子どもが物を壊したり人にけがさせたときに備える損害保険

  • 公開日:2020年01月31日
    最終更新日:2022年04月06日
  • 損害保険

2022-04-06

https://www.kurashino-okane.com/sonpo/child-damage-ins/

子どもを持つ親にとって、子ども自身のケガや病気は一番の心配事といえますが、さらに、子どもが他人にケガをさせたり、物を壊して損害を与えてしまったといった場合の対応も考えておきたいもの。子どもの場合、故意ではなくても時には大きな損害を与えてしまうリスクもあり、その場合の責任は親にのしかかってきます。

子どもが起こした突然の事故で資産を大きく失うことも考えられますので、いざというときのために保険で備えておくと安心です。

1.子どもが起こした他人への損害は親が責任を負うことに

子どもが自転車に乗っていて歩行者に重傷を負わせてしまい、その親に数千万円の損害賠償命令が出た判決事例が記憶にある人もいるのではないでしょうか。普段、子どもが自転車に乗ってあちこち出かけているという家庭はごく一般的ですので、子どものいる家庭では、このような事件は他人事ではないでしょう。

そこまで深刻な事故にはならなくても、買い物中に商品を壊してしまったとか、公園で遊んでいて他の子どもにケガをさせてしまった、キャッチボールをしていて他人の家の窓ガラスを割ってしまった…など、損害賠償が必要になる可能性は身近に潜んでいます。

いざ、子どもが他人を傷つけたり物を壊してしまったりした場合には、損害賠償の責任は親にかかってきます。そうしたリスクをカバーするのが個人賠償責任保険です。

2.個人賠償責任保険は火災保険や自動車保険に付帯

個人賠償責任保険は個別の保険商品として用意されているわけではなく、火災保険や自動車保険など幅広い損害保険商品に特約として付帯できるものです。また、補償の対象となる範囲が広いのがこの保険の特徴。家族の中の誰かがこの補償を付けていれば、家族全員のリスクに対応することができます。

火災保険や自動車保険は家族の誰かが加入しているケースも多いと思いますので、これらの保険のどれかひとつに、個人賠償責任の特約を付けておくと安心です。

3.損害賠償額は高額になる傾向。補償額は十分に

「子どもがやってしまったことだから」、という理由で損害賠償の額が少額で済むことはありません。相手の被害や損害の状況によって賠償額が決まりますが、最近では賠償額が高額になる傾向にあるので、いざ加害者になってしまったときに、預貯金などでは対処できないケースも大いに考えられます。そのため、個人賠償責任保険は付けておいたほうが安心でしょう。

保険金額は数千万~3億円程度が一般的ですが、保険料は高くても月に数百円程度と家計の大きな負担にはならない金額ですので、なるべく高額の補償を確保しておいたほうがより安心です。

4.個人賠償責任保険で補償されないケース

事故による損害でも、対象とならないものもあります。

子どもが原因で賠償責任が生じた場合に保険の対象とならない主なケースとして、他人から借りたものを壊したときや、同居の親族に対する損害賠償などがあげられます。また、けんかなどの行為による事故で相手にケガをさせた場合も基本的に保険の対象となりません。ただし、責任能力のない小さな子ども同士のけんかなど、補償されるケースもあるため、詳細は保険会社にお問い合わせください。

兄弟同士でケガをさせてしまったとか、子どもが親のパソコンを壊してしまったなどといった場合には、個人賠償責任保険の対象とはならないので覚えておきましょう。

5.加入前には、重複加入していないかをチェック!

個人賠償責任保険は、幅広い損害保険商品にオプションとして付けられるようになっているため、すでに何らかの損害保険商品にこの特約が付いている人も少なくありません。既に加入済みの保険で重複加入していないかをいま一度チェックするといいでしょう。

火災保険や自動車保険などに付帯されていることが特に多いですが、子ども向けの共済に特約としてつけているケースもあります。また、自転車保険に加入していれば個人賠償責任保険が組み込まれているのが一般的です。

6.最近は示談交渉サービス付きもある

個人賠償責任保険には、示談交渉サービスが付いているものもあります。示談交渉サービスは事故を起こしてしまったときに、被害者との示談交渉を代行してくれるサービスです。相手と自分の認識が違う場合など、もめてしまう前からでも間に入って交渉してもらうことができます。

直接相手方と不慣れな交渉をすることは、不安が大きいものなので、こうしたサービスがついたものであれば、より安心です。個人賠償責任保険に加入する際に、示談交渉サービスを受けられるかどうかは一つの選択基準となります。

7.まとめ:他の保険に付帯されるため、保険の見直しによる消滅に注意!

先述のとおり、個人賠償責任保険は損害保険商品に特約として付帯するものですので、補償を確保したとしてもメインの保険契約を変えた場合には、特約部分の補償も消滅してしまいます。

たとえば、長期の火災保険の満期を迎えたのを期に新しい保険に乗り換えたとか、マイカーを手放して自動車保険を解約したなどの場合、その保険に個人賠償責任保険の特約を付けていたことに気付かずにそのままにしてしまうと、個人賠償責任保険部分の補償がなくなってしまっていることに気付かない可能性もあります。必ず、他の保険に付けるなどで補償を確保しておくようにしましょう。

株式会社 回遊舎(編集・制作プロダクション)執筆:株式会社 回遊舎 (編集・制作プロダクション)
金融を専門とする編集・制作プロダクション。多数の金融情報誌、ムック、書籍等で企画・制作を行う。保険、身近な家計の悩み、投資、税金、株など、お金に関する幅広い情報を初心者にもわかりやすく丁寧に解説。

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※掲載している情報は、記事公開時点での商品・法令・税制等に基づいて作成したものであり、将来、商品内容や法令、税制等が変更される可能性があります。また個別の保険商品の内容については各商品の約款等をご確認ください。