【2019年6月改正】あたらしい「ふるさと納税」の教科書

2022-04-06

https://www.kurashino-okane.com/social-security-tax/new-furusato-tax/

2019年6月、ふるさと納税制度の根拠となっている地方税法などの法律が改正されました。

制度の対象から外れる自治体が出るなど、ふるさと納税にとって大きな転換点となった今回の法改正。なぜ変わることになったのか、そして何がどう変わるのかを解説します。

1.ふるさと納税、なぜ変わる?

まずは、制度の概要と法改正の背景を説明します。

1-1.ふるさと納税とは

地域活性化を狙い、2008年に制度化された「ふるさと納税」。自分の選んだ自治体に寄附をすると、その総額から2,000円を引いた金額が所得税や住民税などから控除される制度になっています(条件あり)。

そして、寄附を受けた自治体からはたいてい、寄附額に応じた「返礼品」をもらえます。お米や肉、地酒など、地域色豊かな返礼品が2,000円の出費で手に入ることが話題となり、2014年ごろから急激に寄附額が増加していきました。

1-2.なぜ見直し? 法改正の背景

他の自治体に住む人から多くの寄附を受けられる自治体や、2,000円の自己負担で返礼品をもらえる消費者にとっては、ふるさと納税は「おトク」な制度といえます。ではなぜ、制度が変わることになったのでしょうか。

きっかけは、各自治体の間で繰り広げられた「返礼品競争」です。寄附額の50%近い金額の旅行券やブランド牛など、高額な返礼品を武器に多額の寄附を受けようとする自治体が続出。高額商品を割安で手に入れられることから、返礼品を転売する動きも出ました。

ふるさと納税制度で年間100億円を超える多額の寄附金を集める自治体が現れる一方、多くの住民がふるさと納税で他の自治体に寄附を行った結果、税収が数十億円規模で減少する自治体も出てきました。これらを是正するために、法改正が行われることになったのです。

2.6月スタート!新・ふるさと納税

制度変更で、返礼品の金額や種類に制限がかかりました。

2-1.超高額返礼品はNGに

今回の法改正の一番のポイントは、返礼品の調達額が「寄附額の3割以下」と厳格に定められたことです。これまでも総務省は、各自治体に返礼品調達額を3割以下とするよう求めてきましたが、是正されない自治体が多数におよんだため、今回の措置となりました。

2-2.地場産品の魅力で勝負!

また、返礼品の内容にもメスが入りました。総務省は、「自治体の区域内で生産されたものであること」「自治体の区域内でおもな原材料が生産されたものであること」など、返礼品に関する10の条件を発表。2019年6月以降は、自治体はこれに合致した返礼品を用意することが義務づけられました。

人気を誇っていた、旅行券やAmazonギフト券などの金券などを返礼品にすることはできなくなりました。今後、各自治体は、地場産品をはじめとした地域とゆかりの深い商品で「勝負」することになります。

2-3.注意!4市町が「対象外」に

今回の法改正では、ふるさと納税制度の適用を受けられる自治体を、総務大臣が指定するしくみが導入されました。もともと申請を行っていない東京都のほか、過度な返礼品で多額の寄附を集めていたとされる静岡県小山町、大阪府泉佐野市、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の4市町が、制度適用の対象から除外。2019年6月以降、これらの自治体に寄附をしても、制度を利用した特例税額控除は受けられなくなりました

また、4市町以外にも、返礼品に問題があった43市町村については、指定期間が2019年9月末までに限られました。これらの自治体は、別途10月以降の指定を受ける必要があります。

それ以外の自治体は、2020年9月末までの指定を受けました。これら指定自治体への寄附は、今までどおりふるさと納税制度を利用できます。ふるさと納税の指定自治体は、随時総務省のホームページに掲載されます。自治体へ寄附を行う前に、一度確認しておくと良いでしょう。

ふるさと納税に係る総務大臣の指定(総務省サイト)

3.ふるさと納税は、こう使う!

新しい「ふるさと納税」制度を上手に使いこなすためのポイントをご紹介します。

3-1.実質負担2,000円のメリットはそのまま

大きな転換点となったふるさと納税ですが、法改正後も所得控除(課税対象の所得額が少なくなる)や税額控除(税金そのものが安くなる)など、各自治体へ寄附をする納税者にとってのメリットは変わりません

冒頭でも触れたように、原則、寄附の合計額から2,000円を引いた額が、所得税と住民税から控除されます。ただし、この控除が適用される寄附額の上限は、寄附をする人の年収によって決まっているので、注意が必要です。ふるさと納税ポータルサイトの「寄附金控除額の計算シミュレーション」を使って、目安となる控除上限額を確認しておきましょう。

実質負担2,000円のメリットや控除上限額などは、以下の記事・サイトを参考にしてください。
まだ間に合う! ふるさと納税のメリットや注意点をママにわかりやすく解説
ふるさと納税ポータルサイト(総務省サイト)

3-2.クレジット払いがおトク

せっかく寄附をするなら、クレジットカードの利用がおすすめです。寄附額に応じて、各カード会社のポイントが貯まるメリットがあります。多くの自治体が「Yahoo!公金支払い」などのシステムを利用し、クレジットカードによる寄附に対応(一部自治体を除く)。VISA、MASTER、JCBをはじめ、多様なカードを利用できます。

この「Yahoo!公金支払い」では、TSUTAYAなどを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブが展開するポイントサービス「Tポイント」の利用もOKです。

3-3.ポータルサイト利用でポイントも

ふるさと納税のポータルサイトを利用して寄附を行う人も多いのではないでしょうか。独自のポイントプログラムを持っている一部ポータルサイトでは、寄附額に応じてポイントを付与しています。

楽天が運営する「楽天ふるさと納税」では、寄附金100円ごとに楽天スーパーポイントを1ポイント付与。全日空が手がける「ANAふるさと納税」も、寄附金100円ごとに1マイルを付与しています(ANAマイレージクラブ会員のみ)。こうしたポイントプログラムも、有効に利用できそうです。

4.まとめ:メリットは残るので、ふるさと納税の趣旨をふまえて自治体を応援しては?

ここまで、2019年6月に行われた、ふるさと納税制度の改正について見てきました。従来の制度では、一部の自治体がルールを冒してまで高額な返礼品で多額の寄附を狙う状況が続いていました。確かに、ふるさと納税による寄附は各自治体の重要な収入のひとつとなっています。納税者にとっても、「豪華な返礼品を2,000円で買う」制度になっていたと言わざるをえません。

本来、ふるさと納税は、離れてしまった故郷や、思い入れのある自治体へエールを送る制度です。返礼品の優劣で寄附先を選ぶだけでなく、「応援したいな」と思える自治体へ寄附をしてみるのはいかがでしょうか。

佐藤 史親 (編集者・ライター)執筆:佐藤 史親 (編集者・ライター)
1987年山梨県富士吉田市生まれ。タウン紙記者、雑誌編集者として勤務後、フリーの編集者・ライターに。モットーは、きめ細かな取材・調査に基づいた記事づくり。お金に関する話題も、わかりやすくお届けします。

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