かんたん保険診断

がん保険は終身がオススメ|定期との違い、加入時の注意点など

  • 公開日:2017年12月07日
    最終更新日:2022年04月04日
  • 医療保険

2022-04-04

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2人に1人はがんになると言われ、生涯の罹患リスクが高いことから、終身がん保険の需要が高まっています。

がん保険には、この終身タイプと定期タイプがあり、がんの罹患率の傾向や長期的な保険料支払いの負担を考えると、終身タイプ(終身がん保険)がおすすめです。ただし、終身がん保険なら何でもよいというわけではありません。しっかり保障される商品を選ぶために注意すべき点もあります。

この記事では、終身がん保険をおすすめする理由についてデータにもとづいて詳しく説明するとともに、がん保険を選ぶとき注意ポイントも解説しています。良いがん保険選びの参考情報として、ぜひお役立てください。

1. がん保険の終身と定期

がん保険は、がんの保障に特化した保険です。がんは治療が長引いたり再発することがあり、治療費が高額になることもあるため、がんの保障に手厚いがん保険が広まっています。

このがん保険には、保障期間の違いで終身タイプと定期タイプがあります。将来を見据えて加入するのであれば、終身タイプに加入するのがおすすめですが、その詳しい話をする前に、まずは終身タイプと定期タイプの違いについてみていきましょう。

1-1. 保障が続く期間が違う

終身タイプのがん保険は、その保障が一生涯続きます。一方で、定期タイプのがん保険は、保障期間が10年、20年などとあらかじめ決まっています。定期タイプでも、保障期間終了後にさらにもう10年などと更新は可能なので、更新を重ねて長期間加入し続けることはできますが、70歳や80歳など保険会社が定める年齢を超えると更新ができなくなります。

1-2. 保険料のかかり方が違う

終身タイプのがん保険(終身がん保険)は、保険に加入したときに決まった保険料をその後もずっと払い続けていきます。一方で、定期タイプのがん保険は、更新をするとその時点の年齢に即した保険料に変わり(上がり)ます。そのため、定期タイプは加入当初は保険料が割安ですが、更新し続けて長く加入すると保険料は上がっていきます。

■がん保険|終身タイプと定期タイプの保険期間と保険料の違い

終身タイプと定期タイプは、がんの保障がこの先どれくらい必要かによって選ぶのが基本です。一般的には、生涯にわたっての保障を考えることが多いと思いますので、そのような場合は終身タイプにするとよいでしょう。

2. 終身がん保険をおすすめする2つの理由(メリット)

ここでは、がん保険に入るときに終身タイプをおすすめする大きな理由を2つ紹介します。

2-1. がんは高齢になるほどかかりやすく、生涯の保障が必要だから

終身がん保険をおすすめする1つ目の理由は、がんにかかるリスクは高齢になればなるほど飛躍的に高まるからです。70歳や80歳以上になると更新ができなくなってしまう定期タイプのがん保険では、がんリスクが最も高くなる年齢をカバーできません。

終身がん保険であれば一生涯保障が続くので、安心して長生きに備えることができます。

2-2. 長期的には終身タイプの方が支払う保険料が少なくなる

終身がん保険のメリットは保険料にもあります。終身がん保険では契約してから一定期間は、定期タイプに比べて割高な保険料を払わなくてはなりません。しかし、1章でも説明したように、定期タイプは更新するたびに保険料が上がっていくので、長期的に見た場合、保険料の総額は終身タイプの方が割安となるのです。

下表は、A社の終身がん保険と定期がん保険の保険料を同じ保障内容で比較したものです。40代までは終身がん保険の保険料の方が高いものの、その後逆転し60代では2倍近い差がついています。後述する保険料のシミュレーション結果からも、長期的な視野に立つ(総支払保険料額を考える)と終身がん保険の方がおトクであることがわかります。

■終身がん保険と定期がん保険の保険料比較(A社)
契約内容:30歳男性、入院日額1万円

保険種類終身がん保険定期がん保険
保険期間終身10年
保険料(月額)終身払い :1,710円30歳:   650円(月払)
40歳:   970円(月払)
50歳:1,780円(月払)
60歳:3,490円(月払)

ここで、実際に長期間がん保険に加入したときの終身タイプと定期タイプの支払保険料の総額を、上記保険の場合で比較(シミュレーション)してみましょう。

<30歳から70歳までの支払保険料の比較>

●終身がん保険の場合
1,710円×12ヵ月×40年=821,280円

●定期がん保険の場合
650円×12ヵ月×10年=78,000円
970円×12ヵ月×10年=116,400円
1,780円×12ヵ月×10年=213,600
3,490円×12ヵ月×10年=418,800円
78,000円+116,400円+213,600円+418,800円=826,800円

このように30歳加入で70歳まで支払った場合、終身がん保険の方が保険料は安くなります。平均寿命は男女とも80歳を超えていますので、その後も保険料を払い続けることを考えると、終身がん保険の方が安くすむことがわかります。

3. 終身がん保険のデメリットもおさえておこう!

ただし、終身がん保険にもデメリットはあります。

終身がん保険は、加入当初の保険料が高いため、途中解約した場合には、定期がん保険と比べて無駄に多くの保険料を支払う結果となってしまいます。
※3-2で紹介した保険であれば、70歳よりも前に解約すれば、定期タイプより多くの保険料を支払うことになります。

このように途中解約は保険料が割高になってしまうため、途中で新しい保険に入り直したいときに心理的なハードルとなってしまうことがあります。

もちろん、必要であれば多少損になっても、よりよい保険に入り直すべきですが、終身がん保険を契約する際は、一生加入し続けることを意識して、十分に吟味する必要があることを覚えておきましょう。

4. 終身がん保険を選ぶ際に注意すべき4つのポイント

ここまで、終身がん保険のメリットやデメリット、おすすめする理由について、保障期間と保険料に注目しながら解説してきました。とはいえ、がん保険にはそれ以外にもさまざまな注意点があり、実際に終身がん保険を選ぶ際には考慮に入れる必要があります。

以下ではそれらの点について見ていきましょう。

4-1. がん保険は契約後、約90日間は保障されない

終身タイプに限った話ではありませんが、がん保険には約90日間の待ち期間(待機期間)があり、その期間は、たとえがんと診断されたとしても、保障の対象とはならず契約も無効となります。

がんになっていても自覚症状がないまま保険に加入してしまうこともあり得るため、様子を見る期間を設けて契約の公平性を保つ仕組みですが、一般の医療保険にはない、がん保険特有の注意点です。

がん保険に加入する際にはこの待ち期間があるということをきちんと理解しておく必要があります。

4-2. 保険料を短期払いにすると、老後の負担が軽くなる

終身がん保険の保険料は、一般的に「終身払い」と「短期払い」という2つの支払い方法から選択することができます。

終身払いは文字通り生涯にわたって保険料を払い込む方法です。それに対して短期払いは、60歳や70歳など、所定の年齢までに全保険料を払い終える方法です。終身払いよりも月々の保険料は割高になりますが、払込終了後は保険料負担がなくなり保障だけが続くため、老後の負担が軽減されるというメリットがあります。

4-3. 診断給付金・通院治療への保障が充実したものがおすすめ

がん保険の保障のうち、特に重要な保障として診断給付金や通院治療に対する保障があります。これらの保障は保険会社や商品によって保障内容・支払い条件等が異なっているので、がん保険を選ぶ際に内容をしっかりと把握しておかなければなりません。

4-3-1. 診断給付金(一時金)の支払条件を要チェック

がん保険の中で最も保障の金額が大きいのが診断給付金です。
これは、がんと診断されたときにまとまった給付金を受け取ることができるもので、以前は初めてがんになったとき一回しか支払われませんでした。しかし最近では、がんが転移したり再発したりしたときでも、2年以上など一定期間を経過していれば二回目以降も給付金を受け取れる商品が主流となっています。

診断給付金(一時金)の支払条件を十分に確認して、複数回支給され、その条件も加入者にとって有利なものを選ぶようにしましょう。

4-3-2. 通院治療に対する保障内容と条件を要チェック

以前は入院・手術が主な治療法であったがんも、現在では通院による抗がん剤治療や放射線治療を行うことが多くなってきました。そのため通院治療に対する保障が充実しているかどうかが、がん保険を選ぶうえで重要なポイントとなっています。

がん保険には、以前から通院保障はついていましたが、この保障は、通院すれば必ず給付されるというわけではありません。一度入院して退院した後の通院のみを対象にしたものか、あるいは、入院の有無に関わらず3大療法等による通院も対象としたものか、受け取りの条件は各保険商品によって細分化されているので、それを確認する必要があります。

最近では、抗がん剤治療や放射線治療に特化した保障がついたがん保険もありますが、その場合も支払い条件はよく確認するようにしましょう。

4-4. 上皮内新生物への保障の有無は商品によって違う

がんは「上皮内」「悪性」の二つに大別することができますが、前者の上皮内新生物の扱いについても確認する必要があります。

上皮内新生物とは、悪性新生物と違って、治療を行えば転移や再発の可能性がほとんどないものです。一般的に上皮内新生物もがん保険の保障の対象となりますが、保険商品によっては、両者の保障内容が異なっている場合があります。たとえば、上皮内新生物が診断給付金の対象外となったり、給付額が減額されるものがあります。上皮内新生物については各保険会社の考え方によって取り扱いの仕方は違ってくるので、加入するにあたってはよくチェックする必要があります。

上皮内新生物へのがん保険での備え方については『上皮内新生物って何? 男女で違う「がん保険」での備え方』をご覧ください。

5.まとめ:がん保険は終身にするのが定石

ここまでご紹介したように、がん保険には終身タイプと定期タイプがあり、終身タイプの方が「保険料」と「保障期間」の両面でメリットがあります。そのため、特別に一定の期間に限った保障が必要という場合を除き、がん保険に加入するのであれば終身がん保険にというのが定石といえます。最後に、もう一度いくつかのポイントをおさらいします。

  • 定期タイプはある年齢を過ぎると更新ができなくなるが、終身タイプは一生涯保障が続く
  • 定期タイプは契約を更新するごとに保険料が上がるのに対して、終身タイプは契約時から上がらないため、長期的(一生涯)に見れば終身タイプのほうが割安となる
  • 終身がん保険は、途中での見直し(による解約)に対して心理的なハードルができやすいため、契約する際は一生涯加入することを前提によく吟味する必要がある

このように、がん保険は終身タイプが基本ではありますが、そのメリットとデメリットの両面を理解した上で、しっかりと保障される商品を選ぶようにするとよいでしょう。

※本記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています。

※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。

※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。