キャッシュレス決済によるポイント還元とは?|消費増税時の需要対策

2022-04-06

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2019年10月に予定されている消費税の10%への引き上げ。私たちの日々の生活に直接的に影響してくることは間違いないでしょう。

そこで今回の増税に伴う消費の冷え込みを抑えるために、国はさまざまな対策を講じています。その一つにあたるのが、キャッシュレス決済によるポイント還元の制度です。

ここでは、このポイント還元制度の仕組みやメリットから、対象となるキャッシュレス方法の種類まで分かりやすく解説していきます。

1.消費税のポイント還元制度の概要(2019年10月~2020年6月)

2014年の4月に消費税が8%へと引き上げられたとき、駆け込み需要とその反動によって、消費が急激に落ち込み、企業にも大きな影響が出ました。こうした前例を踏まえて、今回の消費増税に際してはさまざまな景気対策の実施が予定されています。

たとえばその中には、飲食料品や定期購読の新聞の消費税は8%に据え置きとする軽減税率や、2歳以下の子供がいる世帯へのプレミアム付き商品券の発行などが盛り込まれています。そして先述の通り、キャッシュレス決済によるポイント還元制度の導入もそうした景気対策の一環として行われることになっています。

この制度は、一定の期間、商品を購入する際に「キャッシュレス決済」を行うと、ポイントが還元されるというものです。キャッシュレス決済とは文字通り現金で支払わない決済のことで、大きく分けてその支払い方法は、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済の3種類があります。

ポイント還元率は対象店舗によって異なり、中小の小売店などでは5%、大手系列のフランチャイズ店などでは2%となります。それ以外の大手スーパーや百貨店などでは、キャッシュレス決済を利用してもポイント還元はされません

貯まったポイントは現金と同様に利用できるので、たとえば5%の還元を得られれば、実質的に消費税5%で買い物ができるということになります。利用者に年齢や収入などによる制限はないため、誰でもそのメリットを享受することができます。

ただし、2019年10月から2020年6月までの9ヵ月間のみ実施される制度であるという点には注意が必要です。

この対策の背景には、景気対策に加えて、キャッシュレス化を促進させたいという国の意図があるでしょう。世界的に見て日本のキャッシュレスの普及率は非常に低く、特に中小の小売店などではまだまだキャッシュレス決済の設備が整っていないところが多くあります。経済産業省は、キャッシュレス決済比率を現在の約18%から2025年までに40%まで上げることを目標として掲げており、今回のポイント還元の制度はまさにそのための重要な一手として位置づけられています。

2.ポイント還元の仕組み

キャッシュレス決済によるポイント還元の仕組みと流れについて、もう少し詳しく確認しておきましょう。

政府はまず、キャッシュレス決済事業者を募集・選定します。その後対象となる小売店は、各キャッシュレス決済事業者に登録を行います。登録を終えたら、キャッシュレス決済事業者は、小売店に対してキャッシュレス端末などの決済手段を提供します。対象の店舗においてキャッシュレスで支払いをすると、キャッシュレス決済事業者が消費者にポイントを付与し、その後その負担分を国が補助するという流れになります。

■ポイント還元のしくみ

中小・小規模の小売店がキャッシュレス決済を導入するにあたっての支援が準備されています。それによって、キャッシュレス決済事業者に登録するための加盟手数料については1/3を国が補助し、さらにキャッシュレス決済端末の導入に関する費用負担ゼロ(1/3を決済事業者、2/3を国が負担)とすることが定められています。フランチャイズ店の場合は、端末費用や加盟手数料の補助はありません。

なお、対象となる店舗は2019年7月頃に発表され、9月以降店舗に統一のポスターが掲示される予定となっています。

3.ポイント還元の対象となるキャッシュレス決済は?

では、このポイント還元の対象となるキャッシュレス決済にはどのようなものがあるのでしょうか。

2019年4月に経済産業省が公表した「仮登録決済事業者リスト」によれば、現在116社のキャッシュレス決済事業者が申請を行っています。それらの会社が提供する決済サービスから総合すると、クレジットカードではJCB、三井住友カード、American Expressなど、電子マネーではSuica、nanaco、iD、WAONなど、QRコード決済ではLine Pay、Pay Pay、Origami Payなどがポイント還元の対象となります。

また、ネット通販などのECサイトでの購入でもポイントが付くという点も注目です。たとえばECサイトにある商品で、その出品者が中小・小規模の事業者である場合、キャッシュレスで購入すればポイント還元の対象となるということになります。

ただし、切手、印紙、有価証券など現金に換えることができるもの、収納代行サービス、代金引換サービスなどに関してはポイント還元の対象外となります。また、新築住宅や自動車の購入についても、すでに減税措置が別に用意されているため除外されています。

4.まとめ:ポイント還元を受けるなら今後の情報を要チェック!

ここでは、消費増税に伴うキャッシュレス決済によるポイント還元の仕組みなどについてご説明してきました。これまで現金派だったという人にとって、今回の還元制度はキャッシュレス派に乗り換えるまたとないチャンスです。

現時点では対象となるキャッシュレス決済手段や小売店についてまだ確定しているわけではありませんが、今後、随時情報が発表されていくことになっていますので、しっかりとチェックして準備しておくのはいかがでしょうか。

※キャッシュレス決済のポイント還元の実施内容については「【2019消費増税】キャッシュレスでポイント還元を受けるには?」で紹介しています。

【2019年10月の消費増税に関連する記事】
目前に迫る消費増税、負担を軽くできる注目の経済対策とは?
消費税の軽減税率とは?知って得する「軽減税率」ガイド
【2019消費増税】キャッシュレスでポイント還元を受けるには?
【2019年10月|自動車税 改正】新しいクルマの税を簡単解説

株式会社 回遊舎(編集・制作プロダクション)執筆:株式会社 回遊舎(編集・制作プロダクション)
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