積立型の生命保険とは?メリット・デメリットや選び方のコツを解説

  • 公開日:2020年01月30日
    最終更新日:2022年04月15日
  • 生命保険

2022-04-15

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万一の保障も得られるうえに貯蓄機能もある積立型の生命保険。メリットが大きく魅力的だと思っている人も多いと思います。

しかし、生命保険は長期で加入することから、人生で2番目に高い買い物だと言われるほど家計への影響が大きいものです。加入をする前に、本当に積立型がお得なのか、掛け捨て型の方が向いているのかなど、慎重に判断すべきです。

そこで、ここでは積立型(貯蓄型)の生命保険について、その特徴やメリット・デメリット、加入時の注意点を、掛け捨て型との違いにも触れながらご紹介していきます。

 

1. 積立型の生命保険とは

積立型の生命保険は、途中解約したり満期を迎えたときに、支払った保険料の一部が解約返戻金や満期保険金として戻ってくるなど貯蓄性のある保険のことを指します。まずは特徴と種類を確認していきましょう。

1-1. 積立型の生命保険の特徴としくみ

積立型の生命保険は、基本的な保険の機能に加えて、お金を積み立てて貯める機能が付いているのが特徴です。保険に加入すると、通常、毎月支払う保険料の一部が保険会社によって運用されますが、積立型の保険では、そのお金を解約返戻金や満期保険金として加入者が受け取れるというしくみになっています。万一のときの保障と将来のための貯蓄の両方が得られるタイプの保険です。

1-2. 積立型の生命保険の種類

貯蓄型の生命保険とひとくちにいっても種類はさまざま。主な種類は以下のとおりです。

1-2-1. 終身保険

一定額の死亡保障・高度障害保障が一生涯続くタイプの保険です。保険料は加入時から変わりません。保障は一生涯ですが、保険料は一定の期間ですべてを支払い終える(短期払い)ことができます。

また、解約時には解約返戻金を受け取ることができます。ただし、保険料払込期間終了前(短期払いの場合)に解約をすると返戻金の額が払い込んだ保険料を下回ることも。逆に払込期間が終了してから解約をすると、解約返戻金が払い込んだ保険料を上回ることが期待できます。

1-2-2. 養老保険

一定期間の死亡保障・高度障害保障に加えて、満期を迎えた場合には死亡保険金と同額の満期保険金が支払われるのが養老保険。死亡保険と生存保険を組み合わせた「生死混合保険」です。満期時に必ず保険金が受け取れることから保険料は割高。貯蓄を好む人が多い日本では、かつて生命保険の主力商品でもありました。

1-2-3. 学資保険

将来かかる子どもの教育費を確保することを目的に活用される保険です。毎月の保険料を積み立てることで、進学などのタイミングにあわせてお祝い金や満期金を受け取ることができるため、低金利下の現在においても、子どもを持つ親から根強い人気を得ています。また、入院や手術の特約を付加することで医療費の保障も確保することができます。

1-2-4. 個人年金保険

契約時に定めた一定の年齢になると毎年年金が支払われる保険で、主に老後資金を準備する目的で加入します。受取時の条件により「確定年金」「有期年金」「終身年金」に分けられます。

確定年金とは、被保険者の生死にかかわらず決められた一定期間年金が支払われるタイプ。
有期年金は、被保険者の生存を条件に決められた一定期間年金が支払われるタイプ。
終身年金は、受け取り期間の終わりを決めずに、被保険者が生存している限り年金が支払われるタイプです。

2. 掛け捨て型の生命保険とは

積立型の生命保険について考える際、比較対象となるのが掛け捨て型の保険です。積立型との違いを確認するため、特徴などを見ていきましょう。

2-1. 掛け捨て型生命保険の特徴としくみ

掛け捨て型の生命保険は、万一のとき(死亡、高度障害状態)の保障だけに絞ってあり、貯蓄型のように途中解約や満期時に戻ってくるお金がないため、その分保険料は割安です。もしも契約期間内に何も起きなければ、何のお金も受け取ることなく契約は終了します。

2-2. 掛け捨て型の生命保険の種類

一般的な掛け捨て型の生命保険は主に以下の2つです。それぞれの内容を確認しましょう。

2-2-1. 定期保険

その名のとおり一定期間を保障する保険。決められた期間中に死亡、高度障害状態になると保険金が支払われますが、何事もなく期間満了した場合保険金の受け取りはなく、途中解約をしても解約返戻金はほとんどもらえないのが一般的。

定期保険には、保障額が一定で変わらない「平準定期保険」や、保障額が期間の経過と共に減少していく「逓減定期保険」があります。

2-2-2. 収入保障保険

収入保障保険は定期保険の一種で、保険期間内に被保険者が死亡したり高度障害状態になると、保険期間が満了するまで定期的に保険金を受け取ることができます。受け取り方法は、原則として給料のように毎月受け取る「年金形式」で、その保険金を家族の生活費として使うことができます。

保険期間の経過に伴って受け取れる保険金の額が減っていくタイプで、保険料は割安。子どもの成長に合わせた合理的なしくみになっています。

3. 積立型の生命保険のメリットとデメリット

積立型の生命保険には、メリットがある一方でデメリットもあります。自分に合った保険を選ぶために、両面を把握しておきましょう。

3-1. 積立型の生命保険のメリット

積立型の生命保険のメリットは、やはりお金を貯められることです。

3-1-1. 万一の保障と貯蓄の2つを得られる

積立型の場合、保険に加入することで万一何かあったときの保障と貯蓄機能の両方を得ることができます。将来の貯蓄のためにも保険を活用したいなら、積立型が選択肢となります。

3-1-2. 満期保険金には税金がかからないケースも

満期保険金を保険契約者が一括受取りした場合「一時所得」とみなされます。一時所得で実際に課税されるのは、支払った保険料に対して50万円超の利益があったときのみ(満期保険金以外に一時所得となる所得がない場合)。つまり、受け取った満期保険金と払い込んだ保険料の差が50万円以下の際には税金がかからないのです。

また、利益が50万円を超えた際にも、課税されるのは超過分の1/2なので税金を低く抑えることが可能です。

一方、満期保険金を年金受取りした場合は「雑所得」とみなされます。この場合、特別控除(一時所得50万円まで非課税のしくみ)や課税対象額を2分の1にするしくみがないため、一括受取りした場合と比べて、一般的に税金が高くなります。

3-2. 積立型の生命保険のデメリット

積立型の生命保険のデメリットは、保険料の高さと元本割れリスクです。

3-2-1. 保険料が割高

積立型には貯蓄機能があり、加入者が支払う保険料の中に将来戻って来る積立金も含まれているため、その分保険料が高く設定されています。一方、掛け捨て型は万一の保障に絞られている分、保険料は割安になります。同じ保障でも、積立型は掛け捨て型に比べて保険料が大幅に高くなります。

3-2-2. 途中で解約すると元本割れする可能性がある

保険によって違いはありますが、加入してからあまり期間を置かずに解約してしまうと、解約返戻金はあったとしてもごくわずか。解約のタイミングによっては元本割れする可能性があります。

途中解約をすると損をする可能性が高いため、一度加入すると、保険の見直しをして別の保険に加入をするといったフレキシブルな変更がしづらくなります。その点、掛け捨て型の場合は、そもそも戻ってくるお金がないため、自分に合った新たな保険が見つかったときに、保障以外のことを気にせずに乗り換えることができます。

4. 積立型に向いている人の特徴

ここまでの解説を踏まえて、どんな人が積立型の生命保険に向いているのかを考えていきます。

4-1. 積立型に向いているかどうかの4つのポイント

積立型の生命保険に向いているのは以下のような人です。

【ポイント1】銀行預金ではお金を貯められない人
銀行預金だとすぐにお金を使ってしまいお金が貯まらないという人は、積立型の生命保険が向いているといえます。保険料が毎月自動的に口座から引き落とされて、自然と貯蓄をすることが可能です。また、保障を考慮すると簡単には解約しづらいため、貯蓄を続けやすいという側面もあります。

【ポイント2】高めの保険料を支払い続けることができる人
積立型の生命保険はある程度の期間を置かずに解約すると、解約返戻金がわずかになるか元本割れをしてしまいます。そのため、保険料を支払い続けられるかどうかも大切です。積立型の保険料は掛け捨て型に比べて高く設定されているため、その額を家計から捻出し続けられるかどうかも判断材料の1つになります。

【ポイント3】保険の見直しをする予定がない人
積立型の保険は、元本割れのリスクがあることから早期解約をしないことが前提となります。つまり、新たに良い条件の保険が見つかったからといって加入後すぐに乗り換えることは得策ではありません。よって、積立型の場合は一度加入した保険に一定期間以上加入し続けることができるかどうかも問われます。

【ポイント4】少しもお金が戻ってこないのは嫌だという人
掛け捨て型は、割安な保険料である反面、死亡・高度障害状態など万一のことが起きない限り、保険金を受け取ることができません。そのため、「支払った保険料がムダになる」と考える人もいます(実際には保障の対価であり無駄というわけではありません)。一方で、貯蓄型は契約期間中に何も起こらなくても、満期金などを受け取ることができます。支払った保険料がゼロになるのは嫌だという場合、積立型が選択肢に上がります。

以上が、積立型に向いていると考えられるパターンです。ただし、ポイント1~4のパターンはあくまで向き不向きを表したもの。保険を選ぶ際は、向いている向いていないではなく、自分の目的にあっているかどうかで選ぶべきだという点は忘れないようにしてください。

4-2. 掛け捨て型が向いている場合や、それ以外の選択肢もある

逆に、掛け捨て型に向いている人は、貯蓄の機能はいらないので安い保険料で保障を得たい、定期的に保険の見直しをしたい、何も起きなくても保険料が戻ってこないことに納得できる、といった人が向いているといえます。

積立型を選ぶかべきかどうか考える際は、何のために保険に入るのかという目的をはっきりさせて、それが積立型の特徴にマッチしているかという視点を持つことが大切です。

積立型と掛け捨て型のどちらがよいのかは、その人の保険に対する考え方によって変わりますが、単純に「掛け捨ては損」と考えてしまうのは誤りです。大きな保障が欲しい場合など掛け捨て型の方が適している場合もあるので、しっかりと検討を。

なお、貯蓄が目的ならば、保険以外の選択肢も考えられます。最近では、老後資金を貯めるためにiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用したり、住宅購入や教育資金などを貯める目的でNISAやつみたてNISAを利用したりする人も増えています。銀行預金ではどうしても引き出してしまう、と言う場合でも、iDeCoは制度のルールとして60歳になるまで引き出すことができず、NISAやつみたてNISAも、投資という側面から、銀行預金よりはお金を引き出すハードルが高いので、お金を貯めやすいのです。

「保険だと安心だから」と考える人もいますが、例えば貯蓄型の外貨建て保険などは、コストや為替変動のリスクなどがあり、それをよく理解しないまま加入したことによるトラブルが今、問題になっています。一概に安心とは言い切れないため、きちんとした下調べをして加入を検討することが大切です。

5. 積立型の生命保険を選ぶ3つのコツ

積立型の保険をどうやって選べばいいのか? そのためのコツを紹介します。

5-1. 保険に加入する目的がマッチしているか考える

積立型の生命保険を選ぶときは、先ほどの「積立型に向いている人」のところでも触れたように、何のために保険に入るのかという目的を見定めることがまずは必要です。自分に万一のことがあった時に家族のためにお金を残したいのか、子どもの教育費として積み立てたいのか、老後資金を準備したいのかなど、目的は人によって違うはず。それらの目的を達成するにはどの保険に加入するのが適切なのか、保険金はいくらに設定すべきかを整理することが必要です。

結果として、積立型が適していない場合は無理に入るべきではありません。

5-2. 返戻率が高い商品を選ぶ

良い積立型の生命保険に加入するコツとして、解約返戻率がなるべく高い商品を選ぶことがあげられます。返戻率とは、契約者が払い込む保険料の総額に対して受け取れる保険金の割合のことで、割合が高いほど貯蓄性は高くなります。返戻率100%以上であれば、払い込んだ保険料以上の保険金を受け取れるというわけです。

いくつかの保険で悩んでいる場合は、返戻率がどれぐらいかを各保険会社のホームページでチェックしたり、コールセンターなどで問合せたりしてみましょう。

5-3. 無理のない範囲で保険料を始めに払う

返戻率を上げるには、保険料を一括でまとめて支払うというのも一つの手です。ただし、一気に支払うぶん一時的な出費は大きくなるため、家計に余裕があることが大前提。また、月払いでも、高額な保険料で設定してしまうと、将来支払っていけなくなる可能性もあります。家計を圧迫しない保険料がいくらか予算を決めて、その範囲内に収まるようにするのが鉄則です。

6. まとめ:積立型の保険で本当によいか確認してから契約を

ここでは、積立型の生命保険に関してご紹介しました。積立型の生命保険を選ぶなら、特徴やメリット・デメリット、掛け捨て型との違い等を踏まえて、本当に自分に合っているのか確認することが大切です。積立型に一度加入をすると、別の保険に乗り換えることが不利益になる場合があるので、何のために保険が必要なのかということをきちんと考えた上で、契約をするようにしましょう。

株式会社 回遊舎(編集・制作プロダクション)執筆:株式会社 回遊舎 (編集・制作プロダクション)
金融を専門とする編集・制作プロダクション。多数の金融情報誌、ムック、書籍等で企画・制作を行う。保険、身近な家計の悩み、投資、税金、株など、お金に関する幅広い情報を初心者にもわかりやすく丁寧に解説。
 

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