【令和4年分に対応】年末調整の用紙|配布方法と記入項目のカンタン説明

2022-11-07

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会社員等の給与所得者には、毎年年末になると年末調整の用紙が配布されます。そして、必要事項を記入して勤務先に提出しなければなりません。

毎年記入していても、「ここどうするんだっけ?」と疑問に思うこともよくあります。ましてや、はじめての人なら、用紙を見てもどう記入したらよいかよくわからないのではないでしょうか? 

そんなわかりにくい年末調整の用紙について、その種類ごとに、どのような意味があって提出するのか? そしてどの項目に記入していけばよいのかをわかりやすく解説します。年末調整の用紙を書くときの参考として、ぜひお役立てください。

なお、会社によっては年末調整の電子化が取り入れられているところもあるでしょう。年末調整ソフトの操作ついては、下記ページより操作マニュアルをご参照ください。
年末調整ソフト(国税庁)

※平成30年、令和2年分の改定に対応済
※令和3年以降の申告書掲載

※2019年9月30日 令和元年分以降の申告書を掲載
※2020年9月29日 令和2年分の申告書を掲載し改定に対応
※2021年9月22日 令和3年以降の申告書を掲載
※2022年11月7日 マイナンバーの記入要件を追記

1. 年末調整の用紙は基本3種類!

毎年、11月~12月ころになると勤務先から年末調整の用紙が配られます。この年末調整の用紙は、基本的に3種類(平成30年分より)あります。もし勤務先から4枚渡されたた場合は、扶養控除等の申告書について、今年の分(確認用)と来年の分であることが多いと思われます。

その他、住宅ローン減税を受ける人(2年目以降)は、基本の3種類の用紙に加え、住宅ローン減税の申告のための書類が必要となります。

1-1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

年末調整の用紙一つ目は、「○年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という用紙です。

所得税や住民税には、扶養控除といって、収入を得ている人が家族を扶養していると、その扶養家族に応じて税金が安くなる制度があります。給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、その扶養家族について申告するための用紙です。扶養家族がいない人でも提出は必要です。

■給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 ※サンプル画像

1-2. 給与所得者の保険料控除申告書

年末調整の用紙の二枚目は、「○年分 給与所得者の保険料控除申告書」という用紙です。この用紙は、平成29年までは配偶者特別控除の申告も兼ねていましたが、平成30年からは配偶者控除等の申告が別の用紙となり、保険料控除についての申告だけになりました。

所得税や住民税には保険料控除があり、収入を得ている人が生命保険や地震保険の保険料や社会保険の保険料を支払っていると、その支払保険料の金額に応じて税金が安くなります。その支払保険料について申告するための用紙です。

■給与所得者の保険料控除申告書 ※サンプル画像

1-3. 給与所得者の基礎控除申告 兼 給与所得者の配偶者控除等申告 兼 所得金額調整控除申告

3枚目は、「○年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」です。この用紙は平成30年から新しく加わった「○年分 給与所得者の配偶者控除等申告書」に、令和2年の所得税の基礎控除・給与所得控除の改正等にともなう記入欄が追加され改訂されたものです。

ちなみに、、平成30年の配偶者控除および配偶者特別控除の控除額の改正により、一般的な会社員であれば、以前いわれていた配偶者の103万円の壁が150万円に引き上げられました

平成30年からの配偶者控除等の改正内容については「【平成30年改正】配偶者控除・配偶者特別控除はこう変わる!」をご覧ください。

また、令和2年からの所得税の基礎控除・給与所得控除の改正については「【2020年実施】所得税の基礎控除・給与所得控除の改正を解説」をご覧ください。

■給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告 ※サンプル画像

2. 年末調整の用紙の配布

それでは、これらの年末調整の用紙はどうやって入手するのでしょうか?

2-1. 会社員等は会社から

年末調整の対象となる会社員等の給与所得者は、基本的に勤務先から用紙が配布されます。個人で準備する必要はありません。

2-2. 会社は税務署から

会社の総務や人事の担当者で、従業員の年末調整用紙を用意する場合は税務署から配布を受けます。詳しくは管轄の税務署にお問い合わせください。

2-3. 国税庁のサイトからダウンロードできる

年末調整の用紙は、国税庁のサイトにもPDFファイルが掲載されています。その用紙をダウンロードして使用することもできます。

給与所得者の扶養控除等の(異動)申告 (国税庁サイト)
給与所得者の保険料控除の申告 (国税庁サイト)
給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告(国税庁サイト)

2-4. 用紙を無くしたら?

もし勤務先から配布された年末調整の用紙をなくしてしまったら、基本的には会社の担当部署に言って再度もらうとよいでしょう。2-3のように国税庁のサイトから入手することも可能ですが、会社によっては独自のフォーマットである場合もありますので、その場合は会社のフォーマットに則った方がよいからです。

2-5. 電子化も始まっている!

年末調整については令和2年より電子化の取り組みが始まっています。対応済の会社であれば、従来のような紙の書類の手書きではなく、年末調整ソフト等を利用して電子データを作成し提出することが可能です。

3. 年末調整の用紙の書き方の概要

年末調整の用紙の各項目について、どのように記入するかの概要を説明します。
なお、令和3年の年末調整から押印が不要となっており、各申告書の氏名欄の押印マークがなくなっています。

手書きではなく年末調整ソフトをご利用の場合は、国税庁サイトより操作マニュアルをご参照ください。
年末調整ソフト(国税庁)

3-1. 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告 の概要

扶養控除等の書き方は、以下のような手順で行います。

ちなみに令和4年分の申告書からは、書類に記載されたQRコードをスマホで読み込み、記載例を見ることができるようになっています。

3-1-1. 本人の氏名・住所等の記入

上段部に本人の氏名、生年月日、マイナンバー(*)、住所等を記入します。会社についての情報は、通常は会社側で記入しますので個人では記入不要の場合が多いです。
独身者などで扶養家族が1人もいない場合は、ここの記入のみで終了です。
(*)給与支払者が従業員等のマイナンバーを記載した帳簿を備えている場合は記入不要です。会社の指示に従ってください。

3-1-2. 本人が扶養する家族の記入

「主たる給与から控除を受ける」とある欄に、年末調整の申告者本人が扶養する家族の氏名、マイナンバー(*)、続柄、生年月日等、該当事項を記入します。配偶者/扶養親族(16歳以上)/障害者・寡婦・寡夫・勤労学生と欄が別れています。
(*)給与支払者が従業員等のマイナンバーを記載した帳簿を備えている場合は記入不要です。会社の指示に従ってください。

配偶者については、源泉控除対象配偶者について記入します。源泉控除対象配偶者とは、配偶者控除または配偶者特別控除を満額(38万円)受けることができる配偶者のことで、申告者本人の所得額が900万円以下で、配偶者の所得が95万円以下の場合が該当します。

扶養親族の控除については、所得が48万円以内である家族について記入します。

障害者、寡婦、寡夫、勤労学生に該当する家族がいる場合は、必要事項を記入します。

3-1-3. 家族内の他の所得者が扶養する家族の記入

「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」の欄に、家族内の他の所得者が扶養する家族の氏名等を記入します。

例えば、夫婦共働きで、長男は夫の扶養、次男は妻の扶養に入れるような場合に、本人ではなく配偶者の扶養に入る家族をここに記入します。

3-2. 給与所得者の保険料控除の申告の概要

保険料控除の書き方は、以下のような手順で行います。

ちなみに令和3年分の申告書からは、書類に記載されたQRコードをスマホで読み込み、記載例を見ることができるようになっています。

3-2-1. 本人の氏名住所の記入

上段部に本人の氏名、住所を記入します。会社についての情報は、通常は会社側で記入しますので個人では記入不要の場合が多いです。マインナンバーは記入不要です。
保険料控除がない人は、ここの記入のみで終了です。

3-2-2. 生命保険料控除の記入

「生命保険料控除」の欄に、控除対象となる保険の契約内容や保険料を記入し、用紙の指示にしたがって生命保険料控除額を計算します。

生命保険や医療保険、特定の条件に該当する個人年金保険など、控除対象の保険に加入していると、生命保険会社から事前に保険料控除証明書が送られてくるので、証明書を見ながら記入し、証明書も添付して提出します。

3-2-3. 地震保険料控除の記入

「地震保険料控除」の欄に、地震保険の契約内容や保険料を記入します。また、旧長期損害保険料控除の対象となる損害保険がある場合は、この地震保険料控除の欄に記入します。

3-2-4. 社会保険料控除の記入

「社会保険料控除」の欄に、本人が加入していて給料から天引きされている社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料など)以外で、例えば家族の社会保険料などを負担している場合に、その保険料の支払内容について記入します。

3-2-5. 小規模企業共済等掛金控除の記入

「小規模企業共済等掛金控除」の欄に、該当する共済等の掛金の支払額を記入します。一般的な会社員で、この欄に関係するのは、主に個人型確定拠出年金の掛金を支払っているケースなどが考えられます。

保険料控除の書き方については、以下の記事で図入りで説明しています。
⇒ 年末調整の保険料控除|計算方法や書き方をらくらくマスター

3-3. 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告の概要

基礎控除、配偶者控除等、所得金額調整控除の書き方は、以下のような手順で行います。

ちなみに令和3年分の申告書からは、書類に記載されたQRコードをスマホで読み込み、記載例を見ることができるようになっています。

3-3-1. 本人の氏名・住所の記入

上段部に本人の氏名、住所を記入します。会社についての情報は、通常は会社側で記入しますので個人では記入不要の場合が多いです。本人のマイナンバーは記入不要です。

3-3-2. 給与所得者の基礎控除申告書の記入

合計所得が2,500万円以下の人は全員記入します。

給与収入の合計金額およびそこから給与所得控除を差し引いた給与所得金額、その他の所得金額を記入し、それらを合計した所得金額を記入します。

上記合計所得金額が1,000万円以下の場合は、控除額の計算表を見て、右側(区分I)に該当する区分(A~C)を記入します。続いて合計所得金額が2,500万円以下の場合は、基礎控除の額の欄に該当する金額(48万円、32万円、16万円)を記入します。

※給与の収入金額が2,000万円を超える場合は、年末調整は行われません
※所得が1,000万円を超える場合は配偶者控除等を受けることはできません。

3-3-3. 給与所得者の配偶者控除等申告書の記入

本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が133万円以下の場合に記入します。

<↓記入に該当する場合>
配偶者の氏名、マイナンバー、生年月日等記入します。

その後、2段目左側の欄に、配偶者の給与収入の合計金額およびそこから給与所得控除を差し引いた給与所得金額、その他の所得金額を記入し、それらを合計した所得金額を記入します。

上記合計所得金額を、2段目右側の判定欄に照らし合わせ、該当する区分にチェックを入れ、区分IIに該当する数字を記入します。

最後に、3段目の控除額の計算表に、区分I(本人の区分)と区分II(配偶者の区分)をあてはめ、配偶者控除にあたる場合は右側の配偶者控除の欄に、配偶者特別控除にあたる場合は右側の配偶者特別控除の欄に該当する控除額を記入します。

3-3-4. 所得金額調整控除申告書の記入

本人の給与の収入金額の合計が850万円を超え、本人が特別障害者または同一生計配偶者か扶養親族が特別障害者、または扶養親族が23歳未満の場合に、該当要件にチェックをつけ、その者についての情報を記入します。

なお、上記以外に、給与所得と公的年金の両方がある場合にも所得金額調整控除を受けることができますが、この場合は年末調整では申告できず、確定申告をしなければなりません。該当する方は、ご注意ください。

4. まとめ:年末調整の用紙は会社から配布される3種類をもれなく提出!

年末調整の用紙は、「○年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「○年分 給与所得者の保険料控除申告書 」「○年分 給与所得者の基礎控除申告 兼 給与所得者の配偶者控除等申告 兼 所得金額調整控除申告の概要」の3種類です。どれも年末調整の時期になると、勤務先から配布されます。個人としての準備は不要ですが、保険料控除証明書等、添付が必要な書類については、該当者本人が揃えておく必要があります。

また、この3種類の用紙は、たとえ該当する控除がない場合でも提出が必要な会社は多いので、会社の担当者の指示に従い期限内に提出するようにしましょう。

※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。

※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。