運転者限定のタイプ、限定する際に注意すべき点など運転者限定のポイントをまとめました。
目次
運転者限定特約とは?
任意の自動車保険は運転者限定や年齢条件をつけなければ、記名被保険者、配偶者、同居親族、親せき、友人、知人と、誰が運転しても、事故は保険でカバーされます。いわば、「免許を持っている人は全てOK」という状態です。しかし、誰でも補償できる状態は、その分だけ保険料が高くなります。
任意の自動車保険料を安くするため、保険に加入している車を運転する際、補償の対象になる人を限定するのが運転者限定特約です。簡単に言えば、「保険がきく人を限定する」ということになります。
補償の対象となる人を「無制限」から「本人(記名被保険者のみ)、または夫婦」に限定すれば、手っ取り早く保険料は安くなります。対人賠償や対物賠償、人身傷害保険など、補償内容を変更するのは不安がありますが、運転者を限定するだけであれば、これまで通り保険が効く点も安心です。
ただし、他人が運転することがほんの少しでもあるなら運転者限定はNGです。運転者を限定してしまうと、「他人」の運転で事故が起きた場合に保険の補償対象外になってしまうため、くれぐれも注意しましょう。
なお、運転者限定特約は任意の自動車保険のみにある特約です。自賠責保険には限定特約は存在しません。また運転者限定とは、あくまで運転する人だけであって、同乗者は限定されません。
運転者限定特約の種類
運転者限定特約には次の種類があります。基本の自動車保険では、運転者限定特約がついておらず、誰が運転して事故をおこしても、保険金が支払われる「運転者限定なし」になります(年齢条件を除く)。
1.家族限定特約
運転する人を家族に限定する特約です。2019年1月から、大手損保を中心に廃止する保険会社が増えています。
家族限定の家族とは以下を指します。
- 記名被保険者またはその配偶者(内縁関係を含みます。以下同様)
- 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
- 記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子(婚姻歴のある方は含みません)
1は記名被保険者(契約車両を最も運転する人)と、その配偶者が補償されます(単身赴任等で別居状態にあっても、補償されます)。
2は記名被保険者と、その配偶者のどちらかと同居の親族であれば補償されます。
3は親元を離れて暮らす学生や若い単身者を指します。あくまで独身限定であり、一度でも婚姻歴がある場合は補償されません。
2.配偶者限定特約
運転する人を記名被保険者と、記名被保険者の配偶者(内縁関係を含む)に限定し保険料を下げる特約です。
同居、別居の有無を問わないため、何らかの事情で別々に暮らしている場合でも配偶者限定として活用できます。
3.本人限定特約
運転する人を記名被保険者本人に限定する特約です。なお契約者と記名被保険者は異なっていることも多いため、確認が必要です。夫が契約者で、妻が記名被保険者という場合もあります。この場合は、妻のみ補償となり夫が運転して発生した事故は補償の対象外となります。
4.運転者限定なし
家族限定特約、配偶者限定特約、本人限定特約を付帯していなければ、運転者限定なしの契約となります。
誰でも運転できる状態ではありますが、年齢条件がついている場合は、その年齢条件に従います。
見直しタイミングは?
まずは現在の限定状況が現状と合っているか確認しましょう。
「レジャーに行く時に友人が運転する」かもしれないので「運転者限定なし」、「基本的に自分しか運転しないが妻が運転する」こともありうるので「配偶者限定特約」…といった具合に、限定範囲を広げて契約したものの、結局は友人も妻も運転していないということもありえます。今後も乗る可能性がない場合、限定の範囲を「限定なし→配偶者限定」、「配偶者限定→本人限定」に変更することは可能です。保険料が安くなり、残りの契約期間によってはお金が戻る可能性もあります。
また、「本人限定をつけているけれど、今度の夏休みに親せきが運転する」という場合は、親せきが運転する期間のみ本人限定を外して、夏休み後に再度、限定特約を付帯するという方法も可能です。やや手間はかかりますが、必要な期間だけ、最低限のコストで適切な補償を受けられます。
家族に変化があったら、見直しのタイミングです。例えば「配偶者が免許を返納した」といった場合、運転する人を本人に限定すれば保険料を抑えることができます。
2019年1月から大手損保を中心に「家族限定」を廃止し、「本人限定」または「配偶者限定」とする動きが目立っています。「1年契約の途中だが、家族限定がついたまま」という人は「本人」か「配偶者」限定にすることで年間保険料の返戻金が発生する可能性があります。契約中の保険会社に問い合わせをしてください。ただし同居の家族が運転するなら、家族限定は満期まで有効なので特に変更する必要はありません。
また「同居親族が運転するので家族限定がなくなると困る」という場合には、「家族限定」の取扱のある保険会社へ移行するしかありません。他社で見積もりを取り、実際の保険料にどれほどの影響があるか確認してみましょう。
運転者限定特約の注意点
「家族限定」の廃止により、「これまで通り、同居家族の運転は補償されている」と思い違いをする可能性が出てきています。限定範囲をよく確認し、また、限定した運転者以外が運転する可能性が少しでもある場合、運転者限定特約はつけるべきではありません。
もしも補償されない人が重大事故を引き起こし、保険金支払いが叶わなければ、高額な損害賠償は加害者の自己負担となり、場合によっては被害者を二重に苦しめることになってしまいます。運転者限定特約については、この点にくれぐれも注意して利用するようにしましょう。