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公的保険が適用されない費用
日本では、原則としてすべての国民が公的医療保険（健康保険）に加入しています。そのため、病気やケガをして医療機関で治療を受ける場合、自己負担額は1割～3割で済みます。また、入院や手術などをして医療費が高額になった場合でも、高額療養費制度があるため、自己負担額には限度があります。しかし、医療機関でかかる費用には、健康保険が適用されないものもあります。どのような場合に健康保険が適用されないのかみていきましょう。
自由診療
医療機関で受けられる治療には、健康保険が適用される保険診療と健康保険が適用されない自由診療があります。厚生労働省が未承認の治療や薬を使う場合は自由診療となり、すべての費用が自己負担となります。保険診療と自由診療を一緒に行うことは、原則として禁止されています。
先進医療
先進医療とは、特定の大学病院などで研究・開発され実施されている医療技術のうち、厚生労働大臣の承認を受けたものです。将来的に健康保険が適用される可能性があります。先進医療の技術料は、全額自己負担となります。ただし、先進医療を受けるときにかかる診察・検査・投薬・入院料等の費用には健康保険が適用されます。先進医療にかかる技術料は、治療の種類によってさまざまですが、がんの治療に使われる重粒子線や陽子線を用いた先進医療の場合、200万円～300万円と高額になります。
入院にかかる費用
健康保険が適用されるのは、病気やケガの治療に必要な診療に限られるため、入院にかかる費用は自己負担となります。入院にかかる費用には、食事（自己負担分）、入院に必要な日用品の購入費、交通費などがありますが、もっとも負担が大きいのが、差額ベッド代です。差額ベッド代とは、個室や4床以下の部屋などを希望する場合に発生する費用です。差額ベッド代の費用は、病院が自由に設定できるため、1日あたり1,000円～20万円程度と幅があります。厚生労働省「第401回中央社会保険医療協議会／主な選定療養に係る報告状況」（2018年）によると、4人部屋の平均が2,440円、個室の平均が7,837円となっています。差額ベッド代は、患者が個室などを希望した場合に請求されます。入院時に書面での同意がない場合、治療上差額ベッド室での入院が必要だった場合、病院側の都合で差額ベッド室に入院させる場合には支払う必要はありません。
病気ではないもの
生活に支障のないレベルのニキビやアザ、ワキガなどの治療、美容整形、レーシック手術などは、病気とはみなされません。また、正常な妊娠・出産、経済的な理由による人工妊娠中絶にも健康保険は適用されません。
治療ではないもの
健康診断や人間ドック、予防接種など、病気予防のためにおこなうものには健康保険が適用されません。再検査、精密検査の場合は、健康保険が適用されます。
診断書・証明書
診断書や証明書の作成にかかる料金には、健康保険は適用されません。
民間の医療保険で備えを！
医療機関でかかる費用のうち、健康保険が適用されないものが意外と多くあります。特に、自由診療や先進医療、入院時の差額ベッド代などは負担額が大きくなります。治療の選択肢として自由診療や先進医療治療も検討したい場合や、入院時の費用が心配な場合は、経済的な負担を減らすために医療保険に加入しておくと安心です。
