そこで、気になるのが「がん保険」です。独身時代は気にしていなかったがんという病気も、結婚により大切な人ができることで、「もし、パートナーががんになったら」「自分ががんになったら」と身近な問題になってきます。
目次
がんは日本人の死因のトップ
最初にがんについての基礎情報を確認しておきましょう。厚生労働省によると、がんは1981年(昭和56年)より日本人の死因のトップで、2001年(平成13年)以降、年間30万人以上の人が、がんで亡くなっています。
また、国立がん研究センターがん情報サービスのデータによると、生涯のうちにがんにかかる可能性は、男性は62%(2人に1人)、女性は47%(2人に1人)と推測されています。日本人のがん罹患率は、40代から少しずつ増えて、50代から急上昇しています。がんになってしまってからでは、がん保険の加入は難しくなるので、加入を考えている場合は、独身の人はもちろん、結婚をきっかけとして早めに検討・加入しておくとよいでしょう。
結婚する際に注意すること
1)手続き変更などは忘れずに
結婚する場合に、保険についてはどんなことに注意すればいいのでしょうか。今まで保険に未加入だった人、あるいは既に加入している人でも、結婚をする際に注意することがあります。
既に、加入している人は、住所の変更や契約者・被保険者名の改姓、保険金受取人の変更、そして保険料支払口座の変更などです。
例えば、男性の場合、住所変更などとともに、それまで保険金などの受取りを親にしていた場合、早めに妻に変更しましょう。男性、女性にかかわらず、名字が変わる人も手続きを忘れないようにしましょう。そもそも、保険自体の見直しも必要になります。
2)夫婦型などではなく個人で加入する
がん保険にかかわらず言えることですが、保険商品の中には夫婦型、家族型という形で契約できる場合があります。保険料が割安になるなどのメリットはありますが、離婚した場合に保障が消滅したり、見直しがしにくかったりなどのデメリットがあります。
基本的に保険は、夫婦でも個別に加入することを検討しましょう。というのも、一概に夫婦といっても、共働きなのか、妻が専業主婦なのか、例えば共働き夫婦であれば、夫婦それぞれにある程度の死亡保障が必要になるなど、必要な保障は異なります。
夫婦それぞれが、自分に必要な保障を準備することが大切です。
がん保険を選ぶポイントは「診断給付金(一時金)」
がんは他の病気と比べて、通院などで治療が長期化する可能性があり、治療費用が高額になりやすいため、保険で備えるという手段は有効だと言えるでしょう。
保険に詳しいファイナンシャルプランナーの中には、「通常の病気は貯蓄で支払えるけど、がんの場合は費用が心配なので、がん保険だけには入っておいた方がいい」と指摘する人もいます。
さて、がん保険に加入する最大のメリットは「診断給付金(一時金)」です。診断給付金とは、がんと診断された時点で受取れるお金です。がんによる収入減に備えることができるほか、入院費や治療費などにあてることもできます。
診断給付金は、一般的に100万円が目安とされていますが、上限を300万円以上、中には1000万円としている保険会社もあります(もちろん、診断給付金が高額になるほど保険料も高くなります)。上皮内がんの場合は、保険会社ごとに保障内容が異なります。上皮内がんでもがんと同額の診断給付金を受け取れる場合と、半額になる場合などがあるので注意してください。
診断給付金の回数は「1回のみ」、あるいは「複数回(回数無制限)で2年に1回」、「複数回(回数無制限)で1年に1回」、「複数回(通算5回)で1年に1回」としているところなど様々です。ほかの病気と異なり、がんは再発・転移の可能性があるので、診断給付金を複数回受け取れるものを選ぶほうが、1回しか受け取れないものよりも安心できそうです。
がんの「三大治療」って何?
がん保険を検討する際に、知っておきたいのが「三大治療」です。三大治療とは、(1)手術(外科療法)、(2)化学療法(抗がん剤)、(3)放射線療法の3つで、がん治療をした人のほとんどが、いずれかの治療をおこなっています。抗がん剤や放射線療法は通院での治療が一般的です。
昔のがん保険は、「診断給付金・手術給付金・入院給付金」が基本保障でした。しかし、入院日数が短期化し、通院治療がメインとなった現在では、抗がん剤や放射線などの治療を受けると給付金が支払われるタイプや、通院治療保障を手厚くしたタイプが増えています。
三大治療への保障は、商品によって内容が異なります。治療内容によって給付金がどれだけ支払われるかを確認しておくことが大切です。
「保険料免除」や「先進医療特約」は必要?
最近は、がんと診断されたら保険料が免除になるがん保険があります。最初から保険料免除がついているものと、特約でつけることができるものがあります。
がんになった場合、入院や通院による医療費負担だけでなく、収入の減少も考えられます。保険料の支払いが心配な場合は、保険料免除特約を付けておくと安心です。
また、特約の中で「先進医療特約」をつけるべきか、についても迷うところではないでしょうか。先進医療とは、厚生労働大臣によって承認を受けた医療機関で行われる特定の医療技術のこと。健康保険適用外になるので、全額自己負担となりますが、保険診療との併用も可能です。
特約自体の保険料は割安なのでつけておくほうが安心です。注意点としては、承認を受けた医療機関でなければ先進医療と認められないので、利用できる医療機関があるのかどうか確認し、保険料なども加味して検討しましょう。
まとめ/結婚したら、夫婦それぞれががん保険に加入
結婚を機にがん保険の加入を検討する場合、従来の保険を見直し、手続きなども忘れずに行ったうえで、夫婦別々に加入するのがおすすめです。
加入にあたって気をつけなければならないのは免責期間です。他の保険と違って、がん保険には免責期間があり、一般的に加入してから3か月または90日間が経過しないと保障が開始されません。この間にがんになったとしても、給付金は支払われません。
お互いに若いうちは、がん保険の必要性を感じないかもしれません。しかし、加入を先延ばしにしてしまうと、「本当に必要な時にがん保険に加入できない」ということになりかねません。結婚を契機に、がん保険の検討を始めてみてはいかがでしょうか。