出産を機に、保険の見直しを考える人は少なくありません。また、ライフステージの変化に合わせてマイホーム購入を検討する人も多いのではないでしょうか。
「一生に一度の買い物」ともいわれる住宅を購入をするには、多くの場合、頭金などまとまったお金が必要になります。住宅購入の資金を考える際に、現在の貯蓄型の保険を解約して返戻金を住宅資金に充てようと考えている人もいるかもしれません。
保険加入から一定の期間が経っていなければ、解約返戻金は元本割れ、すなわちそれまでに払い込んだ保険料の総額を下回することに注意すべきです。
保険金を住宅資金として活用する場合には利用時期に注意しなければなりません。
ここでは、出産を機に保険を利用して住宅購入を考えている人に向けて3つの保険(終身保険・外貨建て保険・変額保険)の紹介をしていきます。
目次
終身保険(短期払)
世帯主 役立ち度△
終身保険の解約返戻金を住宅資金として利用するという方法があります。
月々の保険料を抑えた低解約返戻金型の終身保険の場合、払込期間と受取時期を調整すれば解約返戻金は元本を上回ります。
ただし、解約返戻金を元本以上の額にするには、ある程度の期間が必要になります。加入時期が遅ければ頭金として利用するには間に合わないことがあります。
内閣府が平成30年に発表した少子化社会対策白書によると、男性の平均初婚年齢は31.1歳、女性は29.4歳となっており、第1子の平均出産年齢は30.7歳となっています。一方、国土交通省が平成26年に発表した住宅市場動向調査の報告書によると、住宅所得時の世帯主の年齢は注文住宅が38.5歳、分譲戸建てが37.4歳、分譲マンションが40.6歳となっています。
一般的に日本では、出産から住宅購入までの期間が短く、終身保険で住宅購入の頭金を準備するのは難しいことが分かります。
住宅購入の費用を保険で準備しようと考えている場合は、購入時ではなく、むしろ購入後に利用することを考えましょう。住宅購入から10年後には住宅ローン減税の期間が終了してしまいます。この時期に保険の解約返戻金を繰り上げ返済に充てるのも良いでしょう。
外貨建て保険
世帯主 役立ち度△
外貨建て保険とは、払い込んだ保険料を外貨で運用する保険です。保険料は原則、米ドル・豪ドル・ユーロなどの外貨で払い込み、解約返戻金や保険金も外貨で受け取ります。外貨保険は日本円で運用する保険よりも金利が高くなるのが一般的です。
解約返戻金や保険金の額は決まっていますが、受取時に外貨から日本円に換金する際に為替の影響を受けるため、受取額が変わることに注意しましょう。
外貨建て保険には「外貨建て終身保険」「外貨建て養老保険」「外貨建て個人年金」などの種類があります。終身保険と同様、出産から住宅購入までの期間が短く、外貨建て終身保険を住宅購入の頭金として利用するのは難しいでしょう。
また、外貨建て保険は為替レートによって受取額が変動するので終身保険と比べると投資の側面が強い保険です。場合によっては日本円に換算した時に目標額に届かない可能性もあります。
ただ外貨建て保険は円建ての保険と比べて運用金利が高いメリットはあります。分散投資先の一つとして検討する価値はあるでしょう。
変額保険
世帯主 役立ち度△
変額保険とは、株式や債券を中心に契約者が運用先を指定するできる保険です。運用結果によって保険金や解約返戻金、満期保険金の額が変動するのが特徴です。
変額保険には2つの種類があります。
一つは保険期間が一定で養老保険タイプの「有期型」、もう一つは一生涯保証が続く終身保険タイプの「終身型」です。
有期型も終身型も、死亡した場合には契約時に定めた死亡保険金額を下回ることはなく、運用実績が良い場合には変動保険が上乗せされて支払われます。
ただし、解約返戻金や満期保険金には最低保証がありません。運用実績が良くなかった場合には払い込んだ保険料の総額を大きく下回る可能性があります。
また、個人年金タイプの「変額個人年金」という保険商品を扱う保険会社もありますが、こちらも年金や解約返戻金に最低保証はありません。
こちらも出産から住宅購入までの期間が短く、変動が大きい株式や債券によって運用しても結果が出にくいのがデメリットです。
終身保険や外貨建て保険と同様に、住宅購入後の繰り上げ返済の際に活用できるよう、分散投資先の一つとして検討しても良いかもしれません。