がんは、長きにわたって日本人の死因第1位となっている病気です。多くの保険会社からがん保険が販売されていますが、加入するかどうかで悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事では、がん保険のメリットやデメリット、主な保障内容などについて解説します。
目次
1.がん保険の主な保障内容
がん保険は、がんのみを対象として保障する保険です。主な保障内容は、以下のとおりです。
1-1. 診断給付金
がんだと診断されたときにお金を受け取れます。具体的な治療や手術などを受ける前の段階で給付されるのが特徴です。実際には商品によって詳細は異なり、治療や入院を伴わないと条件を満たさないケースなどもあります。
1-2. 手術給付金
がんの代表的な治療法が外科手術ですが、手術給付金は手術を受けるたびに支払われます。一律に金額が設定されているケース、手術内容によって変わるケースなどがあります。1度の手術における給付額の上限が定められている場合もあるため、契約内容の確認が必要です。
1-3. 入院給付金
がんで入院が必要になった場合に支給されます。原則として、入院した日数に応じて支払われます。1日いくら、と決められているケースがほとんどです。。
1-4. 通院給付金
通院しながら治療を受けるときに給付されます。入院を経てからの通院に適用されるのが原則ですが、入院前の通院でも給付金を受け取れるものもあります。こちらも、1日あたりいくらと定められているものが大半です。
1-5. 抗がん剤治療給付金
現在のがん治療は、手術、抗がん剤、放射線の三大治療が主流です。抗がん剤治療を受けたときに所定の金額が給付されます。
1-6. 放射線治療給付金
放射線治療を受けたときに所定の金額が給付されます。
1-7. 先進医療給付金
重粒子線治療をはじめとする先進医療を受けるときに給付されます。先進医療は厚生労働省が認めた高度の技術を指しますが、費用はかなり高額になりがちです。しかも、健康保険が適用されないので、すべて自費で賄わなければなりません。先進医療給付金では、そのような高額な医療費をカバーできます。
2.がん保険に加入している人は増加している
多くの人ががんにかかっていることから、がん保険の加入率も増加傾向にあります。生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(令和元年度/2019年)によると、民間の生命保険会社や 共済等で取り扱っているガン保険・ガン特約の加入率は、42.6%となっています。平成13年(2001年)度以降、右肩上がりで増えています。
3.がん保険に入るメリット
がん保険に加入するメリットはいくつかあります。一つずつ整理して解説します。
3-1. がんに特化した手厚い保障が受けられる
通常の医療保険がさまざまな疾病を幅広く保障しているのに対して、がんに特化しているのが特徴です。その分、保険料は低く設定されています。治療費や通院費などのほか、入院にかかる費用も保険で賄えます。また、全額自己負担となる先進医療を利用した際の費用を補てんできるのも大きな特徴です。
3-2. がんになったとき、まとまったお金が手に入る
多くのがん保険は、がんと診断されたときに診断給付金を受け取れます。治療がまだ本格的に始まっていない段階でも受け取れるため、使い道も自由です。治療の選択肢を増やすことや、思うように働けなくなったときの生活費に充てることもできます。ただし、がん保険には待ち期間があり、加入から約3ヵ月は保障されません。したがって、その間にがんになった場合、診断給付金をはじめ全ての給付金は受け取ることができません。
3-3. 長期療養となってしまっても安心
近年では、患者さんの生活の質(QOL)に重きを置くという観点から、通院によって時間をかけて治療するケースが増えてきています。治療費は高額療養費制度である程度まかなうことはできるものの、長きにわたって治療を受けるとなると経済的な負担が増えてしまいます。また放射線治療や抗がん剤治療などは長期になることが多く、どうしても費用はかさみますが、最近のがん保険はそれに対応したものも多いので安心です。
4.がん保険に入るデメリット
がん保険加入の必要性を考えるうえでは、デメリットについても正しく理解しておきましょう。
4-1. 毎月の保険料の支払いが発生する
保険への加入により、当然毎月保険料を支払うことになります。健康保険や年金などの公的制度の保険料も必要なため、トータルでの出費は増えてしまいます。
4-2. がん以外の病気への保障はない
がん保険は、がんの治療や入院などにかかる費用のみをカバーできる保険であることを理解しておきましょう。幅広い病気をカバーしたいのであれば、医療保険にも併せて加入する必要があります。
5.がん保険を選ぶポイント
まずは保障の内容をきちんとチェックすることが大切です。診断給付金はいくらか、どのような治療に対処できるのかも要チェックです。近年では入院・手術による治療から通院による治療にシフトしてきており、今後も新しい治療法に移っていく可能性があります。そのため、入院給付金よりも診断給付金がメインのタイプを選ぶというのも考え方のひとつです。また保障を手厚くすることで保険料が上がり、今の生活を圧迫すれば本末転倒です。自分の健康状態や生活状況と照らして、無理のない選択をしてください。
6.まとめ:がん保険のメリット、デメリットを理解しよう
日本人の多くががんで亡くなっていることを考えると、がん保険に加入するのは正しい選択かもしれません。メリットもあればデメリットもあるため、それをきちんと理解したうえで最適な保険を選んでください。さまざまながん保険が販売されているので、保険料や保障内容をチェックしながら選びましょう。