賃貸住宅に火災保険は必要!?お得な加入方法と選び方のポイント

  • 公開日:2019年01月10日
    最終更新日:2022年04月06日
  • 損害保険

2022-04-06

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マンションやアパートなどの賃貸契約時には、敷金・礼金、引っ越しなどで何かとお金がかかります。また、賃貸契約の更新時などには、更新料として家賃の1カ月分などを支払うこともめずらしくありません。そんなときに、火災保険にかかるお金はけっこうな負担に感じるもの。

「加入する義務はあるの?」
「なんとなく加入してしまったけど、更新はしなくてもいいかな?」

と、加入や更新を悩む人もいるでしょう。そこで、ここでは、賃貸住宅で暮らすうえで切っても切り離せない火災保険を理解するために、その必要性から、上手な選び方、保険料の相場まで説明していきます。

1.火災保険は生活を守るために必要なもの

そもそも火災保険とは何のために加入するのでしょうか?まずは、そこから確認していきましょう。

1-1.火災保険で自分の生活を守る

まずは自分の不注意で火災を起こしてしまったと想像してみてください。マンションやアパートの建物そのものや近隣まで被害が及んだ場合に、大家さんや近隣への補償を自分自身の貯金だけで何とかすることはできるでしょうか?

それ以外に、自分の家具や家電など、家財もなくなってしまったとしたら……。もしかしたら、その金額は数百万円、数千万円に上るかもしれません。

そういったときに、火災保険によって保険金が下りれば、自分自身で補償を負担する必要はなくなります。

1-2.ここが重要!火災保険と「失火責任法」の関係性

そして、もう1つポイントとなるのが、日本ならではの法律である「失火責任法」です。この法律は、簡単に言うと、失火をしてしまった人(責任者)は「重大な過失」がない限り、失火についての損害賠償を請求されないというもの。重大な過失とは、寝たばこや、暖房器具、てんぷら油などによる火災などを指します。

この法律が定められた理由は、木造家屋が密集する日本では、自宅や家財を失った人にさらに周囲への損害賠償責任を背負わせるのは賠償能力の限度を超えている、という考えによるものです。

つまり、失火責任法上は、自分が賃借人(※)の立場にあり、火災の火元となったとしても、重大な過失がなければ建物の建て替え費などを負担する必要はないのです。これは意外な事実ではないでしょうか。

しかし、だからといって「では火災保険の必要度は低いのでは?」と考えるのは危険です。
なぜなら、逆に考えれば、仮に隣家から出火した火災によって自分が損害を被ったとしても、その失火者に対して損害賠償を請求することはできない場合があるからです。

つまり、「火事の原因は自分ではないのだから、火事を起こした人が被害を補償してくれるはず」と思っていたら、失火責任法によって自分自身で何とかしなくてはならなくなる、ということが起りうるわけです。そういったときに、もしも火災保険に入っていなければどうなるのか。これが、「火災保険に入るべき理由」です。

(※)家賃を支払って、賃貸物件を借りている人のこと

1-3.火災保険への加入は強制?

火災保険への加入は基本的に強制ではありません。ただし現在では、火事による損失リスクを回避するために、賃貸契約時に火災保険に加入することが条件となっていることがほとんどです。多くの場合、賃貸の契約書類などと共に、火災保険への加入書類も提出することが必須となっています。よって、火災保険に加入しなければ部屋を借りることもできないと考えておくほうがよいでしょう。

2.火災保険の3つの補償をチェック

では「失火責任法」をふまえたうえで、火災保険の種類と内容について、詳しく見ていきましょう。

2-1.自分の家財を補償するための「家財保険」

一般的に火災保険では、「建物」と「家財」が補償の対象となります。ただし賃貸物件の場合、建物についてはそこを管理する大家さんが保険に加入しています。ですから賃借人が加入するのは家財を保障するための「家財保険」になります。

「家財」とは、文字通り自分が所有する建物内の家具や家電、衣類などのこと。家財保険は、家財が損害を受けたときに補償してくれるものです。商品によって違いはありますが、一般的には、火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹災・雪災のほか、建物外部から物体が落下・飛来・衝突することによる被害や、漏水による水漏れ、自宅前での集団破壊(暴力)行為といったものが補償対象となります。

賃貸の場合これらが火災保険のメインの補償となり、プラスでこの後から解説する「借家人賠償責任保険」と「個人賠償責任保険」といった保険(特約)を付加し、3つセットで加入するのが一般的です。

2-2.大家さんに対しての補償「借家人賠償責任保険(特約)」

家財保険の特約として加入する特約の一つが「借家人賠償責任保険」です。これは大家さんに対して賠償責任が発生した場合の損害を補償する保険です。

先ほど説明したように、失火責任法によって、失火者は重大な過失が伴わない限り賠償責任を問われないことになっています。そうすると、たとえ賃借人が失火によって部屋に損失を与えたとしても、大家さんに対して損害賠償責任を負わなくていいのではと疑問に思う人もいるでしょう。

ここでポイントとなるのが、賃貸の賃借人が契約時に負う「原状回復義務」です。これは賃貸住宅の契約終了の際、物件を入居前の状態に戻さなければならないというもの。この義務が履行されなければ、それは賃貸契約の債務不履行となります。火事で建物が燃えてしまった場合、原状回復をすることは困難になります。

賃貸物件の原状回復義務は失火責任法の適用を受けないため、賃借人は重大な過失がなくても、大家さんに対して損害賠償責任を負うことになるのです。「借家人賠償責任保険」は、こうした原状回復のための費用を補填するための保険になります。

2-3.隣家などに対する補償「個人賠償責任保険(特約)」

特約として加入する保険のもう一つが「個人賠償責任保険」です。これは日常生活のトラブルによる損害補償に備える保険で、主に隣家などに対する損害を補償するものです。この補償内容は多岐にわたっていますが、たとえば水漏れで階下の部屋に損害を与えた場合などに補償金が支払われます。

ここで注意したいのが、個人賠償責任保険は自動車保険や傷害保険の特約としてつけることも多いので、すでに加入している可能性があることです。補償が重複しないよう、あらかじめチェックするようにしましょう。

3.火災保険選びのポイント

賃貸住宅において火災保険に加入することの重要性や保険の内容がわかったところで、次は選び方について考えていきます。

3-1.必要な補償額を確認して、適切な火災保険に加入する

火災保険は、つい保険料の安さにばかりに気を取られてしまいがち。しかし必要な補償額を満たしていなければ、万一の時の備えにはなりません。では、必要な補償額はどのように考えればいいのでしょうか。

まず「家財保険」に加入する上で大切なのは、所有する家財の量や質をきちんと把握したうえで、自分にあった適切な補償額で契約することです。しかし、家にある家財すべての金額を把握することは現実的には難しいはず。そこで、保険会社は「家財簡易評価表」といって、世帯主の年齢と家族構成などで大体これぐらいという目安をパンフレットやホームページなどに提示しています。

例えば、30歳前後で独身であれば350万円、同じ30歳前後で夫婦と子1人なら595万円といった具合です。こういった家財簡易評価表を参考にして、補償額を決めるとよいでしょう。

なお、補償額を決める際に、火災保険によっては保険金額を時価で設定するものと新価・再調達価額で設定するものがありますのでご注意ください。最近の保険は、新価・再調達価額で設定するものが多くなっていますが、時価の場合は、購入時から年数が経過し消耗した価値を差し引いた額での保険金額設定となるため、新品に買い替えるには保険金が足りないということになりかねません

また「借家人賠償責任」と「個人賠償責任」の保険(特約)は、家財保険に付加されるケースがほとんどで、補償の支払限度額も保険会社のほうで設定されていることが多くなっています。借家人賠償責任は1000万円~2000万円、個人賠償責任は数千万円~1億円など。保険料と補償のバランスを考えて、保険商品を検討するようにしましょう。

3-2.火災保険の保険料の相場って?

補償額を念頭に入れることはわかったけれど、火災保険の保険料の相場を知りたいという人も多いのではないでしょうか。必要な補償内容によるので一概にはいえませんが、大体1年で1万円程度をベースに考えるとよいでしょう。

基本的にネットで完結する保険のほうが、店舗対面で加入する保険よりも割安。家財保険の補償額が100万円程度でよければ、4,000円程度で加入できる保険も出てきています。ただし、安さばかりを追い求めて、必要な補償を得られないのは本末転倒。補償が十分かを考えるようにしてください。

3-3.手続きや保険内容が簡単なWebが割安でお得!

火災保険を探すときの方法として活用したいのが、火災保険の一括見積もりをしてくれるWebサイトです。こうした比較サイトでは、条件さえ入力すれば、数分で見積もりを取ることができます。さらに、複数社の商品を比較することができるので、最安の保険を見つけ出すことが可能になります。

3-4.不動産屋が勧めてくる保険に入らなくてはダメ?

不動産屋などで賃貸契約をするときに、「火災保険にも加入する必要があるので、申込書をお渡ししますね」と言われて、指定された火災保険にそのまま加入するというケースが多くみられます。つい、「この保険に入らなければならないんだ」と思みがちですが、実は、不動産屋に勧められた火災保険に加入しなければならないという義務はありません。

場合によっては、不動産屋が勧めてきた保険が割高だったり、余分な補償が付加されているということもあります。言われるがまま加入するのではなく、自分で探してみるようにしましょう。もちろん、自分で探す場合、手間や時間がかかりますが、その分自分にピッタリあった火災保険を見つけられる可能性が高まります。自分で調べたい場合には、不動産屋などに「この保険ではなく別の保険を検討してもいいでしょうか」と伝えましょう。

4. 更新の際はしっかり見直しを

賃貸住宅の火災保険は通常、1年か2年で契約を更新する仕組みになっていますが、更新時はあらためて契約内容を見直す絶好のチャンスです。すでに火災保険に加入していても、適切な補償や保険金額になっていない場合もあるうるので、このタイミングできちんと確認し、必要があれば別の火災保険に加入し直すということも検討しましょう。

手続きをせず無保険の状態になってしまうことには気をつけなければなりません。契約時には、火災保険に加入したことを証明するために不動産屋や大家に加入書類を提示することが求められても、更新時にはそれがされず、「言われないからいいや」と、更新をしないというケースがあります。しかしそれは、火災を起こしたり、巻き込まれたときに、莫大な損害賠償を背負うリスクに直結します。周囲任せにせず、自分自身でもしっかりと管理することが大切です。

5.地震による火災は補償されるの?

地震大国の日本では、地震による火災を危惧する人がとても増えています。しかし、火災保険では地震を原因とする火災は補償の対象外となります。よって、地震による火事に備えたい場合は、地震保険に別途加入するか、加入済みの火災保険に地震保険を付帯するなどの手続きが必要となります。

地震保険の役割や補償内容については、「地震保険はどれだけ役立つ?補償内容から活用法までの全知識」を参照ください。

6.まとめ:賃貸住宅の火災保険はマナー、適切な保険をしっかり選ぼう

マンションやアパートなどの賃貸物件で暮らすにあたって、火災保険がいかに必要か、選び方や注意点などまとめてご紹介してきました。自分や大家さん、近隣の住人などのために、火災保険に加入しておくことはマナー、義務だと考えておくほうがよいでしょう。

ただし賃貸契約を結ぶときに言われるがまま加入すると、必ずしも自分にとって適切な補償内容や保険料であるとは限りません。火災保険の基本的な内容や補償範囲などをきちんと理解したうえで、過不足のないような保険を選ぶようにしましょう。

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