妊娠中・授乳中でも受けられる?乳がん検診にまつわる疑問を解説

2022-04-06

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日本人女性がかかるがんの第1位となっている「乳がん」。罹患率は30代から増加しはじめ、40代後半から50代前半にピークを迎えるため、ちょうど子育てに奮闘するママ世代にとっては特に注意が必要とされる病気のひとつでもあります。

そこで今回は、毎年10月の「ピンクリボン月間」にちなんで、乳がんの症状をはじめ、妊娠中や授乳中でも乳がん検診が受けられる?といった検診にまつわる疑問も解説します。

1.そもそも乳がんってどんな病気?

乳がんは乳房にできる悪性の腫瘍です。乳がんのほとんどは、母乳を乳頭まで運ぶ乳管から発生し、「乳管がん」と呼ばれています。

乳がんは早期に見つかった場合は、90%以上が治る病気と言われていますが、気付かずそのまま放置してしまうと、リンパ節や骨、肺、肝臓など、乳房以外の臓器にがん細胞が転移して、命を脅かすことになるのです。

2.自分で気付く乳がんの自覚症状とは?

乳がんは、初期の段階において体調不良や痛みなどの自覚症状があまり感じられないと言われています。

では実際、乳がんに罹患した場合、どんな症状を感じることが多いのでしょうか?

2-1.乳房のしこり

乳がんの自覚症状として多いのが乳房のしこりです。すべてのしこりが乳がんというわけではなく、乳腺症といった病気の場合でもしこりの症状があらわれます。乳がんのしこりは、硬く、あまり動かないのが特徴です。

2-2.乳房のえくぼなど皮膚の変化

乳がんが乳房付近の皮膚に達すると、えくぼのように皮膚がひきつれて見えたり、乳頭や乳輪部分に湿疹やただれができたりします。また乳頭の先から血が混じったような分泌液が出る症状も見られます。

乳がんの症状として、しこりができるというイメージが強いですが、なかにはしこりははっきり症状としてあらわれず、かわりに乳房の皮膚が赤くなり、痛みや熱をもつ「炎症性乳がん」という乳がんの種類もあります。

2-3.乳房周辺のリンパの腫れ

乳がんは、わきの下のリンパ節や胸骨のそばのリンパ節、鎖骨上のリンパ節に転移しやすいと言われています。

わきの下のリンパ節に転移した場合、わきの下などにしこりができ、リンパ液の流れがせき止められてしまうため、腕がむくんできたり、腕に向かう神経を圧迫して腕がしびれたりすることがあります。

3.乳がんの検診方法は?妊娠中や授乳中でも受けられる?

乳がんは、早期発見ができれば、ほとんどの場合治すことができるため、検診を受けることが大切です。

3-1.乳がん検診の内容

乳がんかどうか、良性なのか悪性なのかといった診断を行うには、さまざまな検査や診断を組み合わせて行います。

年齢や状況に応じて適した検診方法が異なるため、それぞれの特徴、メリット・デメリットを解説します。

3-1-1.問診・視触診

月経周期、初潮・閉経時期、未婚・既婚、妊娠、出産歴、病歴などを問診。医師が乳房にしこりや変形、陥没などがないかを視触診で確認する場合もあります。

身体に負担がかからないため、気軽に受診できる反面、早期の乳がんは発見できないというデメリットがあります。

3-1-2.マンモグラフィ検査

乳房を片方ずつプラスチックの板で挟んで撮影することで、小さいしこりや石灰化を見つける検査です。広範囲に渡って検査ができ、超早期の乳がんが発見できるというメリットがあります。

20〜30代の女性は一般的に乳腺組織が豊富なため、乳腺の重なりと小さなしこりの判別が難しい場合があるため、マンモグラフィ検査は不向きと判断されています。そのため40代以上の女性に推奨される検査方法です。

3-1-3.超音波検査(エコー)検査

超音波を乳房に当て、反射して返ってくる信号を画像化する検査です。超音波検査ではしこり内部や表面の状態が写し出され、その画像から良性・悪性の識別をすることができます。

20〜30代の乳腺組織が豊富な乳房でもしこりを発見することが可能です。しかし一方で、超音波検査では乳がんの石灰化を映し出すことが難しいため、診断には医師や検査技師の技術に依存してしまう面があります。

3-2.妊娠中は乳がん検診を受けられる?

妊娠中に乳がん検診を受ける場合は、超音波検査であれば受診することが可能です

マンモグラフィ検査はX線を使った検査のため、胎児に影響を及ぼす恐れがあり、妊娠中は受けることができません

ただし、超音波検査を受ける場合であっても、乳房の状態が通常とは大きく変化するため正しい診断が難しいという面もあります。

3-3.出産後、授乳中に乳がん検診を受けられる?

妊娠中同様、授乳中も超音波検査を受けることができます。ただし、授乳中も通常の乳房の状態とは異なるため、検査の精度が落ちてしまうという面があります。

マンモグラフィ検査の場合は、乳腺が発達した状態の授乳中には正確な診断ができません。マンモグラフィ検査を希望する場合は、断乳後6ヵ月を目安にしましょう。

4.まとめ:40歳からは2年に1度の乳がん検診を

現在日本では、40歳以上の女性に対してマンモグラフィ検査による2年に1回の検診が適切と定められています。そのため各自治体では、40歳以上の女性を対象に2年に1度の受診を推奨しており、費用の一部を負担してくれる制度が整っています。40歳を迎えると、お住まいの自治体より「乳がん検診無料クーポン」「がん検診手帳」が送付されます。乳がんの早期発見のためにも、検診を受けるようにしましょう。

乳がんの現状や治療法については以下の記事をご参照ください。
・「増加している乳がんの現状|がんの現状を知るシリーズ4
・「乳がんの治療とその治療費|がん治療を知るシリーズ4

倉沢れい執筆:倉沢 れい (編集者・ライター)
大学卒業後、IT企業や翻訳会社を経て、出産を機にライターとしての活動を開始。子育てや女性の生き方の分野を中心に、ママがよりよく子育てを楽しむための情報をわかりやすくお伝えしています。

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