シングルマザーの子育て費用とひとり親世帯向けの行政サポート

2022-09-14

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もし離婚や配偶者との死別等で、シングルマザーとして母親ひとりで子育てをする場合、お金の問題は避けて通れないのではないでしょうか。

子どもたちが成長するにつれ、教育費もかかってくるため、将来のお金に対して漠然と不安を抱えてしまうものです。

そこで今回は、子どもの年齢別におよそいくらの子育て費用や教育費がかかるのかを解説するとともに、ひとり親世帯が受けられる行政サポートについてもご紹介します。

1.0歳~中学生までに必要になる「子育て費用」とは?

自分ひとりの生活であれば、ある程度はなんとかなるものの、シングルマザーになると、経済的にかなり厳しい現実をつきつけられてしまいます。

では、子どもを育てるのに一体どれくらいのお金が必要となるのか?

今回は、内閣府の『インターネットによる子育て費用に関する調査』(平成21年度)を参考に、0歳~中学生までの年齢別にかかる年間の平均子育て費用を解説していきます。

1-1.未就学児(0歳~6歳)にかかるお金

生まれてから小学校に入学するまでの期間は、まだ子どもが小さいこともあり、お金がかからない時期なんて言われますが、年間で約104万円かかる見積もりです。

そのなかでも、未就園児の場合は約84万円、保育所・幼稚園児の場合となると約122万円が必要となってきます。

年齢別に見ていくと、0~2歳の頃は、おむつ代などの「生活消耗品」が年間7~9万円ほどかかり、3歳以降に比べて最も「生活消耗品」の出費がかさむときです。

「保育所・幼稚園児」になると、もっとも大きい支出は「保育費」ですが、ひとり親世帯の場合は、世帯の所得に応じて保育園の保育料は減額・免除になり、さらに市区町村によっては助成金を受け取れる場合もあります。

幼稚園に通っている場合も、補助金を受けられますが、受給内容は、市区町村によって異なるため、詳細はお住まいの自治体の窓口で確認しましょう。

ちなみに、2019年10月から始まる「幼児教育・保育の無償化」により、今後は負担は大きく減ることになるでしょう。

1-2.小学生(年間)でかかるお金

小学生になると1人当たりの年間費用は約115万円と、「保育料」が減った分、保育所・幼稚園児よりもやや少なくなる傾向にあります。

しかし、「食費」や「学校教育費」の項目が0~3歳の頃と比べ、徐々に増えてくる時期。

「食費」に関しては未就学児に比べ5~10万円ほど増額し、さらに今まで必要なかった「学校教育費」が10万円ほどかかってきます

1-3.中学生(年間)でかかるお金

「食費」、「学校教育費」、「学校外教育費」など、成長と教育に必要なお金がぐっと上がる中学生の子育て費用は年間で約156万円。

「食費」は0歳の頃と比べて約3倍もふくらみ、年間約36万円はかかる見込みとなっています。

また小学校に比べて「学校教育費」も高額になり、中学校1年生で約33万円、2・3年生になると約25万円が必要となります。

さらに「学校外教育費」が1学年ごとに多くなり、中学3年生になると年間約36万円もの金額が「学校外教育費」としてかかってきます。

2.義務教育を終えて高校と大学でかかる教育費

無事、義務教育を終えた後、どのような進路を進むかで用意すべき金額も異なってきます。

特に大学に進学するとなると、かなり大きな金額が必要となるため、シングルマザーの負担も大きくなりがちです。将来を見据えて、今からシミュレーションをしておくと、安心でしょう。

2-1.高校でかかる年間教育費

高校に進学するにあたって、学校の選択肢も広がってきます。では、高校生になると、どれだけの学費が必要となるのでしょうか?

文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」によると、公立高校の年間の学校教育費は約28万円、私立高校になると約76万円もの教育費が年間で必要となります。

しかし、「高等学校等就学支援金制度」という国の制度により、公立高校では、全日制の場合は月額9,900円(年額11万8800円)が支給され、実質授業料は無料。

私立高校では、一律月額9,900円(年額11万8800円)が支給され、さらに世帯収入によって加算がおこなわれます。世帯年収の目安(モデル世帯)が590万円未満の場合は年額17万8200円、350万円未満の場合は年額23万7600円、270万円未満の場合は年額29万7000円が加算されます。

2-2.大学生でかかる年間教育費

高校卒業後、大学へ進学するとなると、さらに莫大な学費が必要となります。

万が一、お金が用意できないという場合でも、奨学金を利用することで、足りない部分を補いつつ、わが子の進学をサポートすることは可能です。

■国立大学に進学した場合

入学金28万2,000円
授業料53万5,800円×4年間
4年間合計242万5,200円

※このほか施設費、実習費、諸会費などを徴収される場合があります
※単純に4倍としていますが、大学・学部によっては学年が上がるにつれて授業料・施設設備費などが変動する可能性があります

■公立大学に進学した場合

入学金39万3,618円
授業料53万8,633円×4年間
4年間合計254万8,150円

※入学金は地域外入学者の平均額を記載(地域内入学者の入学金の平均額は230,186円)
※このほか施設費、実習費、諸会費などを徴収される場合があります
※単純に4倍としていますが、大学・学部によっては学年が上がるにつれて授業料・施設設備費などが変動する可能性があります

■私立大文系に進学した場合

入学金23万1,811円
授業料78万1,003円×4年間
施設設備費15万2,496円×4年間
4年間合計396万5,807円

※単純に4倍としていますが、大学・学部によっては学年が上がるにつれて授業料・施設設備費などが変動する可能性があります

■私立大理系に進学した場合

入学金25万4,941円
授業料110万1,854円×4年間
施設設備費18万4,102円×4年間
4年間合計539万8,765円

※単純に4倍としていますが、大学・学部によっては学年が上がるにつれて授業料・施設設備費などが変動する可能性があります

3.シングルマザーにうれしい行政サポートを知っておこう

ひとりで子どもを育てるとなると、金銭的な負担も大きく、誰かに頼らざるを得ないのが現実です。

市町村でもさまざまなサポートを行っているため、まずはどんな制度があるかを理解し、必要な手続きを行いましょう

3-1.児童手当

ひとり親家庭のみならず、すべての家庭を対象に、0~15歳の子どもを養育している人に支給される手当金。

0~3歳未満で1万5千円、3歳~小学校終了までで1万円(第1・2子)、1万5千円(第3子以降)、中学生は一律1万円が支給されます。

※児童手当には所得制限が設けられています。所得制限を超える場合は、一律5千円の支給となります。

3-2.児童扶養手当

ひとり親家庭などの18歳未満(18歳になって最初の3月31日まで)の児童を対象に国から支給される手当金です。

児童1人(全額支給)の場合、月額42,910円が支給され、兄弟がいる場合は、2人目10,140円、3人目以降6,080円と金額が加算されます。

※児童扶養手当には所得制限が設けられており、所得に応じて全額支給または一部支給となります。所得制限を超える場合は、手当の支給はありません。

3-3.ひとり親家族等医療費助成制度

ひとり親家庭で養育されている18歳未満(18歳になって最初の3月31日まで)の子どもを対象に、医療機関で診療を受けた場合、その窓口で支払う自己負担額の一部を助成する制度です。

受給の条件や支給金額は各市区町村によって異なりますので、役所に相談してみてください。

3-4.母子家庭等の住宅手当

20歳未満の児童を養育しているひとり親家庭で1万円以上の家賃を支払っている場合に対象となります。

しかし、各自治体によって制度の有無や条件がかなり異なります。

例えば東京都武蔵野市の場合は、以下が助成対象となり、月額1万円(家賃が1万円以下の場合は支払家賃相当額)の助成が受けられます。

  • ひとり親家庭であること(注1)
  • 民間の共同住宅をご自身で借りて家賃を支払っていること(独立行政法人都市再生機構住宅、市営・都営・都民住宅、社宅、社員寮等を除く)
  • 武蔵野市内に引き続き6カ月以上在住していること
  • 所得制限限度額未満であること

(注1)ひとり親家庭とは、次のいずれかの状態にある児童と、児童を監護しているひとり親である父または母もしくは父母以外で児童を養育しているかたをいいます。
•父母が離婚した児童
•父または母が死亡した児童
•父または母が生死不明である児童
•父または母に1年以上遺棄されている児童
•父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた児童
•父または母が法令により1年以上拘禁されている児童
•婚姻によらないで生まれた児童

出典:武蔵野市ホームページ(ひとり親家庭等住宅費助成制度)

詳細については、お住まいの自治体窓口にご相談ください。

3-5.JRの通勤定期乗車券割引

ひとり親家庭など児童扶養手当を受けている世帯の家族に対して、JRの通勤定期乗車券を購入する場合、およそ3割引きで購入できる制度です。

4.まとめ:子どもたちのよりよい未来のためにできることは?

ひとくちにシングルマザーといっても、抱える事情はそれぞれでしょう。しかし、よりよい将来を迎えるためにやるべきことは、生きるための生活費はもちろん、今後子どもたちに必要となるお金についてしっかり考え、必要なサポートをきちんと理解しておくことです。

一人で抱え込まず、行政のサポートなど、頼れる制度をしっかり活用し、家族の未来を守っていくことを考えていきましょう。

※この記事の情報は2019年8月時点のものです。

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