かんたん保険診断

大腸がんの治療とその費用|がん治療を知るシリーズ1

  • 公開日:2018年03月14日
    最終更新日:2022年03月15日
  • 医療保険

2022-03-15

https://www.kurashino-okane.com/medical-insurance/cancer-treatment1/

もし、がんになってしまった場合、どんな治療をして費用はどのくらいかかるのでしょうか?

がんは、以前と比べて治療による生存率が上がってきています。しっかりとした治療を受けるために、事前に基本的な治療法やそのための費用について知っておくことはとても大切です。もし高額な治療費がかかるなら、もしもに備えたお金の準備もしておいた方がよいでしょう。

そこで、今回からは、医療コーディネーターの高橋義人氏(株式会社M&Fパートナーズ 代表取締役)に「がん治療を知るシリーズ」として、がんの基本的な治療法を伺っていきます。がんの種類別に講演形式の記事でお届けしていきますので、どうぞお役立てください。

<講師のご紹介>

株式会社M&Fパートナーズ 代表取締役 高橋 義人

  • 略歴
    1988年明治大学卒業後、外資系大手生命保険会社に23年間勤務。
    現在はファイナンシャルプランナーとしての活動とともに、医療コーディネーターとして、がん患者さんへの情報提供やアドバイス等、治療支援活動を積極的に行っている。
    その他、セミナー講師として、マネープランやがんについての講演を年間100回以上行っており、累計のセミナー受講者数は5万人を超えている。
  • 講演テーマ
    「生きるためのマネーセミナー がんとお金の話」
    「最先端のがん治療とがんファイナンス」など

がん治療を知るシリーズ
第1回「大腸がんの治療とその費用」

(以下、講演形式でお届けします)

1.急増している大腸がん

近年、日本では大腸がんが急増しています。国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センターのがん統計(2018)によると、死亡者数の多いがんの部位は、男性が肺がん、胃がんに次いで大腸がんが第3位に、女性は乳がんや肺がん、胃がんなどよりも多く第1位となっています。

一方で、医療技術の進歩もあり、大腸がんは早期発見ができた場合、治癒も可能となってきています。40年前には30%台であった大腸がんの5年生存率(2009~2011年)は、71%以上となっています(国立研究開発法人 国立がん研究センター 地域がん登録によるがん生存率データ(1993年~2011年診断例)より)。

2.大腸がんの分類と治療

大腸がんは、大きく結腸がんと直腸がんに分けられます。結腸には上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸があり、日本人はS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。

また病期(ステージ)による分類では、0期~Ⅳ期までの5段階に分けられます。ステージは、がんの深さ、周りの臓器への広がり、リンパ節への転移、遠隔臓器への転移の有無により分類されます。

■ステージごとの一般的な治療

ステージ治療
0期~Ⅰ期内視鏡治療または手術
Ⅱ期~Ⅲ期手術(腸管の切除)およびリンパ節郭清(周辺のリンパ節の切除)
※がんの進行状況により手術後に抗がん剤治療
Ⅳ期

<転移先臓器含め切除可能>
 手術

<元々のがんのみ切除可能>
 原発巣(最初にできたがん)のみ手術
 転移巣は抗がん剤治療(化学治療)や放射線治療

<原発巣、転移巣ともに切除不可能>
 抗がん剤治療や放射線治療

※詳しい治療方法は専門の医師にご相談ください

3.大腸がんの新しい治療法

大腸がん(Ⅰ期~Ⅲ期)の治療において、体への負担が少ない新しい手術を行うところもあります。

3-1.腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術とは、お腹に数か所の孔をあけて、腹腔鏡と手術器具を挿入して行う手術です。お腹の中(腹腔)には、あらかじめ炭酸ガスや空気を入れて膨らませておきます。腹腔鏡下手術は、通常の開腹手術に比べて手術の傷が小さいため体への負担が少なく(手術後の痛みが少なく傷跡が目立ちにくい)、入院日数が短くてすむというメリットがあります。

3-2.ロボット支援下手術

ロボット支援下手術とは、お腹にあけた孔にロボットアームを挿入して行う手術です。ロボットアームの操作は、コンソールから医師が3D画像を見ながら行います。ロボットアームは複雑な動きができ、人が行う腹腔鏡下手術ではできない動きが可能です。
今まで以上に精度の高い手術が期待されていますが、大腸がんの手術は臨床試験の段階なので、治療費は全額自己負担となります。

4.大腸がんの治療費の目安

今回ご紹介した大腸がん治療の費用の目安は以下の通りです。金額は10割の額なので、健康保険で3割負担の方が実際に支払う金額は、下記金額の3割となります(ロボット支援下手術は10割)。

治療費用の目安(10割) 麻酔・病理診断費含む

■内視鏡的粘膜切除術(EMR)
治療費      ¥230,000
入院費(3日間) ¥310,000

■結腸がん開腹手術
治療費      ¥400,000
入院費(9日間) ¥650,000

■直腸局所切除術
治療費      ¥400,000
入院費(9日間) ¥640,000

■人口肛門造設術
治療費      ¥185,000
入院費(9日間) ¥425,000

■切除ができない場合の化学治療
FOLFOX+セツキシマブ(2週間) ¥416,000~490,000

■放射線治療
治療費(25回/50Gy) ¥480,000

■腹腔鏡下直腸前方手術
治療費       ¥1,120,000
入院費(16日間)  ¥1,500,000

■ロボット支援下手術
治療費       ¥2,800,000
入院費(11日間)  ¥3,070,000

※入院費には治療費が含まれます。

引用:「国立がん研究センターのがんとお金の本」(小学館)より

編集後記

がん治療を知るシリーズ、第1回目は大腸がんの治療について紹介していただきました。初期の大腸がんであれば、内視鏡手術や開腹手術のみで治療が終わり、自己負担額も約26~32万円くらいですみます。

しかし、ステージが進むにつれ、手術と放射線治療が併用されたり、治療期間も長くなってきたりします。そうなると自己負担額も大きくなっていきます。また、最先端のロボット支援下手術を受けたい場合は約600万円かかります。

初期のステージであれば、治療費を負担することも難しくはありませんが、そうでなければあらかじめ貯蓄やがん保険などで備えておくことも必要となってくるでしょう。また、経済的なことだけでなく、治癒を目指すという意味でも、やはり早期発見をすることがとても大切であるということを再確認できました。

日ごろからの健康管理とがん検診、そして、もしもの時のための経済的な準備をしっかりと行うようにしたいものです。

【がん治療を知るシリーズ】
 ・肺がんの治療とその費用|がん治療を知るシリーズ2
 ・肝がんの治療とその費用|がん治療を知るシリーズ3
 ・乳がんの治療とその費用|がん治療を知るシリーズ4

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