糖尿病の発症には生活習慣が起因すると言われていますが、どのような生活習慣を意識すれば防げるのでしょうか。また、「日本人は糖尿病にかかりやすい」とは本当でしょうか。自身の生活習慣や糖尿病の不安がある方向けに、糖尿病予防のためにできることを解説します。
目次
日本人は糖尿病にかかりやすいって本当?
今や日本人の国民病ともいえる糖尿病。
糖尿病はインスリンというホルモンがうまく働かなくなる病気ですが、実は日本人を含むアジア人種は、欧米人に比べて体質的にインスリン分泌能力が低いといわれています。
つまり、日本人は糖尿病にかかりやすい体質といえます。
加えて、日本における生活習慣の欧米化も、日本人に多い2型糖尿病の発症に大きく関わっていると言えるでしょう。
日本よりも生活習慣が欧米寄りになっている米国在住の日系移民を対象とした研究では、糖尿病の有病率・罹患率は、日本に住む日本人よりも2-3倍高いことがわかりました。
厚生労働省の報告にも、「現在の日系米国人は将来の日本国民の健康状況であるとも推測され、早急な糖尿病対策が必要である」とあります。今後日本で食生活の欧米化がより進行していけば、今以上に糖尿病にかかる日本人が増えていくのではないでしょうか。
糖尿病にならない生活習慣を身につけよう
糖尿病予防は、生活習慣を見直すことで始められます。
日本人にもっとも多い2型糖尿病は、不規則な食生活による血糖値の急上昇や運動不足など、乱れた生活習慣によって起こると言われています。日々の生活を見直し、血糖値を急上昇させないことが重要です。ここでは、食生活と運動習慣を見直す際に意識したいポイントを解説します。
食生活の見直しポイント
食生活で見直したいポイントは、以下の8つです。
- ・カロリーを必要以上にとりすぎず、食べ過ぎない
- ・ゆっくり食べる
- ・基本は1日3食。朝・昼・夜に分けて食べる
- ・夕食は18時~19時くらいで、早めの時間に食べる
- ・<野菜・海藻・キノコ類→肉・魚→ご飯やパンなどの炭水化物>の順番に食べる
- ・間食は控えめにする
- ・野菜、海藻、玄米やキノコ類など、食物繊維を積極的にとる
- ・清涼飲料水を飲みすぎない
つまり食べる量・スピード・タイミングに気をつけて規則正しい食生活を心がけ、血糖値の乱高下を防ぐことが大切です。
また、8つめのポイントである清涼飲料水の飲み方にも注意が必要です。清涼飲料水は、飲み方を一歩間違えれば「ペットボトル症候群」という急性の糖尿病を引き起こすことがあります。医学的に「糖尿病性ケトーシス」と呼ばれ、急性の代謝異常を起こしている状態です。実態は糖尿病そのものです。冷えたジュースが飲みたくなる夏場は、清涼飲料水のがぶ飲みに気をつけてください。
運動習慣の見直しポイント
糖尿病の予防には、定期的な運動も欠かせません。
運動習慣で見直したいポイントは、以下の5つです。
- ・運動前の準備運動と、動いたあとの整理運動を忘れずに行う
- ・ウォーキングや軽めのジョギング、水泳など、軽い有酸素運動から始めて少しずつ運動量を増やす
- ・なるべく毎日、無理なく続けられる運動を選ぶ
- ・通勤で降りる駅を変えて1駅分歩く、エレベーターを使わず階段を使ってみるといった、小さな運動習慣を心がける
- ・有酸素運動になれてきたら、簡単な筋トレを加えてみる
食事でとった糖分は、血液を通って筋肉や脳のエネルギー源として使用されます。継続的に運動を行えば筋肉への血流が増え、その分糖の代謝が早くなるため、血糖値が安定しやすくなります。さらに、筋肉トレーニングによって身体の筋肉量を増やせば、糖分の消費量が増えるため、より血糖値の上昇を抑えることができるでしょう。
食事も運動も、「無理なく続けること」が大切です。少しずつ、できることから始めてみましょう。
糖尿病に備えて入っておきたい保険
食生活や運動習慣を見直して糖尿病予防に取り組むこととあわせて、糖尿病にかかってしまったときに備えることも重要です。
糖尿病にかかってしまったとき、治療費のことが気になる方は多いと思います。ここでは、糖尿病の治療費対策に備えておきたい保険の種類を解説していきます。
<糖尿病の治療費対策に備えられる保険>
・すべての方におすすめ!「民間の医療保険」
最初に入っておきたい基本の保険です。糖尿病を含む、幅広い病気やケガに備えられます。保険会社によって保障内容は異なりますが、入院したとき、手術したときに保障(給付金)を受けられるものが多いです。また、入院1日につき5000円や1万円など所定の給付金が出る「日額給付」の医療保険と、実際にかかった治療費の自己負担額を保障する「実額補償」の医療保険があります。
・プラスαで保障を手厚くしたい方におすすめ!「民間の生活習慣病特約」
民間の医療保険に、オプションという形で生活習慣病特約を付けた保険です。通常の医療保険の保障に加えて、糖尿病を含む生活習慣病になったときにはプラスαの保障があります。保険会社によって特約の保障内容は異なり、所定の生活習慣病と診断された時点で給付金を受け取れるもの、入院給付金の日数が無制限で支払われるものなど多様です。
・住宅ローンを組む予定がある方におすすめ!「生活習慣病団信」
住宅ローンを組むときに加入する団体信用生命保険(通称「団信」)で、生活習慣病に備える方法もあります。団信の基本的な保障(住宅ローン契約者の死亡・所定の高度障害状態でその時点の住宅ローン残額が一括保障される)に加えて、糖尿病を含む所定の生活習慣病で働けない状態が1年半以上継続した場合、住宅ローン残高が一括保障される「生活習慣病団信」があります。ただし、生活習慣病団信の保障内容や「働けない状態」の定義は金融機関・保険会社によって異なります。また、金融機関によっては生活習慣病団信がない場合もあるので気をつけてください。
迷ったときは、最初に備える一本として民間の医療保険をおすすめします。まずは、糖尿病を含めて幅広い病気をカバーできる医療保険を備えましょう。
まとめ
日本人は元々糖尿病にかかりやすい体質であると言われています。
最近は生活習慣の欧米化により、ますます糖尿病の発症リスクが高まっているため、今から食事や運動習慣を見直し、糖尿病を防ぐための生活を心がけましょう。
また、生活習慣の見直しとあわせて大切なのは保険で経済的リスクに備えることです。まずは糖尿病を含めてさまざまな病気やケガの治療費をカバーできる医療保険に加入し、万が一の際の治療に備えておきましょう。
【参考記事】
・糖尿病(厚生労働省)
・4つの『食べ方』でSTOP糖尿病(新島村国民健康保険診療所)
・糖尿病になりにくい生活(運動)(サノフィ株式会社 患者向け糖尿病情報サイト)
・糖尿病の運動のはなし(糖尿病情報センター)
・嗜好飲料(アルコール飲料を除く)(e-ヘルスネット)
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