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介護が必要な期間はどれくらい?
介護が必要となる期間は、「寿命(生まれてから亡くなるまでの年数)」から「健康寿命(生まれてから自立した生活ができる限界までの年数)」を差し引くことで求めることができます。では、男女別に、どのくらい介護が必要となる期間があるのか見てみましょう 。
男性
厚生労働省によると、平成28(2016)年のデータでは、男性の平均寿命は80.98歳。一方、健康寿命は72.14歳。約9年の介護期間が必要となると考えていいでしょう。
女性
同じく、女性の平均寿命は87.14歳。一方、健康寿命は74.79歳です。約12年の介護期間が必要となると考えていいでしょう。女性は男性より寿命が長く、介護期間も長くなると考えておいたほうがよさそうです。ただしこれは、あくまで「理論値」としての介護期間です。では、実際には、どれぐらいの期間介護をしているのでしょうか。平成30年に公益財団法人生命保険文化センターが「実際にどのくらいの期間、介護を行ったのか」というアンケート調査を行いました 。その結果をまとめたのが次のグラフです。

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/平成30年度をもとに保険相談ニアエル作成この結果によると、介護期間の平均は54.5カ月(4年7か月)ということになります。一番多かった回答が「4~10年未満」で、全体の約28%を占めています。「10年以上」という回答も14.5%あります。どちらにせよ、介護はかなりの長期戦を覚悟する必要があることだけは間違いないようです。
介護費用の平均
次に、介護にかかる費用をみていきましょう。
介護にかかる自己負担金
介護費用と言っても、具体的に何が当てはまるかということがピンとくる方は少ないかもしれません。そこで、介護に当たって全てもしくは、一部を自分で負担することが必要とされる費用をまとめてみました。
・公的介護保険制度の支給限度額を超えたサービス(上乗せサービス)の費用・公的介護保険制度の対象外のサービス(横出しサービス)の費用・生活の補助を目的とした住宅改修(手すり、リフトの設置)などの初期費用
・施設利用時の居住費や食費・施設入居にかかる初期費用
在宅介護を選ぶか、施設介護を選ぶかは、介護を受ける人、介護をする人の状態によっても異なるので、どちらがいいとは一概には言えません。しかし、どちらを選ぶにしてもそれなりの費用が必要となる、ということは確かです。
介護には一時費用と毎月の費用が発生する
では、実際に介護にはいくらぐらいお金がかかるものなのでしょうか?
一時費用
先ほどの生命保険文化センターが平成30年に行った調査によれば、介護を行った人の一時費用の平均は69万円でした 。

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/平成30年度をもとに保険相談ニアエル作成なお、一時費用の具体例としては、次のようなものがあげられます。
費目 | 金額 |
車いす | 自走式4万円~15万円電動式30万円~50万円 |
有料老人ホーム「介護付終身利用型」の場合 | 入居金0~4,000万円前後月額管理料10万円~30万円 |
リフト(工事費別途) | 据置式20万円~50万円レール走行式50万円~ |
ポータブルトイレ | 水洗式1万円~4万円シャワー式10万円~25万円 |
特殊寝台 | 15万円~50万円 |
手すり | 廊下・階段・浴室用など1万円~ |
階段昇降機(工事費別途) | いす式直線階段用50万円~ |
毎月の費用
介護費用は一時的な出費だけでなく、毎月の費用もかかります。同調査によれば、公的介護保険の自己負担分も含んだ1カ月の平均費用は7.8万円です。

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/平成30年度をもとに保険相談ニアエル作成
介護費用はどれくらい準備すればいい?
これらのデータを踏まえて、いったいいくら用意しておけば安心か、ということを考えてみたいと思います。介護期間を5年、一時費用を70万円、毎月の費用を8万円とすると、必要な金額の総額は「8万円×60カ月+70万円=550万円」です。かなりのお金が必要となることがわかります。
介護に必要なお金を用意する手段
介護にかかる費用をどのように用意すればいいのでしょうか。方法は2つ考えられます。
貯蓄でまかなう
大きな買い物をするときの基本は、こつこつ貯金をすることです。定期預金などで毎月決まった額を積み上げていけば、結果としてかなりの金額がたまります。
民間の介護保険の利用
貯蓄は長い時間がかかるうえ、その間、病気やケガで働けなくなった場合には、貯蓄ができなくなるおそれがあります。民間の介護保険は、毎月決まった額をきっちりと積み立てていくことができるというメリットがあります。病気やけがで一定の障害状態になった場合は、それ以降の保険料の払い込みが免除される商品もあります。うまく活用できれば、介護費用を確保する手段として有効でしょう。