扶養の範囲内で働くには? 年収ごとの損をしない働き方を徹底解説!

2022-04-06

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結婚や出産などのライフイベントを経ていくなかで、働き方を変える女性たちは多いものです。よくあるのが、子育てに専念するために仕事を辞めたり、仕事をセーブしたりして、夫の扶養内で働くというケースです。

そこで今回は、扶養の範囲内で仕事をするための「損をしない働き方」について解説します。

1. そもそも「扶養に入る」とはどういうこと?

扶養には税制上の扶養社会保険上の扶養があります。両者は別の制度なので、勘違いしないようにしましょう。

1-1. 税制上の扶養

税制上の扶養は、納税者の所得税や住民税の負担を軽減してくれるものです。妻が「配偶者控除」、「配偶者特別控除」を受けられる年収の範囲で働くことで、夫の所得税や住民税を抑えることができます。なお、妻の年収が103万円を超えると、妻の収入に所得税がかかります。

1-1-1. 配偶者特別控除とは

配偶者控除とは

納税者の配偶者が収入103万円以下であれば、納税者の税負担が軽減される制度。最大38万円が控除されますが、納税者の年収が1,120万円を超えると控除額は段階的に減額され、1,220万円を超えると控除額はゼロになります(配偶者、納税者とも給与所得のみの場合)。

■配偶者控除額の一覧

配偶者の所得納税者本人の合計所得
900万円以下
[1,1120万円以下]
900万円超
950万円以下
[1,120万円超
1,170万円以下]
950万円超
1,000万円以下
[1,170万円超
1,220万円以下]
1,000万円超
[1,220万円超]
38万円以下
[103万円以下]
(老人控除対象配偶者)
38万円
(48万円)
26万円
(32万円)
13万円
(16万円)
適用なし

*[]内は給与所得のみの場合の収入金額
**()内は70歳以上の老人控除対象配偶者の場合の控除額

たとえば、夫の年収が700万円、妻の年収が103万円の場合、夫は38万円の配偶者控除を受けらることにより、税金(所得税・住民税)が安くなります。妻の収入には所得税がかかりません。

1-1-2. 配偶者特別控除とは

配偶者特別控除とは

納税者の配偶者の収入が103万円を超えて配偶者控除の適用が受けられない場合でも、201万5999円までなら納税者の税負担が軽減される制度。納税者の年収が1,120万円以下であれば、配偶者の年収が150万円以下の場合、38万円の控除が受けられますが、配偶者と納税者の年収によって段階的に控除額が減っていきます。配偶者の年収が201万6000円以上の場合と、納税者の年収が1,220万円を超えた場合、控除額はゼロになります(配偶者、納税者とも給与所得のみの場合)。

■配偶者特別控除額の一覧

配偶者の所得納税者本人の合計所得
900万円以下
[1,1120万円以下]
900万円超
950万円以下
[1,120万円超
1,170万円以下]
950万円超
1,000万円以下
[1,170万円超
1,220万円以下]
1,000万円超
[1,220万円超]
38万円超
85万円以下
[150万円以下]
38万円26万円13万円適用なし
85万円超
90万円以下

[155万円以下]
36万円24万円12万円
90万円超
95万円以下

[160万円以下]
31万円21万円11万円
95万円超
100万円以下

[166万7999円以下]
26万円18万円9万円
100万円超
105万円以下

[175万1999円以下]
21万円14万円7万円
105万円超
110万円以下

[183万1999円以下]
16万円11万円6万円
110万円超
115万円以下

[190万3999円以下]
11万円8万円4万円
115万円超
120万円以下

[197万1999円以下]
6万円4万円2万円
120万円超
123万円以下

[201万5999円以下]
3万円2万円1万円
123万円超
[201万6000円以上]
0円0円0円

*[]内は給与所得のみの場合の収入金額

たとえば、夫の年収が700万円、妻の年収が160万円の場合、夫は、31万円の配偶者特別控除を受けらることにより、税金(所得税・住民税)が安くなります。年収が103万円を超えるため、妻の収入には所得税がかかります。

1-2. 社会保険上の扶養

社会保険上の扶養は、健康保険や年金(以下、社会保険)に関わるものです。夫が会社員や公務員などの場合、要件を満たせば、社会保険の被扶養者になることができ、妻自身が健康保険料、国民年金保険料を支払う必要がなくなります。 社会保険上の扶養に入るための条件は、妻の年収が130万円未満であること、かつ被保険者の年収の2分の1未満(同居の場合)であることです。妻の年収が130万円以上になると、自分で健康保険料、国民年金保険料を支払わなければなりません。

ただし、次の条件を満たす場合は、妻の年収が130万円未満であっても、勤務先の社会保険に加入する必要があります。

  • 1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上である、かつ、1か月の所定労働日数が正社員の4分の3以上である

また、1週間の所定労働時間、1カ月の所定労働日数が正社員の4分の3未満であっても、次の5つの要件をすべて満たす人は、勤務先の社会保険に加入しなければなりません。

  • 労働時間が週20時間以上
  • 1カ月の賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)
  • 雇用期間が1年以上の見込み
  • 従業員501人以上の企業に勤務していること※1
  • 学生でないこと

※1 従業員 500人以下の企業でも、労使の合意があれば企業単位で社会保険に加入できます。また、国・地方公共団体の場合は、規模にかかわらず社会保険に加入します。

社会保険料は一般的に収入の約14%(40歳未満の場合)となるため、自分で社会保険を支払うと手取りが大きく減ることになります。扶養の範囲内で働く場合は、社会保険料の負担が発生しないように注意する必要があります。

1-3. 年収の壁(◯万円の壁)とは?

扶養内で働くためには、「税金」と「社会保険」の負担を考えなければなりません。年収がいくらになるとどのような負担が発生するかをみていきましょう。

その年収を超えると税金や社会保険に影響が出てしまう金額というのが、年収の壁(〇万円の壁)と言われるものです。いつくかある年収の壁のうち、手取額が大きく減ってしまうのが、社会保険料の負担が発生する130万円の壁(または106万円の壁)です。

■年収の壁のまとめ

100万円住民税が発生するライン
各自治体により住民税がかかる年収が異なる(100万円・96.5万円・93万円)
103万円所得税が発生するライン
130万円(一部106万円)被扶養者から外れ社会保険料の負担が発生するライン(130万円)
一部106万円またはその他要件※2で社会保険加入義務が生じることがあります。
150万円配偶者特別控除の上限(控除額38万円)が受けられるライン(夫の給与収入が1,120万円以下)
201万6000円配偶者特別控除(夫の年収によって控除額は異なる)が受けられなくなるライン(夫の給与収入が1,220万円以下)

※2 年収が130万円未満であっても、1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上である、かつ、1カ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上である場合には、社会保険料の負担が発生します。

2. 扶養内で働くなら社会保険料の負担が発生しないよう調整!収入重視なら150万円以上稼ぐ!

扶養の範囲内で働くことができ、かつ手元にできるだけ多くのお金を残すには、どのくらいの年収を目指して働けばよいのでしょうか?年収別に大まかにご紹介します。

2-1. 年収100万円以下:ほぼ全額が世帯年収にプラス

妻には所得税(自治体によっては住民税もかからない)、社会保険料がかかりません。収入がほぼ手取額となるため、世帯年収が底上げされます。

2-2. 年収103~130万円:大きな税・社会保険料負担なし(ただし年収106万円以上で負担増となるケースも)

年収103万円を超えると所得税が発生しますが、年収130万円未満であれば夫の社会保険の被扶養者であるため、自分で社会保険料を支払う必要はありません。税率も低いため負担額は大きくありません。

ただし、大企業でパートをしている人などは、年収106万円(月収8.8万円)以上になると社会保険料の負担が発生します。手取額を大きく減らしたくない場合は、年収106万円未満に抑える必要があります。ちなみに、社会保険料の負担によって減った手取額を回復できる分岐点は、年収約123万円です。

2-3. 年収130~150万円:一気に負担が増えるレッドゾーン

年収130万円以上になると、社会保険の被扶養者でなくなるため、社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)の負担が発生します。

勤め先の社会保険に加入する場合(条件によっては、自分で国民健康保険・国民年金に加入するケースもあります)の保険料(自己負担分)は一般的に収入の約14%(40歳未満の場合)程度であるため、たとえば年収が131万円だった場合、年間でおよそ19万円近い負担になります。上記の106万円と同様、手取額が一気に減るため、社会保険料の負担を回避したい場合は、年収130万円未満におさえる必要があります(年収130万円未満であっても、一定の条件を満たす場合は社会保険に加入します)。

社会保険料の負担により減った手取額を回復できる分岐点は、年収約150万円~約170万円となります。

手取額だけで考えると、社会保険料の負担分が「働き損」となってしまいますが、社会保険に加入することにより、将来もらえる年金額が増えるなどのメリットもあります。

2-4. 年収150万円以上:税・社会保険料負担は増えるが収入もアップ

年収150万円は配偶者特別控除の上限額を受けられる金額であり、それ以上になると夫の配偶者特別控除の控除額が徐々に減っていきますが、一方で本人の収入は社会保険料の負担により減った手取額を回復できる金額でもあります。

150万円を超えると、税金(所得税・住民税)、社会保険料の負担額は増えますが、手取額もアップしていきます。収入増加を優先する場合は、扶養内で働くことにこだわらず、150万円以上の年収を目指すのがよいでしょう。

3. まとめ:子どもの成長に合わせた働き方で将来に備えよう!

子どもがまだまだ小さいうちは、働く時間も限られるため、収入が少ないことが多いでしょう。

しかし、徐々に子どもの手が離れるにしたがって、仕事に集中できる時間も確保できるようになるため、将来必要になるお金に備え、収入アップを狙いたいときです。状況にあわせたベストな働き方を見るけることで、子育てとの両立も叶え、働き方や収入確保への満足度も高まるのではないでしょうか。

ぜひ参考にしてみてください。

※本記事は2019年12月時点の情報をもとに作成しています。

倉沢れい執筆:倉沢 れい (編集者・ライター)
大学卒業後、IT企業や翻訳会社を経て、出産を機にライターとしての活動を開始。子育てや女性の生き方の分野を中心に、ママがよりよく子育てを楽しむための情報をわかりやすくお伝えしています。
 

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