遺族年金はいくらもらえる?国民年金から出る金額と手続き方法

2022-04-06

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公的年金から遺族に支払われる遺族年金には、国民年金から出る遺族基礎年金と厚生年金から出る遺族厚生年金の2種類があります。

遺族年金を知るには、まずは、誰もが加入している国民年金の遺族基礎年金について、その制度概要を理解することが大切です。特に、遺族基礎年金は、受け取れる人が限定されていますので、どういう条件で受け取れるのかをきちんと把握しておく必要があります。

また、受け取れる遺族基礎年金の額の計算方法についても紹介しますので、自身に当てはめて考え、受給額を算出してみてください。

※2022年3月時点の最新の遺族基礎年金額に更新

1. 遺族年金とは?

遺族年金とは、その名の通り、年金の加入者(被保険者)が亡くなったときに遺族が受け取れる年金のことを言います。

1-1. 遺族年金の種類は大きく2つ

公的年金制度には、国民年金と厚生年金があります。そのため、遺族年金にも、国民年金の遺族基礎年金と厚生年金の遺族厚生年金の2つがあります。

自営業者など国民年金のみに加入している人は「遺族基礎年金」が、会社員・公務員など厚生年金に加入している人は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つの年金が支給対象となります。

1-2. 国民年金から出る遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金の被保険者(または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある人)が死亡したときに遺族に支給される年金です。

ただし、年金保険料を加入期間の3分の2以上(保険料免除期間も含む)支払っていなければなりません。

1-3. 厚生年金から出る遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者(または老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人、1級・2級の障害厚生年金を受けられる人)が死亡したときに支給される年金です。また厚生年金の場合は、死亡したときに被保険者でなかったとしても、被保険者である期間中に生じたケガや病気により初診日から5年以内に死亡したときも遺族厚生年金の対象となります。

ただし、年金保険料を加入期間の3分の2以上(保険料免除期間も含む)支払っていなければなりません。

2. 遺族基礎年金をもらえる人

それでは、この章以降で、みんなが加入している国民年金の遺族基礎年金について詳しく紹介していきます。

遺族基礎年金の受給対象者は以下のように定められています。

遺族基礎年金の対象者

  • 死亡した人に生計を維持されていた子(※)のある配偶者
  • 死亡した人に生計を維持されていた子(※)

(※)遺族年金の世界で子というときは、以下のいずれかの条件にあてはまる子が該当します。

  • 18歳になった年度の3月31日を迎えるまで
    ※被保険者が死亡したときに、まだ生まれていない胎児であった子も生まれた後に支給されます
  • 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級

なお、遺族基礎年金を受けられる子が、結婚したり養子(直系血族または直系姻族以外の養子)になったりすると、年金を受けられなくなります。

3. 遺族基礎年金の金額

遺族基礎年金の支給額は、780,900円(令和3年4月~)で、こどもが増えるごとに金額が加算されます。
子の加算額は、第1子・第2子は224,700円、第3子以降は1人につき74,900円となります。

以下に、遺族の家族構成による遺族基礎年金の額の例をしめします。

■家族構成別、遺族基礎年金の額 ※令和3年4月~

家族構成年金額1ヵ月あたりの金額
※1円未満四捨五入
配偶者+子1人1,005,600円83,800円
配偶者+子2人1,230,300円102,525円
配偶者+子3人1,305,200円108,767円
子1人780,900円65,075円
子2人1,005,600円83,800円
子3人1,080,500円90,042円

4. 遺族基礎年金の申請方法

遺族基礎年金を受けるには申請をする必要があります。申請は、市区町村の役所などの窓口に年金の請求書を提出することで行いますが、ここではその方法について紹介します。

4-1. 申請に必要なもの

遺族基礎年金の申請にあたっては、年金請求書と必要な書類を用意して提出しなければなりません。

4-1-1. 年金請求書

年金請求書は、居住地の役所の窓口やお近くの年金事務所・年金相談センターの窓口でもらうことができます。
また、日本年金機構のホームページからPDFファイルをダウンロードすることもできます。

4-1-2. 年金請求書とあわせて提出が必要な書類

年金請求書とともに、以下の書類等を提出する必要があります。

■必ず必要な書類

  • 年金手帳
  • 戸籍謄本(記載事項証明書)
    遺族年金の受給権発生日以降で提出日から6ヶ月以内に交付されたもの
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 死亡者の住民票の除票
    上記世帯全員の住民票の写しに死亡した方が含まれている場合は不要
  • 請求者の収入が確認できる書類
    所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など
  • 子の収入が確認できる書類
    義務教育終了前は不要、高等学校等在学中の場合は在学証明書または学生証など
  • 市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
  • 受取先金融機関の通帳等(本人名義)
    預金通帳またはキャッシュカード(写しも可)など
    ※請求書に金融機関の証明を受けた場合は添付不要
  • 印鑑

■事故等で死亡した場合に必要な書類

  • 第三者行為事故状況届
  • 交通事故証明または事故が確認できる書類
  • 確認書
  • 被害者に被扶養者がいる場合、扶養していたことがわかる書類
    源泉徴収票、健康保険証の写し、学生証の写しなど
  • 損害賠償金の算定書
    示談書等受領額がわかるもの ※額が確定している場合

その他、状況によって必要となる書類もありますので、申請時には事前に役所の窓口等で必要書類を確認するようにしましょう。

4-2. 遺族基礎年金の請求窓口

年金請求書を記入し必要な書類がそろったら、居住している市区町村の役所に提出します。
ただし、死亡した日が、国民年金の第3号被保険者の期間中の場合は、年金事務所か年金相談センターに提出することになります。

5. まとめ:万一に備え、まずは遺族基礎年金(国民年金分)の概要を確認しておこう

あまり考えたくはないことではありますが、一家の大黒柱が亡くなってしまうという不測の事態はいつ起こるかわかりません。予測することも難しいことです。

そのような不測の事態が起きた時に備え、あらかじめ年金の申請方法について概要だけでも知っておくと、スムーズに遺族年金を受給することが可能です。

さらに国民年金の遺族基礎年金はどのような要件を満たせば受給できるのか、また、受給するためにはどうすればよいのか、自身の受給額はいくらになるのかなど、確認する方法もわかっておくと、万一の場合でもあせらずに手続きを進めることができるはずです。

敷田 憲司(Webマーケティングコンサルタント)執筆:敷田 憲司 (Webマーケティングコンサルタント)
1975年福岡県北九州市生まれ。SEOやPPC広告運用、コンテンツ企画からライティングも行うサッカー大好きなコンサルタント。書籍も多数執筆。金融システムの開発や保険サイトに携わった経験から、保険や金融の有益な情報を届けします。

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