4月に生命保険料が値下げされる!?現在の動向は?|標準生命表の改定(2018年)

  • 公開日:2018年01月31日
    最終更新日:2023年07月24日
  • 生命保険

2023-07-24

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今月、ある生命保険会社(A生命)から一部商品について生命保険料を値下げするというニュースリリースが出されました。今年の4月に向けて、他の生命保険会社にも同様な動きがあると思われます。

保険料が下がるのは私たちにとってはうれしいことですが、そもそもなぜ値下げされるのでしょうか? また安くなるのはどんな商品なのでしょうか?

そして一番気になることは、今、保険の加入を検討している人はどうしたらよいのか?ということだと思います。

この記事では、そのような疑問にわかりやすくお答えし、これから保険に入る人がどのように行動したらよいか、そのヒントをお伝えします。

※2018年3月19日 生命保険会社の保険料改定動向を追記

1.2018年4月、掛け捨ての生命保険料が値下げされる!?

1月9日に、A生命から保険料改定(値下げ)のニュースリリースが出されれました。このリリースによると、2018年2月および4月から、それぞれ数商品ずつ保険料が下がることになります。

値下げされる保険の種類は、収入保障保険、逓減定期保険、定期保険といった、いわゆる掛け捨ての生命保険です。商品や被保険者の性別・年齢により下げ幅は違ってきますが、おおむね5~10%安くなります。このような4月以降の値下げは、他の生命保険会社でも同様に実施されることが予想されています。

また、このリリースには、注意書きとして終身保険、養老保険、医療保険等は保険料の改定がないと記載されていました。

このように掛け捨ての生命保険だけが値下げされるというのが、今回の値下げの特徴です。まずはその理由について、次章で簡単に説明しましょう。

2.値下げの理由は標準生命表の改定

今回の保険料値下げの背景には、標準生命表の改定があります。

2-1.標準生命表とは?

標準生命表とは、日本人の死亡率や平均余命を性別・年齢別に示した一覧表です。財団法人日本アクチュアリー会が作成したもので、生命保険会社が保険料を算出する際の基礎データとなっています。

2-2.標準生命表の改定と保険料値下げ

現在(2018年1月末時点)使用されている標準生命表は、2007年から採用されているもの(標準生命表2007)ですが、2018年4月から新しく「標準生命表2018」が使用されことに決まっています。

前回の標準生命表採用時から約10年が経過しており、この間に日本人の平均寿命は延びています。つまり、今年4月から採用される標準生命表では、現行のものよりも概して死亡率が下がり、平均余命が延びているということになります。

このように、これまでよりも日本人の死亡リスクが下がっている訳ですから、保険会社が死亡保険金を支払うリスクも小さくなり、結果的に生命保険(死亡保険)の保険料も値下がりするという訳です。

ただし、これはあくまでも単純な生命保険(単純に人の死亡保障のみ)についての話です。貯蓄タイプの生命保険の場合は、貯蓄部分の運用成績が関係してきますので、マイナス金利で運用難の今、値下がりする可能性は低くなります。

1章で紹介したA生命の保険料改定は、まさにこのことを反映しています。だから、シンプルな掛け捨ての生命保険(収入保障保険、逓減定期保険、定期保険)のみ値下げされ、終身保険、養老保険、医療保険等は改定されないのです。

このような保険料改定は、1社だけの話ではなく生命保険会社全体に波及する話です。現時点(2018年1月末)では、まだ発表していない保険会社が多いですが、これから4月に向けて各社から保険料改定の発表があるはずです。

3.他の保険は下がらないのか?

今年4月から掛け捨ての生命保険が安くなることはおわかりいただけたと思いますが、それではその他の保険はどうなのでしょうか?

3-1.貯蓄タイプの生命保険は期待薄

A生命では、終身保険、養老保険の保険料は改定されませんでした。
貯蓄性の高い生命保険では、保険会社は死亡保険金のための積立と貯蓄部分のための積立を行っており、加入者が支払う保険料も内訳として死亡保険の積立に充当される部分と、貯蓄の積立に充当される部分を含んでいます。

現在の日本はマイナス金利状態で、保険会社も積立金の運用ができなくて困っている状態です。寿命の延びで死亡保険部分の保険料が安くできても、全体の保険料を下げられるほどではないというのが現状でしょう。

保険会社によっては、他社との差別化のために少しでも下げるというところが出てくるかもしませんが、あまり期待はできないと思われます。

【追記】
主な保険会社のニュースリリースを確認したところ、ごく一部ですが終身保険や養老保険の保険料を値下げしている生命保険会社があります。(2018.3.19)

3-2.医療保険やがん保険、介護保険等は逆に上がる可能性も

A生命では、医療保険の保険料は改定されませんでした。一般的な医療保険には死亡保障はありませんので、死亡率の変化は直接的には関係ないからです。

ただし、終身タイプの医療保険やがん保険の場合、寿命が延びるということは保険期間が延びることにつながります。保険期間が長くなれば、その分病気やけがで保障しなければならない事象がおこる回数が多くなることにもつながります。また、長生きするということは老後に介護状態になる人も増えてくる可能性がありあす。それらの点を考慮すると、保険会社によっては医療保険やがん保険、介護保険等の保険料を値上げする可能性もあるかもしれません。

【追記】
一部の保険会社で医療保険や医療系特約の保険料を値上げするというニュースリリースが出ています。ただし、医療保険の販売に力をいれているような生命保険会の中には改定しないという発表をしているところがあります。また改定について何も発表していない会社もあります。(2018.3.19)

4.4月に向けてどうすべきか?

それでは、4月に予想される各社一斉の保険料改定に向けて、私たちはどのように行動すべきでしょうか?

4-1.定期保険や収入保障保険に入りたい人

定期保険や収入保障保険などは、4月から保険料が下がる可能性が高いです。ということは、安い保険料で加入するなら4月まで待った方が良いということになります。ただし、人はいつ死亡するかわかりません。万一4月まで待っている間に死亡してしまったとしたら、今加入しておけば遺族に入るはずの保険金を受け取れないということになってしまいます。また、4月までの間に何か病気になってしまったら、保険に入れなくなったり、入れても保険料割増などの条件がついてしまうこともあります。短い期間なので可能性は低いですが、そのような困ったケースもない訳ではないということは十分認識しておきましょう。

原則、保険は必要なときに入るべきものだと思います。今必要性が高いのであれば、今入った方がよいのは言うまでもありません。そんなに必要性も高い訳ではないので4月まで待つという方であっても、FPや経験のある保険の営業担当者などに、今のうちから相談してプランしておき、4月にすぐに加入できるようにはしておくべきでしょう。

【追記】
定期保険系の保険は、値下げを発表しているところが複数あります。ただし、一部会社では、年齢にもよりますが女性の保険料が値上がりしているようです。女性の方はご注意ください。(2018.3.19)

4-2.貯蓄性の生命保険に入りたい人

貯蓄性の高い生命保険に入りたいという人の場合は、4月の保険料改定は特に影響はなさそうです。特に改定は意識せず、必要に応じて保険に加入するということでよいでしょう。

【追記】
貯蓄性のある終身保険でも一部の生命保険会社からは値下げが発表されています。それらの会社であれば4月になってからの方が貯蓄性は高くなるでしょう。ただし、定期系の保険同様、一部に女性の保険料が値上げされているケースがあります。ご注意ください。(2018.3.19)

4-3.医療保険やがん保険、介護保険に入りたい人

医療保険やがん保険、介護保険については、現時点では、まだ何とも言えませんが、4月に保険料が下がる可能性はなく、どちらかというと上がるかもしれない商品です。加入を検討されているなら、早めにFPや営業担当者に相談して加入しておくのがよさそうです。

【追記】
一部で保険料値上げの発表がありますが、保険料を据え置く会社も複数あるようです。現時点で、加入しようと思っている保険会社から保険料値上げの発表がなければ、あせって駆け込み加入をする必要性はなさそうです。(2018.3.19)

5.まとめ:結局、保険は必要な時に入るしかない

4月に掛け捨ての生命保険の値下げが予想されています。当然、保険料の支払い額は抑えたいところではありますが、保険はいつでも同じように入れて、同じように役立つ商品ではありません。いつ入るのかというタイミングが重要になってきます。

保険料の高い安いを気にしつつも、本当に必要な時に入るという大原則は忘れないようにしましょう。

また今回については、医療や介護系の商品は3月までに入っておいた方がよいケースも出てくると思いますので、そのような方は検討をお急ぎください。ただし、あわてて内容をよく理解しないまま入ることのないように注意が必要です。

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※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。