簡単!セルフメディケーション税制でトクする方法(医療費控除の特例)

2023-07-06

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セルフメディケーション税制という言葉を、今年になってテレビなどで聞いたという方も多いのではないでしょうか?

セルフメディケーション税制は、薬局などで購入した市販薬(厚生労働省が指定した薬)の代金が年間12,000円を超えた場合に、超えた金額が所得控除される(結果的に税金が安くなる)制度です。

医療費に関する所得控除は、これまでも医療費控除がありましたが、該当する人はあまり多くないのが現状です。この医療費控除の特例として2017年から新しく始まったのがセルフメディケーション税制です。

1. 2017年から始まったセルフメディケーション税制とは?

セルフメディケーション税制とは、薬局などで購入した市販薬の購入金額に応じて税金が安くなる医療費控除の特例で、2017年からスタートしました。

増大する医療費により、公的医療保険(健康保険)の財政状態が厳しいことが背景にあり、ちょっとした病気であれば、病院にかからず市販薬で治療することを期待する(そうしてくれる人の税金を安くする)制度といえます。

1-1. 年間12,000円以上、市販薬を購入したら税金が安くなる

病院にかからず、薬局でかぜ薬や胃腸薬、シップ薬などを購入することはよくあると思います。そのような市販薬のうち特定の薬効(成分)のある薬の購入金額の1年間(1~12月)の合計が12,000円以上になった場合に、12,000円を超えた金額(上限88,000円)をその年の所得から控除できます。
購入する薬は、納税者本人のものだけでなく、生計を一にする家族(納税者が扶養している家族)の購入分も含むことができます。

例えば、1年間に該当する薬を20,000円分購入したとすると、20,000円-12,000円=8,000円が所得から控除されます。所得税率が10%の人なら所得税800円、住民税800円の合計1,600円税金が安くなります。所得税率が20%の人なら2,400円安くなります。
※ここでは復興特別所得税は考慮していません。また住民税を10%として計算しています。

1-2. 対象となるための条件

セルフメディケーション税制の対象となるには、以下の2つの条件があります。

1-2-1. 厚労省が指定した薬であること

セルフメディケーション税制の対象となる市販薬は、薬局で売っている薬すべてが対象となっているわけではありません。スイッチOTC医薬品と呼ばれる医療用の薬(処方せん薬)から市販薬に転用された薬が対象となります。

これらは厚生労働省が定めた有効成分を含んだ薬で、その有効成分のリストや該当する薬の名称は厚生労働省のWEBサイトで確認することができます。

例えば、薬のCMなどでよく耳にする有効成分としては、イブプロフェン、インドメタシン、フェルビナクなどがあります。

では、このような薬をどうやって見分けるかですが、その方法は主に2つあります。

(1)薬のパッケージのセルフメディケーション識別マーク

該当する薬には、パッケージにセルフメディケーション税制の対象製品であることを示す識別マークがつきます。識別マークは、「セルフメディケーション・税・控除対象」という文字の入ったロゴマークなので、一目でわかるようになっています。

ただし、識別マークはすべての薬についているとは限りません。メーカーによっては表示していなかったり、識別マークをつける前に出荷した薬が売られていたりと対象薬でもマークがついていないことがありますので注意が必要です。その場合の確認方法としては、次の確認方法と併用するとよいでしょう。

(2)薬局・ドラッグストアのレシートの表示

薬局やドラッグストアで薬を買ったときに受け取ったレシートを見ると、セルフメディケーション税制の対象となる薬がわかるようになっています。

具体的には、レシートの明細の薬品名に★印など何らかの目印がついている場合と、対象商品とそれ以外の商品を分けて別々に小計している場合などがあります。

いつも利用している薬局やドラッグストアで、どのような表示になっているかは一度確認しておくとよいでしょう。

1-2-2. 健康診断などを受けている人

セルフメディケーション税制を申告する人が、申告対象となる年に健康の維持増進や疾病の予防に向けた取り組みを行っていなければなりません。

その取り組みとは、特定健康診査(メタボ検診)、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診です。

会社員等で勤務先で毎年の健康診断を受けている場合は、それでクリアできる条件です。
自営業や個人事業主の方の場合は、健康診断などを受けたりインフルエンザの予防接種を受けるなどしておく必要があります。

2. 従来の医療費控除と選択性

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、従来からある医療費控除とかかわりがあります。

従来からある医療費控除は、年間の医療費の支出が10万円を超えた場合に超えた金額を所得控除できる制度です。この場合の医療費は病院の治療費や処方せん薬、薬局などで購入した市販薬などを幅広く含みます。

セルフメディケーション税制と従来型の医療費控除は選択性となっていて、どちらか一方しか利用することはできません。

市販薬だけで12.000円を超えるか、病院の治療費も含めて100,000円を超えるかで、どちらか一方だけ該当する場合は問題ありませんが、もし両方が該当する場合は、控除の額が大きいほうを選ぶようにしましょう。

一旦、セルフメディケーション税制で申告をした後に、従来の医療費控除に修正申告したり、その反対に従来の医療費控除を申告した後に、セルフメディケーション税制に修正申告することはできませんので、十分にご注意ください。

従来からの医療費控除の詳細は「医療費控除とは?|3分でわかる節税のしくみと申請までの手順」をご覧ください。

3. セルフメディケーション税制の申請は確定申告で!

セルフメディケーション税制は医療費控除のなかまなので、確定申告で申請することになります。

確定申告は、1月1日から12月31日までの間の所得と税金を計算して所得税の納入等を行う制度です。一般の会社員などの給与所得者で、通常は確定申告の必要がない人でも、セルフメディケーション税制で節税する場合は確定申告が必要となります。

確定申告の期間は、申告する所得を受けた年の翌年2月16日から3月15日の間ですが、セルフメディケーション税制の申告だけの場合であれば、還付申告といって確定申告の期間以外に申告することが可能です。
還付申告の期間は、セルフメディケーション税制を申請したい年の翌年1月1日から5年間となります。

また、確定申告においてはセルフメディケーション税制の適用を受ける金額の計算を証明する書類としてレシートや領収書が必要となりますので、1年間しっかりと保存しておくようにしましょう。

4. とにかく薬局のレシートは保存すべし

セルフメディケーション税制を利用するにあたっては、購入した薬が対象となるかどうかの判断をしたり、適用される金額になるかどうかの計算のもとになる書類として薬局やドラッグストアのレシートが必要となります。

また、このレシートは従来の医療費控除のほうを利用する場合にも、計算や確定申告のために必要となりますので、いずれにしても捨てたりせずにきちんと保管するようにしましょう。

※本記事は、2017年3月時点の情報をもとに作成しています。

 

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