傷害保険の補償内容とは?どんなときに役立つのか簡単解説!

  • 公開日:2019年11月15日
    最終更新日:2022年04月06日
  • 損害保険

2022-04-06

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傷害保険とは、その名の通りケガに備える保険のこと。ケガのリスクが高い仕事に従事していたり、スポーツをしている場合はもちろんのこと、日常生活でもケガをしてしまうリスクはたくさんあります。

傷害保険はケガに特化しているため、要件を満たせば通院でも保険金を受け取ることができます。とはいえ、傷害保険の種類は幅広く、すべてのケガが補償対象になるわけではないなど、分かりづらい点も。

そこで、ここでは傷害保険の補償内容から、どんなときに保険金を受け取れるのか、どんな人が加入を検討すべきかなど、わかりやすくお伝えしていきます。加入するか迷っている人はぜひ参考にしてください。

1. 傷害保険ってどんなもの?

まずは傷害保険の補償内容、補償対象となるケガ、種類など、基本から解説していきます。

1-1. 傷害保険でどんな補償が得られる?

私たちが生活するうえで、病気やケガのリスクを避けては通れません。そんなリスクのうち、ケガに特化した補償を受けられるのが傷害保険です。日本国内・国外問わずに日常生活や仕事中、交通事故、旅行やスポーツをしているときのケガなど、さまざまな場面でのケガのリスクをカバーします。あくまでケガが補償対象であり、病気は原則的に補償の対象外というのが、この保険の大きなポイントです。

基本的な補償としては、ケガの治療のために通院した場合に保険金が支払われる通院補償、入院した場合に保険金が支払われる入院補償、手術した場合に保険金が支払われる手術補償、ケガによって死亡あるいは後遺障害が残るなどした場合に、死亡・後遺障害保険金が受け取れる死亡・後遺障害補償の4つがあります。

傷害を原因として事故の日から180日を限度にして上記の保険金が支払われます。通常、通院保険金については180日以内に通院90日が限度となっています。(保険会社により、これらの条件に違いがあります)

1-2. 傷害保険で対象となるケガ・ならないケガとは?

ケガを補償するとはいっても、すべてのケガが補償対象になるわけではないので注意が必要です。傷害保険における「ケガ」とは、急激かつ偶然な外来からの事故により、身体に負ったケガ(骨折・火傷など)となっています。

「急激」とは、突発的な事故であり、傷害発生までの間に時間的間隔のないこと。
「偶然」とは、ケガの原因・結果が予知できず、意図的なものでないこと。
「外来」とは、ケガの原因が身体外部からのものであり、身体内部(疾病等)に起因するものでないことを意味します。

自分では避けようのない事故によってケガを負った際には補償になりますが、以下のようなときには対象となりません。

例えば、外反母趾や靴擦れ、低音火傷、慢性的な腰痛、車酔い、熱中症、しもやけ、細菌性食中毒などです。ただし、熱中症などは専用の特約などをつけることによって、補償対象となる場合もあります。その他、意図的なケガは対象外ですから、わざとケガをしたり、ケンカでのケガも対象外。そのほか、脳疾患や心疾患などを起因とするケガや、酒気帯び運転など正常でない状態での運転によるケガ、スカイダイビング・ハングライダーなど危険なスポーツも補償の対象外となります。

一方で、火災などが起きて煙による一酸化炭素中毒になった場合は補償の対象となります。ケガと聞くと外傷があるものに限定されるイメージがありますが、そうでないものも対象となるケースがあります。

1-3. 傷害保険の種類と保険料の設定とは?

傷害保険の種類は幅広く、ニーズに合わせて選択が可能になっています。代表的な傷害保険について、補償の内容と、保険料がどう決まるかを確認していきましょう。

1-3-1. 普通傷害保険

普通傷害保険は、国内外を問わず、日常生活の中で起こるケガを補償するものです。
病気や細菌性食中毒、自殺、喧嘩、地震・噴火・津波などが原因の傷害は補償の対象外。

被保険者の職業によってA級、B級に分けられ、保険料も変わるのが一般的です。A級は事務員、医師、弁護士、販売従事者など比較的危険度が低い職種で、B級は営業用貨物運転手、建設・土木作業者など、比較的危険度が高い職種です。B級の方が保険料は高く設定されています。

ちなみに、四輪・二輪のテストライダーやオートバイ・自転車のレーサー、プロボクサーなど、危険度の著しく高い職業の場合、契約自体できない場合もあります。

1-3-2. 家族傷害保険

普通傷害保険の保険対象者は契約者1人のみです。その補償を家族にまで広げたい場合の選択肢となるのが、家族傷害保険です。補償される家族の範囲は、本人、本人の配偶者、本人または配偶者と生計を共にしている同居の親族と、別居している未婚の子となります。

家族全員に補償がつけられますが、配偶者や子どもの分の補償額は、契約者本人よりも少ない額に設定されている点には注意が必要です。

1-3-3. 交通事故傷害保険

交通事故傷害保険は、交通事故や道路通行中の事故、建物や乗り物の火災などによって負ったケガを補償します。保険料は、普通傷害保険と違い、職業問わず一律となっています。ちなみに、交通事故傷害保険には「ファミリー交通傷害保険」といって、普通傷害保険における家族傷害保険と同様の、1つの契約で家族全員が補償されるタイプの保険もあります。

ちなみに、普通傷害保険や家族傷害保険、交通事故傷害保険には、他人の物を壊したり他人にケガをさせるなどで賠償責任を負ったときの補償である「個人賠償責任保険」がセットになっていたり、特約として付加できるものもあります。

例えば、ここ数年で自転車による事故が増加していますが、毎日通勤・通学で自転車を利用し、相手にケガをさせてしまうリスクが高い場合などに、個人賠償責任保険は有効です。なお、自転車にしか乗らないのであれば、保険料は非常に手頃ながら損害賠償責任の補償も含まれている自転車保険への加入も検討の余地があります。

1-3-4. 海外旅行傷害保険

海外旅行傷害保険は、自宅を出てから帰宅するまでの海外旅行中のケガのほか、病気や携行品の損害、救援者費用や損害賠償責任、細菌性食中毒や地震などによる傷害も保険金支払いの対象となります。保険代理店や空港、インターネット等で加入することが可能で、保険料は旅行先の国や日数によって変わります。 クレジットカードに付帯されている海外旅行傷害保険もあります。

1-3-5. 国内旅行傷害保険

国内旅行傷害保険は、国内旅行のケガを補償します。細菌性食中毒は補償の対象ですが、地震などによる傷害は対象外です。保険料は旅行日数によって変わります。

1-3-6. その他の保険

学校の運動部や会社の運動サークルなどに入っている場合に加入する選択肢として、スポーツ安全保険や団体傷害保険などもあります。スポーツ活動などをする団体・グループで加入する保険で、学校やサークルから加入を勧められる場合もあります。

2. 傷害保険と医療保険の違いとは?

医療保険への加入率は非常に高いため、「医療保険には加入しているけど、傷害保険とはどう違うの?」とお悩みの人も多いはず。2つの保険の違いを確認しましょう。

2-1. 補償範囲が違う

医療保険は病気やケガによる入院・手術で保険金を受け取るタイプが一般的です。医療保険では、基本的に病気やケガで通院しただけでは保険金は支払われず、入院をともなう通院であることが保険金を受け取る条件です。「ケガで通院したから医療保険で保険金を受け取ろう」と思っても、保障の対象外というのは、意外と勘違いしやすいポイントです。

一方で傷害保険は、原則として「ケガ」に対する補償に限定したものになります。病気は補償に含まれない。これが医療保険との最大の違いといえます。損害保険の場合、ケガで通院した場合にも通院費が補償されます。つまり、補償の範囲は医療保険よりも狭いものの、ケガに特化している分、補償は手厚いといえます。

2-2. 保険料の決まり方が違う

医療保険は、年齢や性別によって保険料が変わります。原則として、年齢が若いほど保険料は安くなります。また、性別によっても変わります。最近はタバコを吸わないなどの健康体であれば保険料が割引される保険商品も出てきています。

一方で傷害保険の場合は、年齢や性別による保険料の差がなく、シンプルなのが特徴です。前述のとおり、普通傷害保険などでは、職業・職種の危険度によってA級、B級の2段階に分かれているのが一般的です。また、国内旅行・海外旅行傷害保険では、行き先や日数によって保険料が決まります。

3. 傷害保険に加入するといいのはどんな人?

どんな人が傷害保険に加入するとよいのかといえば、ずばり、日常生活の中でケガをするリスクが高い人です。

  • 転倒リスクの高い高齢者
  • 部活や趣味でスポーツを頻繁に行う人
  • 自動車、バイク、自転車によく乗る人
  • ケガをしやすい仕事に従事している人 など

このように、ケガをしてしまうリスクが高く、入院時だけでなく通院時にも保険金が下りるようにしたいという場合には、傷害保険を検討する余地があるでしょう。また、病歴があり医療保険への加入ができなかったり、保険料が高くなる場合には、ケガの補償だけにはなりますが、傷害保険でカバーするという手もあります。

その他、旅行中については普段の生活と違うリスクがあるため、国内旅行・海外旅行傷害保険など安全に旅行に行くための保険の必要性が高くなります。

4. 加入する際の注意点とは?

日本の公的医療制度は手厚く、医療費の負担は原則3割です。ケガの度合いにもよりますが、3割であればそれほど大きな金額にはならない可能性もあるので、その点を加味すべきです。

また、医療保険に加入している場合、入院に関わるケガであれば医療保険の保障で賄うことができます。その他の保険でも重複の可能性があるので、今自分はどんな保険に加入していて、どんな補償が不足しているのかを整理しましょう。

5. まとめ:必要な補償内容を整理してから傷害保険の検討を

ここまで傷害保険の種類や保険料、医療保険との違いから、加入を検討した方がいい人、注意点などをご紹介してきました。ケガを手厚く補償したい場合に有効な傷害保険ですが、一言で傷害保険といってもその種類や補償内容はさまざまなので、どんな補償が必要なのかを整理して、すでに加入している保険と重複しないようにするなど、過不足のない補償を得られるように慎重に検討してください。

株式会社 回遊舎(編集・制作プロダクション)執筆:株式会社 回遊舎 (編集・制作プロダクション)
金融を専門とする編集・制作プロダクション。多数の金融情報誌、ムック、書籍等で企画・制作を行う。保険、身近な家計の悩み、投資、税金、株など、お金に関する幅広い情報を初心者にもわかりやすく丁寧に解説。

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