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生命保険の一斉値上げ|2017年4月に保険料が上がる理由と対応策

  • 公開日:2017年03月16日
    最終更新日:2023年07月06日
  • 生命保険

2023-07-06

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今年4月に各生命保険会社の複数の保険商品が、ほぼ一斉に値上げされます。
なぜ一斉なのかというと、金融庁が定めている標準利率という利率が改定されるためです。

早速、「その標準利率って何?」「なぜ標準利率が下がると保険料が上がるの?」といった疑問が浮かんできているのではないでしょうか。

ここでは、そんな疑問にお答えするために保険料が値上がりするしくみをわかりやすく解説するとともに、値上げに対してどう行動すべきかという基本的な考え方をご紹介します。これから生命保険の加入をお考えの方はぜひ参考にしてください。

1.生命保険料が値上げされる理由

今回の生命保険の一斉値上げは、昨年のマイナス金利導入により一層の低金利状態になっていることが大きく関係しています。

1-1.マイナス金利が生命保険会社に与える影響

日本銀行がマイナス金利を導入したことにより、市場の金利が下がっています。私たちにいちばん身近なところでは、もともと低かった銀行の預金金利が低下し、ほとんど0といってもいいような状態です。

このことは、将来の保険金支払いに備えてお金を運用している生命保険会社にも大きな影響があります。なぜなら、生命保険会社は保険料の中から積み立てていくお金を、何%の利率で運用するかあらかじめ決めておき(予定利率という)、そこから逆算して保険料を決定しているからです。世の中の金利が下がり予定通りの運用ができなくなると、いわゆる逆ざやになり生命保険会社の財務状態は悪化してしまいます。

したがって世の中の金利が下がると、生命保険会社としては予定利率を下げなければ経営がなりたたないということになるのです。

1-2.金融庁が標準利率を1.0%から0.25%へ下げることを決定

昨年の金利低下を受けて、金融庁は、生命保険会社が予定利率を決めるときの参考値となる標準利率という数値を、2017年4月よりこれまでの1.0%から0.25%に引き下げることにしました。

これにより、各生命保険会社も2017年4月に予定利率を正式に引き下げることになっています。

1-3.予定利率の引き下げ=保険料の値上げ

1-1で、保険料が予定利率をもとに決まっているという話をしましたが、もしこの予定利率がとても高い水準であれば、生命保険会社は保険契約者が支払った保険料を大きく増やせるので、保険料を安くしても十分保険金を支払うことができます。

しかし、その反対で予定利率が低い水準であれば、保険料を高くしないと保険金を支払うことができなくなります。

つまり、今回のように予定利率が下がるということは保険料が上がるということになるのです。

2.保険料が上がるのは貯蓄タイプの保険

4月の予定利率の引き下げにより保険料が上がることになりますが、そのなかでも終身保険や個人年金保険などの貯蓄性が高く保険期間も長い保険ほど、値上がりが大きくなります。

一方で、定期保険などの掛け捨てで保険期間も短い保険は値上がりしてもわずかか、値上がりしない可能性もあります。

これは、貯蓄タイプの保険に比べて、掛け捨ての保険では支払った保険料のうち運用に回る部分の比率が少ないため、予定利率の影響を受けにくいからです。

値上がりしやすい貯蓄タイプの保険

終身保険、個人年金保険、学資保険、養老保険など

3.生命保険会社の動向

標準利率が下がるのは2017年4月からですが、実は生命保険会社は1年前から対策を始めています。

たとえば、貯蓄用の保険といえる一時払終身保険、一時払個人年金保険などは昨年の段階で保険料を値上げしたり販売中止にしたりしています。学資保険なども代理店経由の販売をとりやめて販売を縮小している生命保険会社がありますし、その他の保険商品でも販売縮小などは実際に始まっています。

そして、それらの事前対策を行った上で、4月に保険料の値上げが行われます。既に多くの生命保険会社が保険料改定を発表しています。

例えば、大手A社の改定内容を見ると、終身保険、年金保険、学資保険、終身型の医療保険など幅広い保険で値上げが予定されています。その中でも値上げ率が高いのは終身保険で、契約年齢40歳で300万円の終身保険(60歳払込)に加入した場合、月払い保険料は男性で22.1%、女性で27.3%値上がりします。

4.保険料の値上げに対してどう行動すべきか?

多くの生命保険会社で保険料が値上げされる状況で、それでは私たちはどうしたらよいのでしょうか?

4-1.タイプ別の対応方法

保険のニーズにあわせて、どのような対応をしたらよいか、基本的な考え方を紹介します。

4-1-1.死亡保障が必要な人

貯蓄ということではなく、純粋に死亡保障が必要だという人の場合、たとえ保険料が上がったとしても必要な保険には入っておくというのが基本です。

なかでも定期保険や収入保障保険など掛け捨てタイプの死亡保険は、今回の値上げの影響は小さいので、それほど気にしなくてもよいのではないでしょうか。

ただし、終身保険が必要な場合は、もし可能であれば値上げ前の3月中に入ったほうがよいでしょう。

4-1-2.保険で貯蓄をしたい人

保険で貯蓄をしたい人の場合は、保険料値上げにより貯蓄性は悪くなってしまいます。このタイミングではもうギリギリですが、すぐにでも契約に向けて動いたほうがよいでしょう。

間に合わずに4月になってしまった場合は、新しい保険料での貯蓄性を冷静に確認して、他の貯蓄方法や運用商品などとも比較して判断する必要があります。

貯蓄においては、金利が低いときは長期間の固定金利商品を選ばないのが基本ですが、終身保険や個人年金保険はまさに金利が長期間固定される商品です。もし多少のリスクが許容できるなら個人型確定拠出年金や投資信託・J-REITなどでの運用を検討したり、できるだけリスクを負いたくないなら、変動金利の個人向け国債を検討したり、一旦定期預金などで様子をみるという考え方もあります。

4-1-3.掛け捨ての医療保険等が必要な人

掛け捨ての医療保険やがん保険の場合は、保険料の値上げは小さいか値上げなしという商品もあるので、それほど気にせず必要に応じて入るということでよいでしょう。

4-2.保険の必要性が特にないなら関係ない

これといって保険の必要性がないという人は、特に何もする必要はありません。将来、保険に入ることになるだろうから今のうちに入っておこうなどと考えず、本当に必要になったときに検討するようにしてください。

5.まとめ:原則、保険は必要最低限の保障に限定しよう

今回のように、各生命保険会社の予定利率に影響を与える標準利率が引き下げられ、各社一斉に保険料を値上げするという状況は時々起こり得ることです。

ちょうどそのタイミングで必要な保険があれば、加入を急ぐなどの対応を取った方がよいでしょう。ただし、特に必要性が高くないのにあわてて保険に加入してしまうことなどは間違った行動なので、十分にご注意ください。

保険料が値上げされるかどうかに関わらず、保険は本当に必要なときに必要な分だけ入るというのが基本だと思います。冷静に、そしてできるだけ客観的に要・不要を判断するように心がけるとよいでしょう。

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