育児休業給付金ガイド!いつまで・いくらもらえる?基本知識を解説!

2022-04-06

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育休中に収入の一部をサポートしてくれる育児休業給付金、いわゆる育休手当。

給付についてはさまざまなルールがあり、受給条件や申請方法、いくらもらえるか、いつまでもらえるかなどなど、とにかく疑問点ばかり。

そこで今回は、育児休業給付金(育休手当)について、詳しく解説していきます。

1.育児休業給付金とは? まずは基本の知識をおさえよう!

育児休業給付金(以下、育休手当)とは、育児休暇中の収入を補う目的として支払われるお金です。

1-1.派遣やパートも対象! 受給条件を知ろう

育休手当は、子どもを出産したすべての人がもらえるものではありません。育休手当をもらうための条件をみていきましょう。

1-1-1.雇用保険に一定期間加入していること

雇用保険の一制度である育休手当は雇用保険に一定期間加入している加入者が受給対象となります。

つまり、雇用保険に加入して保険料を支払っている人であれば、派遣社員やパートの立場であっても、育休手当がもらえるというわけです。また、母親となる女性だけでなく、父親となる男性も受給対象です。

ただし、雇用保険に加入している場合でも、「育児休業開始日前の2年間に11日以上働いた月が12ヵ月以上ある」という要件を満たさなければ、受給対象にはなりません。

1-1-2.転職した場合の注意点

注意点したいのは、転職して現職についている場合。前職を退職した際にハローワークで基本手当(失業給付)の受給資格決定を受けると、雇用保険の加入期間がリセットされてしまうのです。その場合は、現職に就いてから11日以上働いた月が12ヵ月以上あるかという要件になります。

ちなみに失業手当を実際にはもらっていなくても、退職後にハローワークで離職票を提出して、基本手当(失業給付)の申請を行ってしまうと、同様に雇用保険の加入期間がリセットされてしまうので要注意です。

1-2.育休手当がもらえる期間はいつからいつまで?

育休手当は、条件によりもらえる期間が変わってきます。

1-2-1.原則は子が1歳になる前日まで

育休手当は、出産後(※1)子どもの1歳になる前日までで、育休を取り給料をもらっていない期間に対して支給される手当です。
(※1)産後休業期間(出産の翌日から8週間)は含まれない。男性の場合は出産当日から支給対象

ただし、以下(1-2-2~1-2-4)のような理由により、1歳の時点で一定の延長事由が発生した場合は、育休期間を延長し、育休手当の支給期間も延長することができます。

1-2-2.父母ともに育休を取った場合は子が1歳2か月になる前日まで

父母ともに育休を取得する場合は、子どもが1歳2ヵ月になる前日まで、育児休業給付金の支給対象期間が延長されます。(支給期間は最大1年)

ただし、以下の条件を満たす必要があります。

  • 育児休業の開始日が子の1歳の誕生日の前日以前である
  • 育児休業の開始日が、配偶者の育児休業開始日以後である
  • 子の1歳の誕生日以前に、配偶者が育児休業を取得している

1-2-3.認可保育園の空きがない場合は子が2歳になる前日まで

認可保育園に申し込みを行なっているけれど、子どもが1歳を過ぎても空きが見つからず育休をとる場合は1歳6ヵ月になる前日まで、さらに1歳6ヵ月を過ぎても空きがなく育休をとる場合は2歳になる前日まで(平成28年3月31日以降に出生の子どもが対象)育休手当の期間を延長できます。

1-2-4.子どもの主な養育者がいずれかの理由で養育できなくなった場合は子が2歳になる前日まで

常態として養育しており、子どもが1歳6ヵ月を過ぎてからも養育を行う予定であった配偶者が、下記いずれかの理由で子どもを養育できなくなった場合は、最大2歳まで育休手当の期間を延長できます。

  • 死亡したとき
  • 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により養育が困難なとき
  • 離婚等の理由で養育予定の配偶者が子と同居しないことになったとき
  • 下の子を6週間以内に出産する予定、もしくは産後8週間を経過しないとき

1-3.育児休業給付金の支給日はいつ?

育休手当は、産休後に申請(母の場合)、そして審査が通ったのち、晴れて給付を受けられます。申請から支給までには一般的に2~3ヵ月はかかるため、初回の支給は出産から早くても約4ヵ月はかかるでしょう。

その後の支給は原則2ヵ月ごと(2ヵ月分まとめて)になります。ただし、希望すれば1ヵ月ごとの支給も可能です。

ちなみに産後4ヵ月もの間、「何の手当も受け取れないの?」と不安に感じるかもしれませんが、育休手当以外に、産休中のお給料を一部サポートしてくれる出産手当金があります。出産手当金は、産後2~3ヵ月後に受け取れるのが一般的なので、育休手当が出るまでの収入となります。

出産手当金について詳しく知りたい方は、『出産手当金は「いつ」「いくら」もらえる?支給額や申請方法を解説! 』の記事を参考にしてください。

2.育児休業給付金はいくらもらえる?計算方法を解説

育休手当はいくらもらえるのでしょうか?計算式から算出することができるので、確認しておきましょう。

2-1.育休手当の計算方法

育休手当の支給は育休開始からの日数によって、支給額が異なります。

育休開始から6ヵ月までは休業開始時の給料の67%が支給され、6ヵ月以降については、月収の50%が支給されます。

■育休手当の計算方法 

休業開始時賃金日額(※2)×支給日数×67%(ただし6ヵ月経過後は50%)

(※2)「休業開始時賃金日額」は、育休開始前の6ヵ月分の収入の合計(賞与は除く)を180(日)で割った数字です。

したがって、アルバイトやパートで、月によって収入にばらつきがある人の場合は、過去6ヵ月の平均月額の67%ということになります。

なお、育児休業中であっても賃金が支払われている場合は、その額に応じて育休手当の金額が調整されたり不支給となったります

2-2.育休手当の上限と下限

育休手当は、誰でも月収の67%の金額がもらえるというわけではなく、基準となる月収(賃金月額)には上限額と下限額があります。賃金月額(上記、休業開始時賃金日額×支給日数)の上限は450,600円、下限は77,310円となります。

したがって、育休前の月収が450,600円を超える場合であっても、450,600円の67%が支給され、逆に月収が77,310円を下回っていても、77,310円の67%が支給される計算です。

そのため、育児手当としてもらえる金額の上限は301,902円、下限は51,797円となります。(育休開始から180日目までの場合)

※令和3年8月1日現在の賃金月額の上限額と下限額をもとに算出しています,

3.育児休業給付金をもらうための手続きと必要な書類とは?

育休手当の手続きは、勤務先の企業が行なってくれるのが一般的です。

勤務先の担当者にあらかじめ申請書類や期限などを確認しておくようにしましょう。

3-1.必要な提出書類は?

受給資格の確認を勤務先が行い、受給資格があると判断された場合に、申請の手続きが進められます。

勤務先から「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」の用紙を受け取り、必要事項を記入し、母子手帳の写しと育休手当を受け取る金融機関の通帳の写しを添えて、勤務先に提出します。

3-2.2回目以降の申請について

「育児手当」は、初回申請後、2ヵ月ごとに追加申請が必要となります。

もろもろの手続きは勤務先が行なってくれますが、必要事項としては、勤務先から送付されてくる「育児休業給付金支給申請書」に記入したうえ、返送して手続きを進めます。

4.まとめ:出産前に育児休業給付金について理解しておこう

妊娠してからは、体調を崩したり、育休前になると引き継ぎで毎日バタバタだったりと、産休に入るまでは、なにかと忙しく、余裕がない日々を送りがち…。

さらに出産直前は、ママと赤ちゃんの体に異変が起きることもあるため、育休手当についても、妊娠中の余裕があるタイミングでしっかり下調べしておくのがおすすめです!
ちなみに育児休業中は、健康保険や厚生年金などの社会保険料は免除になるって知っていましたか?

しかも、免除期間中も被保険者資格に変更はなく、将来の年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われるので、心配無用です。

産休に入り、働けなくなることで、金銭的に不安が募りますが、給付金や免除されるものについて知っておくだけでも、安心した気持ちで出産に臨めますよ。

倉沢れい(編集者・ライター)執筆:倉沢 れい (編集者・ライター)
大学卒業後、IT企業や翻訳会社を経て、出産を機にライターとしての活動を開始。子育てや女性の生き方の分野を中心に、ママがよりよく子育てを楽しむための情報をわかりやすくお伝えしています。


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