「がん」になる前に知っておきたい!治療とお金の話|FPレクチャー1

2022-04-06

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現在日本では、男性の3人に2人が、女性の2人に1人が一生のうちに何らかのがんに罹患すると言われています。

厚生労働省が発表した罹患者数予想では、2013年に86.2万人だった罹患者数は、2017年には101.4万人にまで達していると推測されています。

さらに日本は世界的に見ても、先進国と言われている国の中でがんの罹患・死亡率が増え続けている唯一の国とも言われ、まさに世界トップクラスのがん大国なのです。

そこで今回は、育児真っ最中のママたちが、がん治療の現実や気になるお金事情について話しを聞いてきました。

講師には、「がんとお金」のコンサルティング会社の代表取締役をつとめながら、自らもがん治療支援者として活躍する高橋義人さんを迎え、リアルながんの治療現場についてお話をしていただきました。

1.女性が罹患しやすいがん第1位は「乳がん」

国立がん研究センターがん対策情報センターの調査(2018年)によると、女性がもっとも罹患しやすいがん第一位は「乳がん」となっています。

「罹患のピークが45~49歳といわれる乳がんは、まだまだ育児に追われ、家庭内でも重要なポストを担う女性たちが罹患しやすいのです」と高橋さん。

ただし、女性の死亡者数が最も多い大腸がん対して、乳がんの死亡者数は第5位と、罹患者数の多さに比べ、死亡者が少ない傾向にあります。

要するに、乳がんはかかりやすいけれど、治る可能性の高いがんであるといわれているのです。

「乳がんが見つかったら、他臓器への転移があるケース以外は、基本的に乳房にメスを入れて、がんの切除手術を行います」

ただ、乳房は女性にとって大切な部位。切除すれば治ると言われても、女性たちにとっては、なかなか簡単に割り切れないという点が問題なのです。

2.「乳房切除」しか選択肢がないと思っていませんか?

「もしみなさんが乳がんに罹患して、お医者さんから乳房の切除手術をしましょうと言われたら、どうしますか?」

高橋さんの問いかけに、「命と引き換えであれば、仕方ない」もしくは、「可能であれば、手術以外の治療法も検討したい」と答えるママたち。

やはり「先生のすすめなら、積極的に受けたい」と答えるママは、誰一人としていませんでした。

現在の医療現場では、乳房にメスをいれ、がんを切除する手術が主流とされているため、担当医師からすすめられるまま、手術を受ける女性たちが多いのも現実。

しかし、最近ではメスを使わず、乳房を傷つけない治療法が開発されており、日本国内で最先端の乳がん治療を受けられるという選択肢も広がっているのです。

3.がん治療の格差を生む「情報」と「お金」

「メスをいれず、乳房を傷つけない治療があるのに、なぜ切除手術以外の治療を受ける患者さんは少ないのでしょうか?」と高橋さん。

実は、受けたい治療が受けられない理由があるのだといいます。

それこそが、治療の格差を生む「情報」と「お金」なのです。

3-1.健康保険適用外の新たな治療法は医師から教えてもらえない現実

治療方法に関して多くの「情報」を得ることは、治療の選択肢を広げ、さらには生きる可能性を広げることにつながります。病気を抱えた人たちにとって、「情報」とはそれほど重要なものなのです。

しかし現実的には、治療方法に関する情報を与えてくれるのは、担当の医師のみ。医療分野に精通していない一般の人が、正確な医療情報を得ることは難しいため、多くの人が担当医師のみに頼らざるを得ないという状況にあります。

基本的に医師は、「診療ガイドライン」と呼ばれる適切な診断と治療を補助することを目的に作成されたルールに沿って病気の診断や治療などを行なっています。

そこで知っておかなくてはいけないことは、 基本的に医師からは「診療ガイドライン」に載っていない治療法を提案されることはないということ。そして、まだ健康保険が適用になっていない乳がんの最先端の治療法は、「診療ガイドライン」に記載されていないのです。

すなわち、自分自身で情報収集をしなければ、最先端の治療法を知り得ることできないというのが現実。納得いく治療法が受けられるかどうかは、情報収集力と深く結びついているのです。

3-2.がん治療の壁になるお金事情

さらに問題は、新しい治療法には多くの費用がかかるということです。

受けたい治療があるけれど、お金がなくて受けられない……。
「厳しいお金の現実にぶち当たるケースが多い」と高橋さんは話します。

3-2-1.全額自己負担となる最先端治療

なぜ最先端の治療法にかかる治療費が高いのか?
それは健康保険が適用外の「自由診療」または「先進医療」に該当するからだといいます。

では、がん治療に健康保険適用外の新しい治療法が多いのはどうしてでしょうか?

その理由は、そもそも一部のがん以外、発生の原因が明確にわかっておらず、治療法が確立されていないという背景があります。

そのため、新しい治療法が次々と開発され、そのような治療法を受けようとすると、事例が少なく、安全性と治療効果を確認するための科学的根拠が乏しいなどの理由から健康保険が適用されず、全額自己負担となってしまうのです。

3-2-2.がんによって減少する収入と膨大する支出

「治療費がかさみ、支出が増える一方、がん治療と仕事の両立が困難となり、仕事を辞めざるを得ない状況になり、収入が減ってしまうケースもあります」と高橋さん。

実際、平成25年に東京都福祉保健局により実施された「がん患者の就労等に関する実態調整」によると、がんにかかった後、なんと56.8%の人が「個人の収入が減った」と回答しているといいます。

「さらにがん治療に必要なのは単純に治療費だけではありません」
実際にがんにかかった場合、どんなお金がどれだけ必要となるのか、家計を守るママたちにとっても非常に興味深い話が続きます。

4.がんに必要となるお金に備える方法

がんに罹患した時の資金繰りのことを表す「がんファイナンス」という言葉があるように、がん治療に専念する環境を整えるためにも、お金の問題は避けて通れません。

それでは、いったいどのようなお金を用意しておくべきなのでしょうか?

4-1.がん治療を支えてくれる3つのお金

「がん治療に際して、3つのお金への備えが必要となります」と高橋さん。

その3つが以下の費用に必要なお金です。

がん治療に必要な3つのお金

  1. 「健康保険が適用になる標準治療」に対応できる治療費
  2. 全額自己負担となる「自由診療」や「先進医療」に対応できる治療費
  3. 家族の生活や「QOL(Quality of life)」を維持する費用

がんがどのような状態で見つかるのかは、その時になってみなければわかりません。

また、がんの状態によって、どのような治療がベストなのかも判断がつかないため、選択肢を広げておくためにも治療に使えるお金を十分に用意しておく必要があるといいます。

さらに、がんに罹患して必要になるお金は、治療費だけではありません。

闘病中も家族を支えるための生活費や「QOL」とよばれる日常生活の満足度を維持するためのお金について備えておくことも重要なのです。

4-2.準備しておくべきお金の目安とは?

早期発見の場合、健康保険適用の標準治療を受け、自己負担額が20万円以内で治療が終わってしまうような患者さんがいる一方、がんが転移した状態で見つかった場合、多額の治療費がかかってしまうこともあります。

しかし、がんがどのような状態で発見されるかは予測がつかないため、多額な治療費がかかる場合に備えて、ある程度余裕を持って治療費を準備することが必要なのです。

「治療費の目安として最低でも300万円、さらに家族の生活を守るための費用として200万円程度のお金は用意しておいていただきたいと思います」

合わせて考えると、500万~1000万程度は一時金として備えておくと安心だといいます。

こどもの教育費やローンの返済など、出費がかさむママ世代にとっては「がんの備え」として用意するにはあまりにも大きな金額です。

そのため、万が一に備えて加入しておくと安心な「がん保険」について、話がおよびました。

5.加入損してない?がん保険の上手な選び方

世帯加入率は、なんと6割を超えると言われている「がん保険」。

しかし、いざという時に本当に使える保険かどうか、きちんと見極める必要があるといいます。

5-1.がん保険だけでは不十分!がんに備える保険のチェックポイントを知ろう

「がん保険」への加入を検討している方はもちろん、すでにがん保険等に加入済みの方にもぜひ確認してもらいたいというチェックポイントを高橋さんから教えていただきました。

<がんに備える保険に関するチェックポイント>

  1. 「健康保険」を使った治療に対応していますか?
  2. 「自由診療」や「先進医療」の治療に対応していますか?
  3. 生活費や「QOL維持」のために使える「一時金」が支給されますか?
  4. 再発時のサポートは、はじめてがんと診断されてから何年後の再発から保障されてますか?
  5. 「リビンングニーズ特約」はついていますか?

これらの中でも、特に確認してほしいのが「リビングニーズ特約」(上記5)だといいます。

「リビンクニーズ特約」とは、余命6か月以内と判断された場合に、本来は亡くなったときに支払われる死亡保険金を生前に受け取れるというもの。

その時、最優先に考える治療費もしくは生活費などの支出にあてることができるため、「リビングニーズ特約」がついていることで、金銭面でも非常に大きなサポートとなるのです。

また、がんに罹患して一番お金がかかるのは再発・転移した時。

「100万円の一時金では、全く足りません」

そこで、再発・転移したときの治療費に十分に備えられる保険であること(上記4)が重要です。
がん保険の中には、1度診断給付金をもらった後も2年経過していれば、再度がんと診断された場合にまとまった一時金を受け取ることができる(2年に1度、回数無制限)保険もあるそう。

また、注目してほしいのが、「がん保険」の見直しについてです。
医療の分野は日進月歩で変化しており、従来のがん治療から急激に変化の方向に向かっているため、がんの治療法が変わった場合に、がん保険によっては新しい治療法に対応できなくなる可能性があるのだそう。

そのため、すでに加入いる人は、都度見直しを行うことが今後重要になってくると言います。

※リビングニーズ特約については、以下の記事をご参照ください
 →「リビングニーズ特約を賢く使うためのメリット・デメリット

6.がん治療に必要な3つのチカラとは?

今回、高橋さんのお話を聞き、「もし自分自身や家族ががんになってしまったら……」と、あらためて考えさせられママたち。

最後に高橋さんから、「がんと闘うために大切なのは、経済力、知識力、希望力です」と、厳しいがん治療と向き合うために必要な3つの要素を教えていただきました。

年齢的にもまだ若く、育児に家事にと日々忙しいママたちにとって、「まさか私が……」ととらえがちな「がん」という病。罹患してからでは遅いため、忙しい合間にもしっかり検診を受けたり、加入している「保険」内容をあらためて見直したり、未来のために今できる「備え」を家族みんなで行なっていきたいものですね。

【FPレクチャー記事】
節約だけに頼らない!ママたちもお金を増やす力を身につけよう|FPレクチャー2

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※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。