日本人の男女が60歳までに死亡してしまう確率は、10%以下だと言われています。ただし20代や30代でも、病気やケガをするリスクはあります。結婚後、病気やケガによる入院・治療費に備えられるのはどの保険でしょうか。
目次
終身医療保険
終身保険は、保障が一生涯続く医療保険です。給付金を受け取るのは病気やケガで入院した時、手術をした時です。また、解約時の解約返戻金は受け取れない掛け捨てタイプの保険です。保険料も加入時から一生涯変わらない(更新時に保険料が値上がりしない)ため、若い時に加入すると月々の負担を抑えることができます。
終身医療保険に追加できる特約の種類も豊富で、女性疾病特約や退院後の通院生活をサポートする通院保障特約、先進医療特約などがあります。
世帯主 | 配偶者(専業主婦・パート) | 配偶者(共働き) |
---|---|---|
〇 | 〇 | 〇 |
世帯主 お役立ち度 ◯
もし、病気やケガをしたとしても会社員であれば高額療養費制度があり、有給休暇もあるため、高額な保障は不要です。ただし、入院が長くなったり、休職期間中の収入減を補うため、日額5,000円から10,000円は検討した方がよいでしょう。
一方、自営業の場合は、入院で休業すると収入減に直結してしまいます。日額10,000円から15,000円程度に保障を手厚くすることを検討してください。
健康なうちにしか加入できない医療保険には早めに入った方がよいでしょう。
配偶者(専業主婦・パート) お役立ち度 ◯
重いケガ、病気でなければ、家計に影響することはほぼないでしょう。ただし、乳がんや子宮がんなど女性特有の重い病気にかかると入院が長期化し、医療費が高額になってしまいます。高い保障を付ける必要はありませんが、女性疾病特約をプラスして保障を手厚くしておく方が安心です。
配偶者(共働き) お役立ち度 ◯
家計の大半を本人の収入で占めていないのなら、治療費の分を備えておけば十分でしょう。ただし、女性特有の重い病気にかかると、高い治療費がかかる可能性がありますから、女性疾病特約を付けた方がよいでしょう。
定期医療保険
定期医療保険は、決められた期間のみ保障が続く医療保険です。10年、20年と年数で決めたり、60歳まで、65歳までと年齢で決めたりします。保障内容やオプションは終身医療保険とほぼ同じです。また、保険期間内に解約した場合、解約返戻金がない掛け捨て保険です。
保障期間が終わった後も同じ保障を備えるには更新手続きが必要です。更新できる上限は保険によって異なりますが、80歳や90歳まで可能な場合が多いようです。定期医療保険の場合、更新手続き時点の年齢をベースに計算するため、更新時に保険料が上がります。
世帯主 | 配偶者(専業主婦・パート) | 配偶者(共働き) |
---|---|---|
〇 | 〇 | 〇 |
世帯主 お役立ち度 ◯
会社員の場合は、高額療養費制度があり、有給休暇もあるため、高額な保障は不要ですが、入院が長くなったり、休職期間中の収入減を補うため、日額5,000円から10,000円の範囲に設定するとよいでしょう。
自営業の場合は病気で休業してしまうと、収入減に直結してしまいます。1日あたり10,000円から15,000円と保障を手厚くしておくと安心です。
配偶者(専業主婦・パート) お役立ち度 ◯
入院して収入が減り、家計に影響を与える可能性はほぼありませんので、治療費程度の保障があれば十分でしょう。ただし入院が長期化し、費用が高額になる病気や女性特有の疾病には、特約を活用して備えるとよいでしょう。
配偶者(共働き) お役立ち度 ◯
家計が配偶者本人の収入に依存しているのでなければ、家計に与える影響は大きくないでしょう。保障額は自分の治療費程度で十分です。ただ、費用が高額になってしまう病気に備えて、特約を活用してもいいかもしれません。
女性保険
女性保険は、主に医療保険に女性疾病特約をセットにした保険です。定期タイプと終身タイプの2つの種類があり、解約返戻金はありません。乳がんや子宮がんなど女性特有の病気や、リウマチなどの病気で入院や手術をした時に、入院給付金や手術給付金が給付されるケースが多いでしょう。このように女性特有の病気に対して、手厚く保障できるのが女性保険です。
また、女性疾病特約を医療保険に付けると、費用も安く抑えられるので、検討するとよいでしょう。
世帯主 | 配偶者(専業主婦・パート) | 配偶者(共働き) |
---|---|---|
– | ◎ | ◎ |
配偶者 お役立ち度 ◎
妊娠中は加入できないことが多いため、加入するなら結婚の時がベストです。帝王切開や妊娠に関する病気になった場合に備えて、保障を上乗せできるのはメリットです。
女性保険に加入したつもりがなくても、医療保険に女性疾病特約がセットされたパッケージプランに初めから加入しているケースがあります。パッケージプランの場合、不要な保障が付いて、保険料が高くなっている場合があります。不要な保障を外せるようにカスタマイズできるので、プランナーに一度相談しましょう。
がん保険
がん保険は、がんと診断された時の診断給付金や入院給付金、手術給付金を受け取れる保険です。
また先進医療特約や通院特約、放射線治療特約など特約の種類が豊富なのも特徴です。定期タイプと終身タイプがあり、子どもが小さい時など手厚くしたい期間に合わせて選びましょう。医療保険と同じく、がん保険にも、解約返戻金はありません。
保険会社によって、がんの定義は異なります。浸潤、転移しない上皮内新生物が見つかった段階で給付金を支払う会社もあれば、1割程度の給付のみ、もしくは全く支払わない会社もあります。
保険会社によって保障内容は大きく異なるため、加入時にしっかり確認してください。
世帯主 | 配偶者(専業主婦・パート) | 配偶者(共働き) |
---|---|---|
〇 | 〇 | 〇 |
世帯主 お役立ち度 ◯
がんの治療法には種類があり、必ずしも入院が必要なものばかりではありません。たとえば、放射線治療や抗がん剤治療は、通院治療がメインです。ただ、通院期間が長期間にわたり、治療のたびに仕事を休む必要も出てくるでしょう。いずれにせよ、がんになると、どの治療法を選んだとしても仕事に影響が及び、収入が減る可能性が高まります。がん保険を選ぶ際は、まとまった治療費を準備できる一時金タイプのがん保険を検討した方がよいでしょう。またこの場合、経済的な治療資金に余裕があると治療の選択肢も広がることもメリットです。
配偶者(専業主婦・パート) お役立ち度 ◯
配偶者の場合はがんにかかっても、家計全体の収入に大きく影響はないでしょう。しかし、治療費は高く支出は増えますから、がんに対する備えは必要です。
特に、15歳から30歳前後のAYA世代の女性が、がんにかかると妊孕力(にんようりょく)、すなわち妊娠する力を奪われる恐れあります。女性の妊娠に影響しないよう、慎重に治療を進めると治療費が高くなる傾向があります。
また、通常の成人がんと異なり、進行の早い子宮肉腫などは、通常の成人がんと異なり診断が遅れるケースがあります。治療の初期の段階から十分な治療資金を準備するために、一時金タイプのがん保険を検討した方がよいでしょう。
また女性疾病特約は、女性特有のがんにも手厚く保障します。保険料を抑えたい場合は、がん保険の代わりに検討するのもおすすめです。
配偶者(共働き) お役立ち度 ◯
専業主婦やパートの女性と同じく、女性疾病特約をプラスすることを併せて考えた方がよいでしょう。入院しなくても、通院のために休暇を取ったり、時短勤務になったりすると収入が減る恐れがあります。また、仕事で多くの人と接すると、脱毛や色素沈着による外見の変化で、職場でストレスを受ける可能性もあります。治療費は十分に準備した方がよいでしょう。がんは治療の初期の段階からお金がかかってしまうため、がん保険は入院タイプよりも一時金タイプと通院タイプのがん保険がオススメです。
生活習慣病保険
生活習慣病保険は、がん、心疾患、脳血管疾患などの病気を保障する保険です。定期タイプと終身タイプの2つのタイプがあり、解約返戻金はありません。がんは診断時に保険を受け取るがの一般的。心疾患や脳血管疾患は、労働制限を受けた場合や障害など後遺症が残った場合、入院した場合に保険金が給付されるケースが多く見られます。
心疾患や脳血管疾患に関しては、保険会社によって保険の対象とする病気の名前が異なります。注意して選びましょう。
世帯主 | 配偶者(専業主婦・パート) | 配偶者(共働き) |
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〇 | 〇 | 〇 |
世帯主 お役立ち度 ◯
がん以外の生活習慣病にも備えられるので検討した方がよいでしょう。心疾患や脳血管疾患は仕事に支障が出て、リハビリが長期化する傾向があり、収入に大きく影響します。ただし、保険会社によっては、収入保障保険など他の死亡保険に特約を付加できるケースもあります。医療保険に特約を付けて対応してもよいでしょう。
配偶者(専業主婦・パート) お役立ち度 ◯
がん以外の生活習慣病にも備えることができます。また、治療やリハビリが長期間になる心疾患や脳血管疾患に対してしっかり備えることが可能です。予算に余裕があれば検討するとよいでしょう。
配偶者(共働き) お役立ち度 ◯
生活習慣病にかかると、入院や手術、働く時間が減り収入が落ち込む可能性が高まります。世帯主同様に、長期間の労働制限やリハビリで、収入が減り家計に影響を与えがちです。加入を検討しましょう。単独で加入せずに終身医療保険に、生活習慣病特約を付加できる保険会社を利用するのも一つの策です。