入院中の食事代はいくらかかるのか? 病院によって高い安いはあるのか?
急に入院することになって、そんな疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からいうと、入院中の食事代は全国一律の値段に決まっています。
これは健康保険の入院時食事療養費という制度により標準負担額が決まっているからです。
この記事では、その標準負担額について一覧表でわかりやすく紹介するとともに、正しく請求されているかのチェックに役立つシミュレーション事例なども紹介していきます。
ぜひお読みいただき、入院中の食事代についての疑問を解消してください。
※2020年6月3日 更新日時点の入院費食事療養費にそった説明に修正
目次
1. 入院中の食事代は1食460円、所得によってはもっと安い
入院中の食事代が一般的にいくらになるのか、ここでは協会けんぽの入院時食事療養費の内容を基本として、制度の内容について簡単にご説明します。
1-1. 一般的な食事代の負担額と値上げの動向
冒頭で述べたように、入院中の食事代の標準負担額は、原則全国一律で決まっています。
入院中のいわゆる病院食は、「1食につき460円」となっています。この金額は実は以前は260円だったのですが、医療保険制度の改正によって、平成28年(2016年)4月に260円から360円に、平成30年(2018年)4月に460円に引き上げられました。
この食事代の標準負担額は平均的な家計の食費を勘案して厚生労働大臣が定めることとなっていますが、数年で2倍とはいかないまでも大きく引き上げられています。今後も物価の変動等により引き上げられる可能性はあるので注意しておいてください。
■入院費食事療養費による負担額の推移
区分 | ~平成28年3月 | 平成28年4月~ | 平成30年4月~ |
---|---|---|---|
一般 | 1食につき 260円 | 1食につき 360円 | 1食につき 460円 |
(出典)協会けんぽWEBサイトより
1-2. 住民税非課税の方は1食210円
このように入院中の食事代の標準負担額は一律に決まっていますが、実は「ある方に」とってはもっと安くなる場合があります。
それは、所得区分による住民税の非課税世帯の方の場合です。この場合、1食あたり460円の食事代が210円となります。さらに長期に渡る入院で過去1年間の入院日数が90日を超える場合は、1食につき160円となります。
そしてもうひと方、住民税非課税世帯に属していて、かつ所得が一定基準に満たない70才以上の高齢受給者はさらに安くなり、1食につき100円という軽減措置を受けることができます。
ただし、標準負担額の軽減措置を受ける場合は「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」と「被保険者証」を医療機関の窓口へ提出しなければなりません。認定証は事前に「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」を健康保険の保険者に提出することで交付を受けることができます。
■入院時食事療養費の住民税非課税世帯の負担額
住民税非課税世帯 | 1食につき 210円 |
---|---|
住民税非課税世帯で 過去1年間の入院日数が90日を超えている場合 | 1食につき 160円 |
住民税非課税世帯で 所得が一定基準に満たない70歳以上の高齢者 | 1食につき 100円 |
(出典)協会けんぽWEBサイトより
なお、低所得者の条件等は会社員等の加入する健康保険と自営業者等が加入する国民健康保険とで、細かい違いがある場合があります。ご自身の加入している健康保険の規定をしっかり確認しておきましょう。
2. 長期入院した場合、どのくらいの値段になるか?
1章では入院中の食事代についてまとめました。この章では長期入院の場合ではどのくらいの値段になるのか(例えば4ヵ月入院したとすれば合算でどのくらいの値段になるのか)をさらにわかりやすくするために、以下にシミュレーションを行いました。こちらも合わせてご参考にしてください。
- 一般の方の場合は、食事代の1食の負担額は360円であり、1日の食事回数と日数の掛け算となります
460円 × 3食 × 30日 = 41,400円 - 住民税非課税世帯の方の場合は、食事代の1食の負担額は210円であり、1日の食事回数と日数と掛け算となります
210円 × 3食 × 30日 = 18,900円
- 一般の方の場合は、長期入院であっても食事代の1食の負担額は360円と一定で、1日の食事回数と日数の掛け算となります
460円 × 3食 × 120日 =165,600円 - 住民税非課税世帯の方の場合は、90日までは食事代の1食の負担額は210円で、91日目以降は160円となるため、日数を分けての掛け算となります。
210円 × 3食 × 90日 + 160円 × 3食 × 30日 = 71,100円
3. おまけ:入院時に用意するもの、あると便利なもの
入院となると、食事代などの金銭以外にも、用意するものやあると便利・役に立つものがいくつかあります。必要になったときに初めて気がつく、見落としてしまいがちなものをピックアップしてみました。
3-1. 入院時に用意するもの
入院するときに必要となるため用意しておくとよいものは以下のようなものです。
- 証明書類etc
入院する病院によって必要な書類はまちまちですが、健康保険証、そして非課税世帯の方や高額療養費の現物給付を受ける方であれば、限度額適用・標準負担額減額認定証や限度額適用認定証などを用意しておかなければなりません。忘れないようにしましょう。 - 現金
備品の購入などに使います。病院の売店などで必要なものを買うこともありますので、ある程度の金額は用意しておきましょう。 - 印鑑
入院手続き等を行う際に必要になります。忘れないようにしましょう。
3-2. 入院中にあると便利なもの
入院生活において、あると便利なものは以下のようなものです。
- テレビ用イヤホン
個室であればよいですが、他の入院患者さんのご迷惑にならないためにも用意しましょう。 - コップ(割れないもの)
不意に落としてしまっても割れないような素材のコップが便利です。 - クリアファイル
入院手続きに関する書類や領収書などを入れておくものです。書類の管理がしやすくなります - ノート(付箋)
メモとして使うのはもちろん、喋ることができないときの意思疎通などに使えます。 - 洗濯ばさみ
タオルや洗濯物を干すのはもちろん、カードや書類をまとめるクリップ代わりとにも使えて便利です。
4. 入院中の食事代の自己負担額値上げも考慮して保険を検討してみましょう
2016年(平成28年)以前は、入院中の食事代の自己負担額は1食につき260円と割とお手頃な値段であったため、食事代はさほど気にする必要はありませんでした。
しかし、現在は1食につき460円となっており、以前の倍近い値段になっています。1日あたりで考えると、460円×3食=1380円と意外にも高額になることがわかります。
このことからも、医療費も含めて入院費用全体の負担を抑えるためには、やはり医療保険に加入しておくと何かと便利だと言えるのではないでしょうか。特に終身タイプなど保険期間が長いものを検討する場合は、今後も食事代が値上がりする可能性があることを十分に考慮して、医療保険の入院日額を設定するとよいでしょう。
※入院したときの費用とそれに備えるための医療保険の入院日額についてはこちらをご覧ください。
→「入院費用の平均額と備えておくべき入院給付金額(日額)」
※記事内容の利用・実施に関しては、ご自身の責任のもとご判断ください。
※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。