【2019消費増税】キャッシュレスでポイント還元を受けるには?

2022-04-06

https://www.kurashino-okane.com/life-money/cashless-reward-points/

消費増税に伴って「キャッシュレス・ポイント還元事業」が導入されました。キャッシュレス決済でお買い物をすることで、増税分以上のポイントが還元される制度です。

ただし、その利用にはさまざまな決まりがあり、わかりにくい面も。このページで詳しく解説していきます。参考にしていただき、有効にポイント還元をご利用ください。

※キャッシュレス・ポイント還元事業は、2020年6月30日で終了しています

1.「キャッシュレス・ポイント還元事業」を知ろう

はじめに、政府の「キャッシュレス・ポイント還元事業」の基本情報を押さえておきましょう。そもそもどんな事業なのか、どんな事業者や決済サービスが対象になるのかを説明します。

1-1.ポイント還元とは?

2019年10月、5年ぶりの消費増税によって、税率が10%に改定されました。食品や新聞などは8%の軽減税率が適用されますが、消費者にとっては少なくない負担増。そこで政府が時限的に導入するのが、キャッシュレス・ポイント還元事業です。

2019年10月1日から、2020年6月末までの間に限り、対象の店舗でキャッシュレス決済を行うと、購入金額の5%もしくは2%がポイント還元されるものです。増税で冷え込む消費をカバーする景気対策と、キャッシュレス決済の普及を促進するねらいがあります。

1-2.対象となる事業者と決済サービスは?

ポイント還元事業の対象となるのは、中小規模の店舗のみです。一方、大手事業者が展開するチェーン店であっても、フランチャイズ店舗(いわゆる「本部直営店」でない「オーナー店」)であれば、事業の対象になります。また、ECサイト(通販サイト)にある中小店舗も対象となります。

ただし、コンビニ大手3社のように、直営店でも企業負担でポイント還元をしているところはあります。ご利用の際は、各店舗の案内を確認するようにしましょう。

使える決済サービスは、大きく分けて4つ。「クレジットカード」「デビットカード」「電子マネー(プリペイド)」「コード決済」です。現金や商品券など、その他の決済手段はポイント還元の対象にはなりません。次の章から、ポイント還元を受けるための基礎知識を3STEPでご紹介していきます。

2.【STEP1】使える決済サービスを確認

まずは、どんなキャッシュレス決済サービスが利用できるのか、詳しく見ていきましょう。なお、実際には店舗によって使えるサービスが異なるので、店頭で確認する必要があります。

2-1.クレジットカード・デビットカード

多くの人になじみのあるキャッシュレス決済サービスといえば、やはりクレジットカード。決済後に銀行口座などから後払いをする信用取引で、カードをつくるには審査が必要です。

近年徐々に普及してきたデビットカードは、決済と同時に銀行口座から代金が引き落とされるしくみ。いま口座にある金額の範囲内でしか買い物ができないので、使いすぎの心配がありません。口座を持っている銀行への申込みが必要で、キャッシュカードと一体になっているケースもあります。

2-2.電子マネーやコード決済

クレジットカードのほか、電子マネー(プリペイド)や急拡大中のコード決済もポイント還元の対象となります。

2-2.電子マネー(プリペイド)

普及が進んでいるプリペイド式の電子マネーも、今回の事業の対象となっています。ひとつは、JR東日本の「Suica」や、関東の私鉄が発売する「PASMO」などに代表される交通系電子マネー。また、セブン&アイ・ホールディングスの「nanaco」、イオングループの「WAON」などその他のプリペイド式電子マネーも対象となります。

クレジットカードと異なり、事前に現金などでチャージ(入金)を行うので、ふだんは現金派という方にも使いやすい決済サービスです。

2-3.コード決済

スマートフォンで決済が完結するコード決済も対象。ヤフーなどが手がける「PayPay」、SNS大手のLINEが展開する「LINE Pay」などが例にあがります。スマートフォンにアプリをダウンロードし、クレジットカードや銀行口座の情報を登録。決済は、バーコードやQRコードを使って行います。

登録に多少手間がかかることもあり、クレジットカードや電子マネーほど浸透していませんが、最もスピーディーに決済できるサービスのひとつといえそうです。

3.【STEP2】対象店舗を確認

次に、対象店舗を確認しましょう。最初に説明したように、この事業の対象となるのは、中小規模のお店。10月1日の事業スタート時点では全国で50万店弱。お店による還元率の差や、お店の探し方を解説していきます。

3-1.5%?それとも 2%? 店舗によって違う還元率

今回のポイント還元事業は、お店によって還元率が異なります。中小の店舗(ECサイト上の店舗を含む)では5%、チェーンのフランチャイズ店舗やガソリンスタンドでは2%となります。

実店舗には、「キャッシュレスでお支払いのお客様に○%還元」と書かれた経済産業省が配布するポスターなどが掲示されるので、還元率は店頭で確認可能です。

■還元率は5%と2%

5%還元中小企業・小規模事業者による店舗
2%還元チェーンのフランチャイズ店舗(中小・小規模事業者)、ガソリンスタンド

3-2.対象店舗の探しかた

どこのお店が対象になっているかを簡単に確認する方法もあります。2019年9月、経済産業省は対象店舗を検索できるスマートフォン用アプリとウェブページをリリースしました。いずれも、エリアと業種、還元率、使いたい決済サービスを選んで検索する機能が搭載されています。

スマホ用アプリは、iPhoneは「App Store」から、Androidなら「Google Play」から入手可能。ウェブページは「キャッシュレス・消費者還元事業サイト」から確認してみてください。

4.【STEP3】還元を受ける

実際に「ポイント還元」はどのように受けられるのでしょうか。じつは、決済サービスごとに還元方法は異なっています。文字通りポイントが付与される場合もあれば、実質的にキャッシュバックが行われるパターンも。この章で詳しく見ていきましょう。

4-1.ポイント付与が基本

基本となるのは、決済額に応じたポイントの付与です。例えば「楽天カード」なら、還元額に相当する楽天スーパーポイントが利用月の翌々月22日頃に付与されます。「Suica(※)」はJRE POINTが翌月上旬に、「nanaco」の場合はnanacoポイントが翌月15日に加算されることになります。
※ポイント還元を受けるには、JRE POINT WEBサイトにSuicaの登録が必要です

このように、決済からポイント付与までの間に多少の「タイムラグ」が生じることに注意が必要です。

4-2.口座に反映 引落相殺・口座充当

還元が銀行口座で完結する場合もあります。ひとつは引落相殺クレジットカードの多くは、利用額の翌月もしくは翌々月の請求時に、還元相当額をマイナスする方法を採用しています。

もうひとつは口座充当決済から1カ月以内に、還元相当額が口座に付与されるしくみです。おもにデビットカードで、この方式を使って還元が行われます。引落相殺も口座充当も、ポイント付与と同じく還元までにタイムラグがあります。

4-3.オトクを実感!即時充当

還元相当額をその場でお買い物額から差し引くのが即時充当。つまり、精算時に値引きされることになるので、私たち消費者にとっては最もわかりやすいしくみです。コード決済の「Origami pay」がこの方式を採用しています。

また、セブンイレブンローソンファミリーマートミニストップのコンビニ大手4社は、決済サービスにかかわらず即時充当を行うことを表明。ECサイト大手のアマゾンジャパンも、「値引き」を実感できる即時充当の採用を決定しています。

4-4.ポイント還元には上限額がある

おトクなポイント還元事業ですが、還元には上限額があることに注意が必要です。対象のキャッシュレス決済サービスごとに還元限度額が設定されています。

■主要キャッシュレス決済サービスの還元限度額

クレジットカード多くの場合 15,000ポイント/月
デビットカード多くの場合 15,000ポイント/月
Suica1,000ポイント/決済(月の限度額なし)
PASMO20,000ポイント/3か月
nanaco2,500ポイント/決済(月の限度額なし)
WAON15,000ポイント/月
楽天Edy2,500ポイント/決済(月の限度額なし)
PayPay25,000ポイント/月
Line Pay30,000ポイント/月

「スーパーではこのクレジットカード、コンビニではこの交通系電子マネー」などと複数の決済サービスを使い分け、上限を超えないように工夫するとよいでしょう。

5.まとめ:ポイント還元で消費増税をオトクに乗り切ろう

ここまで、消費増税に伴うポイント還元のしくみと、利用のしかたについて解説してきました。2020年6月までの「期間限定」ではありますが、「駅前の大手スーパーではなく、近くの個人経営のスーパーで食料品を買う」など、意識して対象店舗を利用することで、消費増税の負担を軽減できそうです。

今後、ポイント還元事業の対象店舗はさらに増えていく見込み。この事業を賢く利用することで、消費増税をオトクに乗り切りたいですね。

【2019年10月の消費増税に関連する記事】
消費税の軽減税率とは?知って得する「軽減税率」ガイド
目前に迫る消費増税、負担を軽くできる注目の経済対策とは?
キャッシュレス決済によるポイント還元とは?|消費増税時の需要対策
【2019年10月|自動車税 改正】新しいクルマの税を簡単解説

佐藤 史親 (編集者・ライター)執筆:佐藤 史親(編集者・ライター)
1987年山梨県富士吉田市生まれ。タウン紙記者、雑誌編集者として勤務後、フリーの編集者・ライターに。モットーは、きめ細かな取材・調査に基づいた記事づくり。お金に関する話題も、わかりやすくお届けします。

※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。

※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。