民間や自治体などの奨学金の種類|おさえておきたい基礎知識

2022-03-07

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一般的に奨学金と言えば日本学生支援機構(旧 日本育英会)の奨学金制度のことを指して語られます。しかしそれ以外でも、例えば地方公共団体の奨学金をはじめ、民間の奨学金として企業系の財団法人等の奨学金制度、交通事故遺児のための奨学金などもあります。

この記事では、日本学生支援機構以外の奨学金制度にどんな種類があるか、特に民間の非営利団体、地方公共団体や企業の財団法人等が提供している奨学金制度について概要を説明していきます。奨学金についての基礎知識として覚えておくとよいでしょう。

なお、日本学生支援機構の奨学金については下記ページをご覧ください。
・「かんたん!日本学生支援機構(旧 日本育英会)の奨学金を知ろう!

※本記事は公開当時の情報をもとに作成しています。最新の内容とは違う可能性があります。

1.民間や自治体などの奨学金の種類

民間のものを中心に、おもな奨学金の種類をご紹介します。

1-1.あしなが育英会

あしなが育英会とは、保護者である親が病気や災害、自殺などで亡くなった、または重度の後遺症障害で働けない家庭のこどもたちの援助を行う非営利団体です。

元は交通事故遺児会として発足し、街頭募金や継続的に送金してくれる通称「あしながさん」の支援により進学できた交通遺児が、恩返し運動として1983年に災害遺児の奨学金制度をつくる運動を始めました。
1988年には災害遺児奨学金制度が発足し、さらに進学した災害遺児が病気遺児の奨学金制度づくりを呼びかけることで病気遺児奨学金制度が発足し、それに合わせてあしなが育英会が誕生しました。

あしなが育英会は高校、大学、専門学校などに通う経済的に苦しい遺児らに奨学金を貸し出す支援を行っています。奨学金は無利子であり、高校・高専の奨学金は国公立2万5千円/月、私立3万円、大学・短大の奨学金は4万円、5万円、専門学校の奨学金は4万円、大学院の奨学金は8万円となっています。

■あしなが育英会の奨学金の額

区分貸与額(月額) 
高等学校・高等専門学校国公立:2万5千円
私立:3万円
大学・短期大学4万円または5万円
専修・各種学校4万円
大学院8万円

※2022年3月時点

返済期限については、卒業後20年以内に返済するしくみとなっています。

また、金銭面での援助だけでなく、阪神淡路大震災や東日本大地震の支援として施設の建設や海外遺児の支援も行っています。

1-2.交通遺児育英会

交通遺児育英会は、保護者が道路上で起きた交通事故が原因で亡くなる、または重い後遺障害となり働けずに収入がないなどのため、経済的に就学することが困難になったこどもたちを援助するべく、高等学校、大学等の学資や、入学一時金、進学準備金等を奨学金として無利子で貸し出して支援しています。

応募できるのは以下の条件に当てはまる生徒・学生となります。

  • 保護者(主に父親か母親)が、道路上の交通事故で亡くなった、または後遺障害者(「自賠法施行令別表第1および別表第2の第1級から第7級の障害」、または「身体障害者福祉法の第1級から第4級の障害」に該当)になったため収入がなくなってしまった
  • 高等学校以上の学校に在籍している

奨学金の貸与額(月額)は、大学・短期大学の場合で2万円、3万円、4万円からの選択となります。

■交通遺児育英会の奨学金の額

区分貸与額(月額)  ※選択制
高等学校・高等専門学校2万円、3万円、4万円
専修学校高等課程2万円、3万円、4万円
大学・短期大学2万円、3万円、4万円
専修学校専門課程・各種学校2万円、3万円、4万円
大学院3万円、6万円、8万円

※2022年3月時点

また、この制度の特徴は、日本学生支援機構や地方公共団体等の奨学金制度、そして授業料減免制度と併せて利用できることです。
(併願するもう一方の団体によっては重複貸与を認めていないところもありますので、関係する団体にお問い合わせください。)

1-3.大学や地方公共団体の奨学金制度

奨学金制度は、大学や短期大学、都道府県や市区町村などの地方自治体にもあります。
大学の奨学金制度を希望する際には、現在在学している、もしくは進学先の大学に奨学金制度があり条件にあてはまらなければなりません。地方公共団体等が行っている奨学金制度は、こどもが親元を離れて遠隔地の学校に通っていても、保護者の居住地から支援を受けられるものも存在します。

どの大学・地方公共団体が奨学金制度を実施しているかは、日本学生支援機構のWEBサイトで検索を行うことができますので、まずはご自身が受けることができる奨学金がどのくらいあるのかを調べてみてください。(令和2年12月現在で、大学:406校、短期大学:132校、地方公共団体・奨学金事業実施団体等:884団体が登録されています。)

→ 大学・地方公共団体等が行う奨学金制度(日本学生支援機構)

また、さらに詳しい情報、具体的な条件や申し込み方法などの情報は、進学を希望している大学(短期大学含む)や居住地域、出身地の役所のWEBサイトで調べたり、直接問い合わせてみてもよいでしょう。

1-4.各企業の育英会

さまざまな民間企業や企業の創業者等が財団法人を設立し、育英会として奨学金を貸与しています。
例えば、YKKグループの「吉田育英会」や、ヤンマー株式会社の「山岡育英会」など、多くの企業系育英会が奨学金制度を設けています。なかには返済不要の給付型の奨学金もありますが、各育英会ごとに採用条件があり、大学や学部が指定されている場合もあります。

企業の奨学金については、進学した大学などに募集の案内がきますので、大学等で詳しい内容を確認するとよいでしょう。

2.まとめ:自分の進路に合った奨学金を選ぼう!

ここまでみてきたように、日本学生支援機構以外にも民間にも多くの奨学金制度がありその種類は豊富です。なかには重複貸与を受けられるものや無利子で借りることができるもの、給付型のものなども存在しています。
まずは自分の今後の進路をしっかりと定め、そしてそれにあった奨学金を検討しましょう。

自分の今後の進路にあった奨学金を検討、活用することで、あなたの学生生活がより実り多いものになることを願っています。

※この記事の情報は2022年3月時点のものです。

敷田 憲司(Webマーケティングコンサルタント)執筆:敷田 憲司(Webマーケティングコンサルタント)
1975年福岡県北九州市生まれ。SEOやPPC広告運用、コンテンツ企画からライティングも行うサッカー大好きなコンサルタント。書籍も多数執筆。金融システムの開発や保険サイトに携わった経験から、保険や金融の有益な情報を届けします

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