20代になり、社会人になると、保険の必要性について考えるシーンも増えてくるのではないでしょうか?どんな人がどんな保険が必要か、考えてみましょう。
公益財団法人『生命保険文化センター』の「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、20代の生命保険加入率は男性が46.4%、女性が57.1%となっています。
区分 | 加入率(%) |
---|---|
男性 | 46.4 |
女性 | 57.1 |
30歳代〜60歳代では約8割の人が加入しており、20代は他の年代より加入率が低い傾向があります。20代で保険が必要かどうかは、家族構成や貯蓄状況などによって異なります。それでは、どのような人が生命保険に加入すべきなのでしょうか。今回は、20代で生命保険に加入する必要性、メリット、おすすめの保険、選び方について詳しく紹介します。
参考:公益財団法人生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
目次
1.【結論】家族を養っている人は保険を検討した方が良い場合も!
独身・子供がいない人は自分の病気や事故への備えがあればいいため、保険の必要性は低いといえます。しかし、貯蓄が少ないといった方は、急な入院などで入院費を払えないといったこともありえますので、医療保険などは検討したほうがいいかもしれません。
一方、パートナーや子供がいて家計を支えている人は、働けなくなったときや万一のことがあったときに家族に大きな負担がかかります。そのため、家族を養っている人は保険を検討した方が良い場合があるでしょう。
1-1.20代の平均保険額
20代で生命保険に加入している人は、保険額をどのくらいに設定しているのでしょうか。「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、入院給付金の平均日額は男性7,400円、女性7,100円です。死亡保険金の平均は男性1,001万円、女性は751万円となっています。
保険の種類 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
入院給付金(日額) | 7,400円 | 7,100円 |
死亡保険金 | 1,001万円 | 751万円 |
参考:公益財団法人生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
2.20代で保険加入するメリット
20代で生命保険に加入すると、保険料や資産形成などさまざまな面でメリットがあります。ここでは、4つのメリットを紹介します。
2-1.若い方が安い保険料で契約できる
「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、年間払込保険料の平均は20代〜70代のうち20代がもっとも低額で、男性11.9万円、女性9.6万円となっています。30代は男性19.9万円、女性は14万円で、20代と比べると男性は8万円、女性は4.4万円の差があります。
区分 | 20代 | 30代 | 差額 |
---|---|---|---|
男性 | 11.9万円 | 19.9万円 | 8.0万円 |
女性 | 9.6万円 | 14.0万円 | 4.4万円 |
若い方が安い保険料で契約できる傾向にあるため、20代で加入すれば払い込む保険料の総額が安く済む傾向にあると予測できます。
参考:公益財団法人生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
2-2.将来の資産形成にもなる
生命保険の中には、満期を迎えたときには満期保険金、解約するときには解約払戻金が支払われるものがあり、将来の資産形成に活用できます。例えば、死亡保障と貯蓄を兼ね備えた「養老保険」や「終身保険」など、貯蓄型保険と呼ばれる生命保険が資産形成に向いています。ただし、契約内容や解約のタイミングによって、元本割れを起こす場合もあるので注意しましょう。
2-3.保険の選択肢が増える
生命保険に加入する際は、一般的に健康状態や病歴の告知が必要となります。健康状態や病歴によっては生命保険に加入できない場合があり、加入できても条件や制限がつくことがあります。年齢を重ねると病気や怪我のリスクが高まるため、20代のうちに保険を検討した方が、多くの選択肢の中から自分に合うものを選べる可能性があります。
2-4.貯蓄だけでは万が一の医療費に備えるのは難しい
金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、20代の平均預貯金額、金融資産保有額の平均、中央値は以下の通りです。
単身世帯 | 2人以上世帯 | |
---|---|---|
平均預貯金額 | 65万円 | 105万円 |
金融資産保有額の平均 | 121万円 | 249万円 |
金融資産保有額の中央値 | 9万円 | 30万円 |
出典:各種分類別データ(令和5年) ― 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)|知るぽると
各種分類別データ(令和5年) ― 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)|知るぽると
日本では国民皆保険制度が採用されており、病気や怪我で治療を受けた際は公的医療保険によるサポートによって自己負担額を抑えられます。しかし、自由診療費や先進医療費、入院時の差額ベッド代など、公的医療保険の対象外となる費用もあります。「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、直近の入院時の自己負担費用の平均は19.8万円となっています。20代は貯蓄が少ない傾向があるため、万一の医療費に備えるのが難しい場合があるでしょう。生命保険に加入しておけば、入院や治療でかかる医療費をカバーでき、経済的負担を軽減できる可能性があります。
出典:公益財団法人生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
3.【20代の生命保険】おすすめの保険
ここからは、20代におすすめの生命保険を紹介します。
3-1.「医療保険」や「がん保険」など病気やけがに備える保険
病気やけがに備えたい場合は、医療保険やがん保険などがあります。医療保険は、病気やけがで入院や手術を受けたときに給付金が受け取れる保険です。がん保険はがんに特化した医療保険で、がんと診断されて入院や手術をしたとき、死亡したときなどに給付金が受け取れます。他にも、3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)を保障する「特定疾病保障保険」や、怪我を補償する「傷害保険」などがあります。
3-2.「終身保険」や「養老保険」など死亡に備える保険
死亡に備える保険には、「終身保険」や「養老保険」などがあります。終身保険は一生涯にわたって死亡・高度障害保障が受けられる保険で、万一のときに受取人に保険金が支払われます。養老保険は死亡・高度障害保障が受けられるのは一定期間で、満期を迎えたときに満期保険金が受け取れます。
3-3.教育費に備える「学資保険」
子供の教育費に備えたい場合は、学資保険を検討してみましょう。学資保険は子供の大学入学や進学のタイミングにあわせて、契約時に決めた金額の祝い金や満期保険金を受け取れる保険です。中学や高校進学のタイミングでも祝い金が出るタイプもあります。契約者に万一のことがあったときは保険料の支払いが免除になり、子供は祝い金や満期保険金を予定通り受け取れる点が、保険ならではのメリットです。
また、子供に対する医療保障や死亡保障を付加できる学資保険もあります。
3-4.老後の資金を蓄えられる「個人年金保険」
老後の生活に不安がある人は、老後資金を蓄えられる「個人年金保険」がおすすめです。個人年金保険は、自分で設定した年齢まで保険料を払込み、受け取り開始時期になったら10年といった一定期間に年金を受け取れるタイプが主流です。払い込み期間中に万一のことがあった場合は、払込保険料相当額の死亡給付金が支払われるのが一般的です。
3-5.「就業不能保険」や「所得補償保険」など収入減少に備える保険
病気やけがで働けなくなったときの収入減少に備えたいときは、「就業不能保険」や「所得補償保険」があります。就業不能保険は長期的な収入減少に備えるものですが、就業不能になってすぐに給付金を受け取れるのではなく、半年後、1年半後などから受け取れるタイプが多いです。傷病手当金などを受け取れる会社員を想定した、保障設定になっています。その代わり、保険期間・受け取り期間は10年など長期です。
一方、所得補償保険は一時的な収入減少に備える保険で、就業不能状態になるとすぐに給付金を受け取れますが、受け取り期間が1年など、短期になります。他にも、死亡・高度障害状態になったときの長期的な収入減少に備える「収入保障保険」もあります。
4.ライフステージ別!生命保険の選び方
同じ20代でもライフステージによって、必要な保障は異なります。ここでは、独身・既婚子なし・既婚子あり・シングル別に、生命保険の選び方を紹介します。
4-1.独身
独身の人は、病気やけがをした際の医療費や収入減少に備えるのがおすすめです。とくに、自営業やフリーランスの人は、会社員や公務員のような働けなくなった時に受け取れる傷病手当金による保障がありません。十分な貯蓄がない場合は経済的リスクが高いため、「医療保険」「就業不能保険」などを検討するのがよいでしょう。
4-2.既婚子なし
結婚して子供がいない人は、病気やけがをしたとき、万一のことがあったときのパートナーへの経済的負担を考えて保険を選ぶのがポイントです。家計を支える立場の場合、医療保険だけでなく死亡保険、就業不能保険などに加入して、パートナーの生活費を確保しておくと安心です。収入と支出のバランス、パートナーが加入している保障内容などを考慮して、無理のない範囲で保障内容を検討してみましょう。
4-3.既婚子あり
結婚して子供がいる人は、既婚子なしの場合よりも手厚い保障を準備するのがおすすめです。自分が家計を支えている場合、病気やけがの治療費だけでなく、自分に万一のことがあった時の家族の生活費や教育費を死亡保険金で確保することが大切です。家庭環境、貯蓄状況に合わせて、医療保険、就業不能保険、死亡保険、学資保険などを検討してみましょう。
4-4.シングル
シングルマザーやシングルファザーの人は、病気や怪我をしたときの治療費や、自分に万一のことがあったときの子どもの生活費、子どもの教育費などに備えておくとよいでしょう。
ただし、子どものことを考えて多くの保険に加入すると、保険料が家計の負担になってしまう場合もあるので優先順位をつけて加入する必要があります。もっとも重要なのは、自分に万一があった時の死亡保険の確保となります。
自分に合った保険で将来の不安を減らそう!
生命保険は、病気やけが、死亡、教育費、老後の生活などさまざまなリスクに備えられます。20代で生命保険に加入している人は他の年代より少ない傾向にありますが、早めに加入を検討すると保険料や資産形成などさまざまなメリットがあります。生命保険にはさまざまな種類があるため、自分に合った保障を選ぶことが重要です。
今回紹介した内容を参考に、自分自身に合う生命保険で将来の不安を減らしましょう。
まとめ
- 20代で家族を養っている人は保険を検討した方がいい場合がある
- 20代で保険に加入するメリットは、「若い方が、払込保険料が安く済む可能性がある」「将来の資産形成に活用できる」など
- 20代におすすめの保険は、「医療保険」「終身保険」「学資保険」「就業不能保険」など
- ライフステージにあわせて自分に合う保険を選ぶのがおすすめ