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生命保険の配当金|基礎知識や税金、注意点を簡単解説!

  • 公開日:2017年09月20日
    最終更新日:2021年11月24日
  • 生命保険

2021-11-24

https://www.kurashino-okane.com/life-insurance/life-ins-dividend/

私たちが加入している生命保険にも配当金があることをご存じでしょうか?

配当金と言うと株の取引で企業が株主に支払うものというイメージがあると思いますが、実は保険にも、私たちが支払った保険料で運用などをして余った分を還元してもらえる仕組みがあります。

この記事では、生命保険の配当金とはどのようなものか、仕組みや種類について解説していきます。低金利下の現在では配当に期待を持つことはなかなか難しいですが、保険に関する基礎知識の1つとして、この機会に是非「生命保険の配当金」について押さえておきましょう。

1.生命保険 配当金の基礎知識

まず生命保険配当金の基礎的な知識を紹介します。生命保険における配当金とはいったいどのようなものかをしっかり理解しましょう。

1-1.有配当の保険と無配当の保険

生命保険は大きく分けると、配当金の分配がある仕組みの「有配当の保険」と配当金の分配のない仕組みの「無配当の保険」に分類されます。最初から配当金の分配のないタイプに加入している場合、契約終了まで、配当金を受け取ることはありません。

1-2.配当金の仕組み

生命保険の保険料は「予定利率(運用利回り)」「予定死亡率(死亡者数の予定)」「予定事業比率(事業費の予定)」という3つの予定率を基に算出されますが、実際には予定した通りの運用利回り、死亡者数、事業費にならない場合がほとんどです。特に生命保険は契約が長期間であることから、予定率が保守的に見積もられていることが多く、そういった傾向が強いと言えます。

このような予定と実際の数字の違いによる差額は毎年度の決算時に計算され、差益がある場合はそれを「剰余金」と呼びます。「剰余金」は一定額を超えると契約者に還元され、これを「配当金」と呼びます

1-3.配当金の4つの受取方法

配当金の受取方法には下記の4つのタイプがあります。契約時にどれを選択するか決めますが、保険によっては最初から受取方法が指定されている場合もあります。

1-3-1.積立配当

保険会社が配当金を預かり、契約者の口座に積み立てておく方式です。特長としては、保険会社に積み立てることで配当金に一定の利息が付くことがあげられます。個人の契約ではこの方式がもっとも多く用いられ、近年では積立途中であっても契約者が自由に一定の金額を引き出せるような商品も増えてきています。

1-3-2.保険金買い増し

配当金を一時払いの保険料にあてることで、保険を買い増す方式です。特徴としては、保険金が増額となり保障が手厚くなることがあげられます。終身保険や養老保険など貯蓄性保険の買い増しなどに用いられることが多いです。

1-3-3.相殺配当

配当金をこれから払い込む保険料と相殺する方式です。保険料から配当金分の金額を差し引くことで、保険料負担が減るという特徴があります。

1-3-4.現金配当

配当金を契約者に現金で支払う方式です。主に団体保険で用いられる方式で、個人保険ではあまり用いられません。

1-4.配当金の支払い時期

配当金の支払い時期には下記の3つのタイプなどがあります。他にも長期継続契約に対して特別配当金が支払われるタイプがあります。毎年配当型の場合、通常は契約後3年目から支払われることには注意が必要です。

■配当金の支払タイプ

毎年配当型毎年配当金が支払われる
3年ごと配当型3年ごとに配当金が支払われる
5年ごと配当型5年ごとに配当金が支払われる

1-5. 2種類の配当タイプ

配当金は、保険料の予定と実際との差である、「利差益」「死差益」「費差益」の3つの差益によって成り立っています。

<3つの差益>

  • 「利差益」:予定利率よりも実績利回りが高かった場合に生じる差益
  • 「死差益」:予定死亡率よりも実際の死亡率が低かった場合に生じる差益
  • 「費差益」:予定事業費よりも実際にかかった事業費が少なかった場合に生じる差益

そして配当タイプには、3つの差益全てを配当金にあてるタイプと「利差益」のみを配当金にあてるタイプの2種類があります。

■配当タイプ

3利源配当タイプ「利差益」「死差益」「費差益」の3つの差益を集計し、配当金として分配するタイプで、「毎年分配金型」が主流です。
利差配当タイプ「利差益」のみを一定年数ごとに通算し、配当金として分配するタイプで「5年ごと利差配当型」が主流です。

2.配当金に税金はかかる?

生命保険の配当金は原則として課税対象にはなりません。しかしここまでみてきた通り、配当金には様々なタイプがあり、条件によっては課税の対象となることもあります。ここでは配当金を受け取る時期で分けて考えていきます。

2-1.契約期間中に配当金を受け取った場合

保険期間中に配当金を受け取った場合、その配当金に対しては所得税や住民税、贈与税は課税されません。

ただし、生命保険料控除においては、支払保険料から配当金額を控除した額で申請をしなくてはなりません。つまり、課税されないかわりに生命保険料控除の対象金額が少なくなります。

2-2.保険金の支払開始の日以後に配当金を受け取った場合

保険金の支払開始の日以後に配当金を受け取った場合、年金受取のタイプでは「雑所得」、一括受取のタイプでは「一時所得」として所得税が課税されます

2-3.保険金と共に配当金を受け取った場合

保険金と共に配当金を受け取った場合、配当金額を保険金の額に含めて課税対象となります。

生命保険は、契約者と保険金受取人の関係や保険金の支払事由などにより、相続税や所得税、贈与税の対象になりますので、受け取った生命保険金と配当金の合計額について、どのような課税になるか判断が必要です。

3.配当金に関する注意点

お金が戻ってくるというメリットがある有配当保険ですが、注意しなくてはならない点もあります。うっかり損をしないためにここで確認しておきましょう。

3-1.加入前の注意点

  • 有配当の保険は保険料が割高
    有配当の保険は無配当の保険に比べて保険料が割高です。空前の低金利下にある現在では配当金に期待するよりも、保険料の安価な無配当の保険を選択するほうが得策である場合も珍しくありません。

3-2.加入後の注意点

  • 有配当でも配当金がゼロになる場合がある
    有配当の保険だからといって必ず配当金がでるわけではありません。運用が低調で剰余金が得られない場合には配当金がゼロになることもあるからです。
  • 積立配当のある保険を転換すると、それまで積み立てた配当金がなくなる
    積立配当のある保険を転換すると、それまで積み立てた配当金は新しい保険の保険料に充当され、なくなってしまいます。保険の転換は予定利率次第では損することもあります。

4.まとめ:配当金を狙うより、保障内容を重視して生命保険を選ぶべき

現在のマイナス金利下では、ほとんど配当金には期待はできません。また、生命保険のそもそもの役割は「将来への備え」であり、あくまでプラスαの要素である配当の有無に気をとられることよりも、まずは保障の内容についてしっかり確認することが重要です。

ただ、今後また金利が上昇するなどして配当への期待が高まる可能性も無いとは言い切れません。いざという時に「知らなかった」なんてことにならないためにも、今回の記事で紹介した保険の配当金の仕組みや注意点は、保険に関する基礎知識として覚えておきましょう。

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※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。