ろうとして、返戻率が一番高い商品を探しているのではありませんか?

もしそうだとしたら注意が必要です!
返戻率は確かに貯蓄性をあらわす目安です。しかし、単純な返戻率の比較だけでは、本当によい商品かどうかはわかりません

パンフレット上の返戻率が一番高い商品を選んで満足していても、実は、その商品は一番ではない可能性があるのです。

ここでは、学資保険の返戻率の罠として、なぜ返戻率の単純比較がダメなのかという理由をわかりやすく説明します。そして、見た目の返戻率に惑わされずに正しく学資保険を選ぶ方法や、それでも返戻率にこだわりたい場合に返戻率を上げるための方法を紹介します。さらに、他の保険を利用した貯蓄法も紹介しますので、ぜひお読みいただき、納得できる教育資金の貯蓄方法を選べるようになってください。

1. 学資保険の返戻率とは

学資保険の返戻率とは、学資保険に加入して支払う保険料の総額に対して、将来受け取れるお金(学資金やお祝金、満期保険金、学資年金など)の総額がどれくらいあるかを表した数字です。通常、その割合を%で表示し、100%を超えていればお金が増えて戻ってくることになります。

1-1. 返戻率の計算方法

学資保険の返戻率はシンプルで、以下の式で計算できます。

[返戻率] = [受け取るお金の総額] ÷ [支払う保険料の総額] × 100

受け取るお金の総額
最近の学資保険は、こどもの進学にあわせてお金を分割して受け取るタイプが多くなっていますが、それらのお金をすべて合計します。

支払う保険料の総額
月払い・年払いなどで支払う保険料を支払い回数分すべて合計します。一括払・一時払のときはその金額がそのまま総額となります。

1-2. 一般的な商品の返戻率は105~117%程度

民間の生命保険会社が販売している主な学資保険について、各社のWEBサイトでモデルプランの返戻率を確認すると、103~118%くらいとなっています。

これらの学資保険は、いずれも貯蓄性を重視したタイプの商品です。低いものと高いものでは10%以上の差がありますが、学資金の金額や受け取り方、保険料の支払い方などの条件はバラバラなので一律に比較することはできません。

2. 学資保険の貯蓄性を返戻率だけで判断してはいけない理由

学資保険の返戻率を一律で比較することはできない理由は、本当の貯蓄性のよさは返戻率の単純比較ではわからないからです。

たとえば、以下の学資保険(A、B)は、どちらがよい学資保険といえるでしょうか?

2種類の学資保険の比較
 契約者:30歳男性、被保険者:0歳男性

学資保険返戻率保険料払込期間学資金の受取プラン
116%こども10歳まで学資年金 40万円×5年(合計200万円)
※こども18歳から5年間
106%こども17歳まで満期保険金 200万円
※こども17歳時に一括

返戻率は学資保険Aが116%、学資保険Bが106%です。これだけみると学資保険Aの方が圧倒的に貯蓄性があるという判断になります。
しかし、はじめに種あかしをすると、実はこのAとBは同じ生命保険会社の同じ商品のプラン違いなのです。だから、基本的には運用する利率(予定利率)はほぼ同じはずです。

細かくみると、学資保険AはBと比べて保険料の支払期間を短くしています。また、学資金の受け取りも分割して5年間かけることで、支払時期を先に延ばしています。このような保険料支払いや学資金受け取りの期間を調整することで返戻率を高くしているのです。

2-1. 学資保険の返戻率を高くするしくみ

学資保険の返戻率は、保険料を支払う期間やお金を受け取るまでの期間などの時間的な要素によって、同じ利率で運用した場合でも、高い数字に調整することができます。

2-1-1.保険料の支払期間を短くすると返戻率を高くできる

たとえば、総額100万円の保険料を支払う場合でも、契約時に一括で100万円を支払った場合と、毎年10万円ずつ10年かけて支払った場合では、同じ利率で運用したとしても契約から18年後に受け取れる金額は違ってきます。一括で100万支払った場合は生命保険会社は100万円を18年間運用できますが、10万円ずつ10年間の場合は100万円すべてを運用できるのは8年間だけで、それ以前の10年間は100万円より少ない金額しか運用できません。細かい計算をしなくても、一括で支払った方がお金が増えることはおわかりいただけると思います。

つまり、保険料の支払期間が短い方が返戻率は高くなります

実際に、ある保険会社では、15歳までに支払い終わると返戻率は114.3%、10歳までに支払い終わると117.9%と表示しています。保険料を支払う期間を短くすることで返戻率を高くすることができるのです。

2-1-2.学資金の受け取り時期を後にすると返戻率を高くできる

保険料を支払う期間が同じでも、学資金を受け取るタイミングが違うと学資保険の返戻率は違ってきます。

たとえば18年後に100万円もらえる学資保険と、18年後に25万円、その後、毎年25万円を合計4回もらえる学資保険を比べます。支払った保険料が同じならば、どちらも返戻率は同じです。

しかし、運用利率は同じではありません。なぜなら前者の学資保険は契約して18年後に全額を受け取りますが、後者の学資保険は18年後には1/4の25万円を受け取り、その後分割して受け取るため全額受け取るのは契約から21年後となります。つまり、後者の方が長い期間運用して、ようやく前者と同じ金額に増えたにすぎません。18年後に一括して受け取る方が運用利率は高いのです。

つまり、学資金の支払いを後にすれば、低い運用利率でも返戻率は高くなります

実際に、ある保険会社では、こどもが0歳で加入して18歳になったときに一括で受け取るプランだと返戻率は112.0%ですが、18歳から1/5ずつを5年間受け取るプランにすると返戻率は115.9%になっています。学資金の支払いを遅くすれば返戻率を高くすることができるのです。

2-1-3. 結論

このように、返戻率はたとえ運用利率が同じであっても、保険料をできるだけ早く支払い終えるようにすれば高く(遅く支払い終えると低く)なりますし、学資金を後でもらえば高く(早くもらえば低く)なります。

2-2. だから、返戻率だけの比較は意味がない

前節でご説明したように、学資保険の返戻率は、高く見せようと思えば、プラン(保険料支払いや学資金の受取時期)を調整してある程度高く見せることは簡単にできるというのが実情です。

だから、返戻率は学資保険の貯蓄性をはかる一定の目安にはなりますが、複数の商品を比べてどちらが優れているかを厳密に判断する材料にはなりません。必死になって返戻率が一番高い商品を探しても、細かい違いにはあまり意味はないのです。

3. 学資保険の返戻率にこだわらない、学資保険の正しい選び方

すでに何度か言っていますが、学資保険を選ぶときは返戻率にこだわり過ぎるのは得策ではありません。もちろん、返戻率が100%を切っているような商品はお金が減ってしまうので、貯蓄という観点からは選ぶべきではありませんが、100%を超えていればお金が増えて戻ってきます。

返戻率で確実に判断できることは、このようにお金が減って戻ってくるか増えて戻ってくるかの違いだけです。もちろん目安として返戻率が大きいに越したことはありませんが、学資保険のプランの違いはあれ、まずは105%程度(2016年12月時点の水準)あれば一定の基準には達していると思ってよいでしょう。

それでは、学資保険はどうやって選べばよいのでしょうか?

3-1. 自分にとってよい学資保険を選ぶ方法

自分にあった、よい学資保険を選ぶには、まずは選ぶための手順が大切です。

3-1-1.学資保険を選ぶ手順

学資保険を選ぶときには、以下の手順で商品を絞り込むとよいでしょう。

(1) 学資金を受け取りたいタイミングにあう商品・プランを絞り込む
   ↓

(2) 絞り込んだ中から、返戻率が高いものを選ぶ
   ※保険料の支払期間はそろえて比べる

なぜ、学資金を受け取るタイミングを優先するかというと、こどもの教育資金は必要なときに手に入らないと意味がないからです。たとえば、大学の入学資金としてまとまったお金が必要で学資保険に入ったのに、肝心な大学入学時に一部(20%くらい)しかお金を受け取れなければ、入学金が支払えないということにもなりかねません。

いつ、いくらお金が戻ってくるかはとても重要なのです。
だから、学資金の受け取りプランが自分の希望にあった学資保険をまずピックアップして、そこから返戻率が高いものを選ぶという手順が必要となります。返戻率は、加入プランにより上下する(保険料を早く支払い終えたほうが高くなる)のであくまでも目安ですが、最低105%くらいはほしいところです。

3-1-2.ニーズにあわせた学資金の受け取りタイミングの考え方

それでは、学資金の受け取りタイミングを決めるための判断材料として、ニーズ別に適した受け取りプランを紹介しておきます。

(a) 大学入学資金を貯めたいなら、満期時に一括で受け取るプラン

こどもの年齢が17歳や18歳の大学進学時にあわせて満期を設定し、全額を満期保険金として受け取るパターンです。シンプルに大学入学資金のみをターゲットにお金を貯めたいときには、このタイプがわかりやすいです。

(b) 中学、高校、大学などへの進学ごとにお金が必要なら、分割受け取りプラン

上の学校に進学するたびにお祝金などを受け取るパターンです。例えば、中学校から私立の学校に進学させたいといったときに、入学金などを準備するのに適しています。ただし、保険に加入して短い期間しか経っていないときにお金を受け取ることになるので、返戻率は低めになります。

とはいえ、もし不要なら途中のお祝金などは受け取らずに保険会社に預けておくこともできます。そうすれば、大学入学資金を貯めたい人でも活用することができますし、お祝金を据え置くことで返戻率も上がることになります。

(c) 大学在学中にもお金が必要なら、学資年金のあるプラン

こどもが17歳や18歳となる大学進学時にお金を一部受け取り、その後も毎年、学資年金を受け取れるパターンです。大学入学資金だけでなく、入学後の毎年の授業料なども学資保険で貯めたいときに適したタイプです。通常、学資保険は18歳までには保険料を支払い終えるようになっていますので、その後に分割して学資年金が出るこのタイプは、3タイプの中で最も返戻率が高くなります。

ただし、受験のための費用や入学金、1人暮らしの準備費用など、入学時に多くかかるお金をメインで貯めたい場合には、このタイプは向いていないのでご注意ください。特にこのタイプのなかには、大学卒業時に多くのお金が出る商品がありますが、本来学資保険は教育資金をためるための保険なので、大学卒業時にたくさんお金が戻ってきてもあまり意味はないのではないでしょうか?返戻率を上げるために、お金の支払いを引き延ばしているのではないかと思いたくなります。

学資金の受け取りについては、早いタイミングで出る学資金は受け取らずに必要なときまで据え置くことができますが、後に出るお金を前倒して受け取ることはできません。その点を注意して、受け取りプランを選ぶようにしましょう。

3-2. 応用編として、低解約返戻金型終身保険を検討してみるのもあり!

教育資金として、できるだけ効率よくお金を貯めたいというときには、学資保険だけでなく低解約返戻金型終身保険などを候補にしてみるのもありです。

低解約返戻金型終身保険は死亡保障が一生涯続く生命保険ですが、すべての保険料を早めに支払ってしまうと、それ以降は解約したときの解約返戻金が支払った保険料よりも大きくなるという特徴があります。

つまり、こどもが生まれたときに低解約返戻金型終身保険に加入して10年とか15年くらいまでの間に保険料を支払い終えれば、こどもが大学に入学する18年後に解約して、支払った保険料以上の解約返戻金を受け取ることができます。

生命保険なので、被保険者となる親の年齢や健康状態によって保険料が違ってきますが、若くて健康な人であれば、学資保険よりも返戻率が高くなる場合があります。

終身保険ではありますが、使い方次第で学資保険と同じように活用できるので、貯蓄商品としてどちらが多くのお金を貯められそうか、学資保険とあわせて検討してみてください。

低解約返戻金型終身保険のしくみと、学資保険代わりに使うときの活用例については「3分でわかる!低解約返戻金型終身保険の基本と4つの活用法」をご覧ください。

4. それでも学資保険の返戻率にこだわりたい人へ

学資保険は返戻率だけにこだわってはいけないとはいえ、教育資金を少しでもよい条件で貯蓄したいというのは正しい考え方です。そこで、ここでは少しでも返戻率を高くするための方法として、学資保険の返戻率アップさせる方法をご紹介します。

4-1.保険料をできるだけ早く支払い終える

保険料はできるだけ早く払い終わった方が返戻率は高くなります。こどもが0歳で学資保険に加入するとして、18歳よりも15歳、15歳よりも10歳、一番よいのは契約時に一時払いで全額払うことです。

4-2.お金はできるだけ据え置いて、あとから受け取る

こどもが小学校、中学校、高校に入学するタイミングでも学資金を受け取れるようなタイプの学資保険があります。一番お金がかかる大学入学時に向けた貯蓄がメインであれば、それらのお金は受け取らずに生命保険会社に預けたままにして後から受け取ると、そのお金も運用されて増えるため、結果的に返戻率が高くなります。

また、一番お金が必要となるであろう大学入学時にお金を受け取らないでよいというケースはまれだと思いますが、大学入学後、毎年受け取れる学資年金も受け取りを後に延ばせば返戻率を上げられます。

5. まとめ:学資保険の返戻率は高い方がいいが、あくまでも目安。受取プランで選ぶべき

学資保険の返戻率は、高い方がお金が増えて戻ってきます。そのことは間違いありませんが、ここには運用期間という時間の概念が抜けています。お金の増えた率とはいっても、利回りなどのように複数の商品を比較する基準にはなりません。あくまでも基準ではなく目安であるということを忘れないでください。

返戻率の高さだけで学資保険を選んで、一番お金が必要な大学入学時に十分なお金を受け取れないということになってしまっては、何のために学資保険に入ったのかよくわからないことになっていまいます。

学資保険を選ぶときには、最低限の返戻率を満たしていれば、後はいついくらのお金を受け取れるか、それが自分が描いているこどもの教育プランにマッチしているかということを考えて最終的な選択をすべきです。またお金を増やす、教育資金をためるということが目的であれば、加入するのは学資保険に限定する必要もありません。低解約返戻金型終身保険なども候補にいれて比較するとよいですし、状況によっては保険以外の貯蓄方法も考えよいかもしれません。

とにかく、近視眼的に最も返戻率が高い学資保険を選んだ結果、失敗してしまったということにならないようにくれぐれもご注意ください。

※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。

※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。