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就業不能保険とは?
保険といえば、「死亡」と「入院」の2本立ての保障が定番でしたが、最近では長期自宅療養といった、医療保険ではカバーしきれないリクスの存在が認識され始めています。医療技術の進歩や入院日数の短期化、通院治療を推奨する政府の方針転換などを背景に、病気やケガのために長期間働けないという就業不能の状況に陥るケースが増加しているためです。
また、家族構成の変化も「働けないリスク」が認識され始めた一因でしょう。これまで主流だった専業主婦家庭では、夫が生命保険に加入して万一の時の養育費などに備えるのが一般的でしたが、共働き世帯やDINKS、単身者が増加したことで、死亡するリスクよりも働けなくなることの方が重大なリスクだと捉えられるようになりました。
就業不能保険は、このような社会の変化を受けて誕生した商品なのです。
就業不能保険で公的保障の不足分を補おう
病気やけがで働けなくなった時には、公的保障を受けることができます。
会社員や公務員は、傷病手当金のおかげで一定期間はある程度の生活水準は保てるはずですから、長期間働けなくなるリスクを中心に就業不能保険を活用するといいでしょう。いっぽうの自営業者は、働けなくなった場合には無収入に直結しますから、保険期間は短くても加入するメリットは大きいといえます。
社会人になって間もない頃は貯蓄もそれほど多くないでしょうし、独身であれば、自分が働けなくなった場合に減収を補ってくれる家族がいないので、就業不能保険は十分検討の余地がある保険です。それぞれの状況に応じて、上手に商品選びをしていきましょう。
就業不能保険に加入するときのチェック項目は?
就業不能保険は次々と新商品が発売され、バリエーションが多彩になっています。加入する際にどのような点をチェックすればいいのか、確認していきましょう。
保険金
就業不能保険は、病気やケガで働けなくなった際、あらかじめ設定しておいた額の給付金を毎月受け取るのが基本的な仕組みです。先述の通り、公的保障で不足する分を上乗せする程度の保険金を目安とするといいでしょう。商品によっては、傷病手当金が打ち切られる1年6カ月を経過すると保険金を増額できるものもあります。
保険期間
保険期間を55〜70歳の間、5歳刻みで設定できる商品が一般的です。独身の場合だと、定年前後の65歳や70歳までカバーされる保険を選ぶのが無難でしょう。ただし、自営業者で万一の時に当面の生活費を賄いたいという場合には、保険期間を短くし、保険料を抑えるという利用方法もあります。
免責期間
就業不能保険には、保険金が支払われない免責期間があり、60日や180日に設定されているのが一般的です。公的保障の手薄い自営業者であれば、より免責期間の短い「所得補償保険」を利用する手もあります。就業不能保険と同様に働けなくなった時に保険金を受け取ることができ、免責期間が7日程度と短く設定されている商品が主流です。就業不能保険は生命保険会社が販売しているのに対し、所得補償保険は損害保険会社が販売しています。保険期間は1年間など短期型で、その分保険料が安いという商品が多いです。
支払い条件
原則として、病気やケガで入院している、医師の指示で自宅療養が続いているなど、一定期間以上就業不能状態が続いた時に保険金が支払われます。ただし、どのような病気や症状をカバーできるのかは商品によって異なります。例えば、障害等級に認定されていることが条件とされていたり、うつ病などの精神疾患が対象外であったり、3大疾病・5大疾病や介護状態もカバーする特約をつけることができたりと、商品により違いがあります。また、就労不能の再判定があるかどうかも確認しておきましょう。
商品ごとの違いを知り、最適な商品を選ぼう
就業不能保険は、病気やケガで働けなくなるリスクをカバーできる心強い保険です。家族がいる人だけではなく、独身の人にとっても有意義な保険だといえます。ただし、比較的新しい保険のため、各社で一律の就業不能判定の基準などがなく、全体像が把握しづらいという点には注意が必要です。自分が求める保障内容を精査し、しっかりと下調べをして最適な保険に加入するようにしましょう。