目前に迫る消費増税、負担を軽くできる注目の経済対策とは?

2022-04-06

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今年の10月から開始と、目前に迫る消費増税。2019年度の政府予算案では、この消費増税に備えるための2兆円規模の経済対策が盛り込まれました。0.3兆円の住宅・自動車関連減税を含めると、増税時の家計の純負担増額である約2.2兆円を超えることとなり、その予算の大きさがわかります。

ちなみに前回2014年4月の消費税率引き上げの際には、5兆円規模の経済対策が盛り込まれました。住宅ローン減税や復興特別法人税などの対策が行われましたが、今回の増税ではどのような経済対策が盛り込まれるのでしょうか。私たちの生活にかなり大きな影響をもたらす増税の対策についてご紹介します。

1.消費税 増税の経済対策、お得な目玉制度はコレ!

目前に迫った消費税増税。増税に備える注目の経済対策についてみていきましょう。

1-1.プレミアム付商品券

世帯別に決められた特定の給与水準以下である住民税非課税世帯と、0~2歳の子育て世帯を対象として発行・発売される商品券です。

利用できる期間は、2019年10月から2020年3月までの半年間で、一人当たり最大2万5000円分の商品券を2万円で購入することができます。原則として発行自治体内の指定された小売店での使用に限られますが、最大で5,000円が節約できると考えると非常にお得といえます。

商品券は、1枚あたり額面500円、価格400円で、10枚1セットで販売されます。一人あたり最大5セットまでなので、総額2万円まで購入可能ということです。ただし、プレミアム付商品券にはお釣りが出ないので、その点には注意して期間内での使い切り方を上手に考える必要がありそうです。

1-2.自動車・住宅の購入支援

消費増税後に購入した自動車や住宅に対する支援も行われます。

1-2-1.自動車購入支援

自動車については、購入時にかかる自動車取得税が消費増税時に廃止。その代わりに、省エネ法による燃費基準の達成度に応じて税率が0~3%の間で4段階に分けられる「環境性能割」が導入されます。この環境性能割も臨時的軽減措置により、増税後1年間に限って一律1%引き下げに。例えば税率が3%の自動車の場合には2%になります。

また、自動車を保有すると毎年かかる自動車税も軽減されます。ただし、消費増税前の駆け込み需要を抑える目的で、2019年4~9月は自動車取得税、自動車重量税におけるエコカー減税が一部縮小されている点には注意が必要です。燃費性能により減税割合が小さくなるなどの措置が行われています。

1-2-2.住宅購入支援

住宅に関しては、住宅ローン減税(住宅ローン控除)の控除期間が延長となります。現在は年末の住宅ローン残高に応じて最大40万円(長期優良住宅は最大50万円)×10年の控除が受けられますが、増税後から2020年末までに入居し、かつ消費税率10%が適用される住宅については、減税期間が3年間(10年→13年)延長されます。さらに、前回の消費増税による住宅購入時の消費税負担増を軽減するために導入された「すまい給付金」についても給付が拡大されます。

また、増税後に引き渡しを行う一定の省エネ性や耐震性、バリアフリー性能を満たす住宅や、家事・介護負担の軽減に資する住宅の新築やリフォームに対して、2020年3月まで「次世代住宅ポイント」が付与されます。次世代住宅ポイントは、さまざまな商品と交換できるポイントです。請負契約・着工の時期や売買契約の時期などに関しての規定さえクリアすれば、これらの制度を利用することができます。

高額の買い物をする際には、これらの減税制度などをうまく利用しないと、思わぬところで損をしてしまうかもしれません。

1-3.キャッシュレス決済によるポイント還元

飲食店などの中小小売店でキャッシュレス決済をすると、ポイント還元されるという仕組みです。実施期間は2019年10月から2020年6月までの9カ月間。コンビニや外食、ガソリンスタンドなどの大手系列のフランチャイズチェーン店も対象となります。店の種類によってポイント還元率は異なり、中小小売店では5%ですが、大手系列のフランチャイズチェーン店では2%となります。

日本では「キャッシュレス」という名称は一般的になったものの、実際に利用できるお店は限られているのが現状。

ちなみに、キャッシュレス決済が約9割に達するという韓国では、2000〜02年に実施された施策によりここまでキャッシュレス決済が浸透したといいます。その施策の内容は、年間のクレジットカード利用額の20%を所得控除し、宝くじの権利を付与するというもの。この結果、クレジットカード利用総額は1999年から2002年にかけて約7倍に急拡大しました。

韓国では消費が活性化され実店舗の脱税防止にも繋がったキャッシュレス決済。今回のポイント還元制度などで日本でどれぐらい普及していくのか、気になるところです。

※キャッシュレス決済によるポイント還元制度のしくみについては下記ページを参照ください
キャッシュレス決済によるポイント還元とは?|消費増税時の需要対策

2.他にもお得な制度が!知っておくべき社会保障の充実策

これまでにご説明したような目玉経済対策以外にも、社会保障を充実させる施策も複数実施されます。

2-1.幼児教育無償化

2019年10月から実施される施策で、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスの子どもたち、 住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでの子どもたちの利用料が無料になります。そのほか、幼稚園の預かり保育、認可外保育施設、就学前の障害児発達支援の利用などにおいても、上限金額など特定の条件のもとで無償化の支援を受けることができます。

留意点としては、給食費の実費は対象外となるほか、通園のための送迎費や行事にかかる費用などは無償化されないということ。しかしそれでも、数十万かかってしまう利用料が無料で済むとなれば、かなりお得といえます。

2-2.年金生活者支給給付金

年金を含めても所得が低い人に向けて、年金に上乗せして支給される給付金です。2019年10月から実施され、12月中旬から支給が開始されます。受給するには、要件を満たした上で年金生活者支援給付金の認定請求の手続きが必要です。利用を考える人は、今後特設ページなどで告知される詳細をチェックしておきましょう。

名前に「年金」とありますが、もちろん年金とは異なりますので、受給の仕組みも変わります。例えば、遡及(そきゅう)請求、つまり過去に遡っての請求はできません。原則として、請求した日の属する月の翌月分からの支給となります。

つまり、12月に認定請求の手続きをした場合には、10月に申請をしていれば本来もらえるはずだった10月〜手続き日までの給付金はもらうことができません。対象者の方は、早めに手続きを済ませる準備をすることが肝心です。

3.まとめ:経済対策を知って、うまく活用しよう!

制度を知らずに増税の煽りだけを受けて損をしてしまうのはもったいないこと。自分に権利のある支援策(経済対策)を調べ、必要な手続きなど済ませられるように今のうちから準備しておくことが大切です。消費増税のタイミングではさまざまな施策が行われます。少しややこしいかもしれませんが、私たちの生活にも大きな影響を与えるこれらの施策について、きちんと理解して上手に活用できるようにしておきましょう。

【2019年10月の消費増税に関連する記事】
キャッシュレス決済によるポイント還元とは?|消費増税時の需要対策
消費税の軽減税率とは?知って得する「軽減税率」ガイド
【2019消費増税】キャッシュレスでポイント還元を受けるには?
【2019年10月|自動車税 改正】新しいクルマの税を簡単解説

株式会社 回遊舎(編集・制作プロダクション)執筆:株式会社 回遊舎(編集・制作プロダクション)
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